仁義なき戦い [DVD]

監督 : 深作欣二 
出演 : 菅原文太  松方弘樹  田中邦衛  中村英子  渡瀬恒彦  伊吹吾郎  金子信雄 
  • 東映ビデオ
3.97
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感想 : 45
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4988101088874

感想・レビュー・書評

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  • 見ているようでちゃんと見てなかったと気がついて鑑賞。正直、冒頭からあまりにも人間関係がもつれすぎなので頭に入らないところはあるんですが、とにかく役者たちの演技がただならないのでグイグイ引き込まれてしまいます。しかも、「これは」という登場人物たちを惜しげもなく殺してしまいますので、びっくり仰天の連続です。いくら監督が才能があっても、役者の層が厚くないとこれだけの作品は作れなかったと思う。そういう意味では、本当に素晴らしいタイミングで監督、脚本、役者が出会ったんだと思いますね。

  •  8月3日付け朝日新聞「be」の<映画の旅人>で、このシリーズ4部作が取り上げられていた。評価の高い作品であることは知っていた。しかし、所詮はよく出来たヤクザ映画ぐらいの理解のままだった。朝日新聞の記事で、脚本の笠原和夫は東京生まれだが、戦時中海兵団に所属し広島で原爆のキノコ雲を見ていることを知る。この映画には、ひっとしたら、日本の戦後とは何かを考えるヒントが隠されているのかもしれないという気がして、早速DVDをレンタルして観た。
     予感は的中。ヤクザ世界を描きながら、実は日本の社会の歪みを浮き彫りにしていることが分かる。映画は、湧き上がるキノコ雲とともに始まる。復員してきた菅原文太が演じる広能は、敗戦直後の混乱を目の当たりにする。刑務所で知り合った若杉と兄弟の契りを結んだのをきっかけに、仁義を重んじているはずのヤクザの組織に入る。しかし、そこも裏切りと殺し合いに明け暮れる世界であった。金儲けに走る組長山守は、拝金主義の政治家や実業家を彷彿とさせる。若杉も死に、信頼していた坂井も「仁義もくそもあるか」と口走り、新しい組を立ち上げようとして殺される。そして、ラストシーンは坂井の葬儀。真っ最中に、平服で現れた広能は、偽りに満ちた儀式に抗議するかのように、祭壇に捧げられた香典袋の山や供花に添えられた名札に向けて拳銃をぶっ放す。
     この映画が公開されたのは昭和48年、高度成長期のまっただ中。好景気に浮かれていた日本への批判が込められていることは確かだ。40年前の映画だが、仁義なき戦いは現在も続いており、広能の拳銃が、昨今のアベノミクスに浮かれる社会風潮をも撃っているように感じられた。これは、単に私の思い過ごしだろうか。

  • ※若干仁義あり。

  • 2011

  • 参考に。

  • かっちょいい!
    情けなく仁義もなく行き場所もない男たち

  • 西加奈子さんがめっちゃおもろいって言ってたので鑑賞。

    西さん。
    めっちゃおもろいですやん。



    冒頭、登場人物がどんどん出てきて
    置いてけぼりを感じていたが、なんのその。
    いつの間にか、自分が映画の中にいるような
    錯覚をおこすほどのめり込んでいた。


    「おやじさん、云うとってあげるが、あんたは初めから、わしらが担いでる神輿(みこし)じゃないの。組がここまでなるのに、誰が血流しとるんや。神輿(みこし)が勝手に歩けるいうんなら、歩いてみないや、のう!」


    くぅーー
    広島弁のシェークスピア。伊達やないでぇ!

  •  極道映画の金字塔。命の価値はあまりにも軽い。
     実話を元にした小説が原作の映画。原子爆弾を落とされた戦後広島から始まる極道の抗争を描いた作品。
     極道映画の金字塔と呼ばれているものの、恐らく現代とはだいぶ事情は異なっているだろう。黒川博行の『破門』によると、今時指を詰める極道などいないらしい。そんなものより金の価値の方が何倍も上だからだ。一銭にもならない小指一本で話をつけるよりも、金がモノを言う世界。極道社会も例に漏れず資本主義社会なのだ。また現代で違法薬物のシノギを行っていない極道などないと思われる。未成年の学生ですら標的にされるのが当たり前の時代だ。もはや完全に仁義などない。
    『破門』の語り部二宮に寄ると、ヤクザはカタギに迷惑をかけて生きるもの、らしい。映画内では描かれていないが、一般社会において一般人として生きることのできない人間の本質がそれだ。
     ヤクザの世界に仁義などない。そこにあるのは言わば「迷惑のかけ合い」だ。カタギもヤクザも関係ない。最後まで他人に迷惑をかけ切った人間のみが生き残る。他人を殺す、他人に殺させる、他人を脅す、他人に脅させる、他人を使って金を作り、他人を使って金を奪う。血と死に塗れた押し競饅頭。それこそが極道の世界――。
     映画内で引き金を引く者は皆腰が抜けている。誰も銃の訓練など受けたことがないのだ。自分のモノでない何かを押し付けられて、おっかなびっくりで取り扱っている。それが火を噴くと、自分に全てが返ってくる……彼らが手に握る「チャカ」は、「迷惑」の権化なのかも知れない。

    キャラクター:☆☆☆
    ストーリー :☆☆☆
    世界観   :☆☆☆☆☆
    テーマ   :☆☆☆☆
    映像    :☆☆☆☆
    台詞    :☆☆☆

  • なるほどー、「アウトレイジ」を観たときには感じなかった「ゴッドファーザー感」がここにはあるなぁ。どんどん人が死んでいく後半のスピード感はたまりませんが、拳銃をバンバン撃ちまくる荒っぽい映像も、戦後の混乱期ならなんでもあるよねーという説得力があり。

    菅原文太と松方弘樹の、並び立つようで並び立たない微妙な関係がドラマとして見ごたえありました。この2人のライバル物語としてシリーズが展開していくのかと思いきや、あっさり死んじゃったのがちょっと残念。

  • 血風ヤクザオペラ。広島弁のシェイクスピア。まさにそう。
    一点だけ、「こんなぁ」は「あなた」ではなく「こいつ」だろう。

    とにかくカメラが動く、ぶれる、揺れる。
    素材感丸だしのBGM。あの盛り上がり。
    誰もがこせこせと仁義を持たないやくざどもの世界のざらつきを、演出の端々に浸透させている。

    眼が離せなかった。

    「山守さん。弾ぁまだ、残っとるがよ」

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