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- / ISBN・EAN: 4988101088874
感想・レビュー・書評
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8月3日付け朝日新聞「be」の<映画の旅人>で、このシリーズ4部作が取り上げられていた。評価の高い作品であることは知っていた。しかし、所詮はよく出来たヤクザ映画ぐらいの理解のままだった。朝日新聞の記事で、脚本の笠原和夫は東京生まれだが、戦時中海兵団に所属し広島で原爆のキノコ雲を見ていることを知る。この映画には、ひっとしたら、日本の戦後とは何かを考えるヒントが隠されているのかもしれないという気がして、早速DVDをレンタルして観た。
予感は的中。ヤクザ世界を描きながら、実は日本の社会の歪みを浮き彫りにしていることが分かる。映画は、湧き上がるキノコ雲とともに始まる。復員してきた菅原文太が演じる広能は、敗戦直後の混乱を目の当たりにする。刑務所で知り合った若杉と兄弟の契りを結んだのをきっかけに、仁義を重んじているはずのヤクザの組織に入る。しかし、そこも裏切りと殺し合いに明け暮れる世界であった。金儲けに走る組長山守は、拝金主義の政治家や実業家を彷彿とさせる。若杉も死に、信頼していた坂井も「仁義もくそもあるか」と口走り、新しい組を立ち上げようとして殺される。そして、ラストシーンは坂井の葬儀。真っ最中に、平服で現れた広能は、偽りに満ちた儀式に抗議するかのように、祭壇に捧げられた香典袋の山や供花に添えられた名札に向けて拳銃をぶっ放す。
この映画が公開されたのは昭和48年、高度成長期のまっただ中。好景気に浮かれていた日本への批判が込められていることは確かだ。40年前の映画だが、仁義なき戦いは現在も続いており、広能の拳銃が、昨今のアベノミクスに浮かれる社会風潮をも撃っているように感じられた。これは、単に私の思い過ごしだろうか。 -
※若干仁義あり。
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2011
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参考に。
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かっちょいい!
情けなく仁義もなく行き場所もない男たち -
なるほどー、「アウトレイジ」を観たときには感じなかった「ゴッドファーザー感」がここにはあるなぁ。どんどん人が死んでいく後半のスピード感はたまりませんが、拳銃をバンバン撃ちまくる荒っぽい映像も、戦後の混乱期ならなんでもあるよねーという説得力があり。
菅原文太と松方弘樹の、並び立つようで並び立たない微妙な関係がドラマとして見ごたえありました。この2人のライバル物語としてシリーズが展開していくのかと思いきや、あっさり死んじゃったのがちょっと残念。 -
血風ヤクザオペラ。広島弁のシェイクスピア。まさにそう。
一点だけ、「こんなぁ」は「あなた」ではなく「こいつ」だろう。
とにかくカメラが動く、ぶれる、揺れる。
素材感丸だしのBGM。あの盛り上がり。
誰もがこせこせと仁義を持たないやくざどもの世界のざらつきを、演出の端々に浸透させている。
眼が離せなかった。
「山守さん。弾ぁまだ、残っとるがよ」