ノー・マンズ・ランド [DVD]

監督 : ダニス・ダノヴィッチ 
出演 : ブランコ・ジュリッチ  レネ・ビトラヤツ 
  • ポニーキャニオン
3.82
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本棚登録 : 405
感想 : 71
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4988013433007

感想・レビュー・書評

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  • 俺は排便したいんだ・・・でも、置き去りにされたんだ~Oh、No!!

    俺の体の下には誰も撤去できない地雷が埋められている、
    仲間に排泄したいと言ったら動くと爆発するから
    そのまましちゃえと言われたが、大きい方だと言うと
                       黙ってしまった。

    仲間は敵の兵士と一触即発だが、そんなの関係ない、
                       俺は排便したいんだ!。

    国連が来た、マスコミが来た、大勢で大騒ぎしているが、
    俺はひたすら排便を我慢するしかない状況・・・
                    誰かなんとかしてくれよ、
    仲間でも敵でも国連でもいいからさぁ、頼むよぉ~!・・・

    あれ?急に静かになったな・・・なんで誰もいなくなったんだよぉー!
               俺は排便がしたいんだ!誰かぁ~!!

    戦争って人の生理的欲求さえも迫害する・・・
               恐ろしいです。でも、面白いです。

    こりゃ、一生忘れられない映画となるに間違いないな。

  • 相対立する兵士たちがひょんなことで運命をともにすることになって・・・というのは韓国映画「トンマッコルへようこそ」などにもあって、これもそのようなコメディタッチのものなのかと思っていたのでしたが、そうではなかった。
    たしかに物語の3分の2くらいまでは、どちらかというとドタバタ喜劇のようなタッチで進んでいくのですが、いよいよ国連軍やメディアまでもが中立地帯(ノーマンズ・ランド)に集まってくるところで急転直下、物語は暗い方向に進んでいく。誰もが助けるポーズをして、でも、本当のところは傍観者でしかない、というのはこのボスニア紛争そのもののありかたなのであろうが、それにしてもこのエンディングはあまりにも救いがなかった。

  • ボスニアとセルビアの中間地帯に取り残された敵対する兵士たちの様を描き、ボスニア紛争を風刺した作品。中間地帯に取り残されたセルビア人とボスニア人の抜き差しならない駆け引きに目が離せなかった。両者の利害の一致をみて一度は互いに手を組んだが、凶器が結局両者の関係を阻むこととなる。暴力が結局何も生まないと改めて感じた。また、国連軍が中間地帯に取り残されたセルビア人とボスニア人を救出しに来るわけだが、結果的にセルビア人とボスニア人は銃弾に倒れ、地雷の上に伏しているボスニア人も放置して退却してしまう。国連軍が結局何の力にもなっていないという風刺にいるとも感じた。また、国連軍の部下の情熱と上層部の無難な対応にも風刺めいたものを感じた。作品としては非常に完成度が高いと感じた。

  •  ボスニア紛争下で中間地帯に取り残された両軍の男達三人。一人は気を失ってる間に地雷を置かれて動けない。そこに国連防護がやってくるが。。。

     この映画が素晴らしいのは戦争の不毛さを訴えるだけに留まらず、静観する国連(国際社会)の不毛さを鋭く描いてる点だ。世界中の人が当事者としてこの映画に不快感を感じる。それはとても大事なことだと思う。

     多くの人に見てほしい一本。

  • ( ^o^) アカデミー、ゴールデングローブの外国語映画賞ほか、数々の賞を撮った反戦映画の傑作。
    ボスニア紛争時、セルビアとボスニアの中間地点での出来事をシニカルに描く。戦争映画ながらドンパチはほとんどなく、塹壕に取り残されたセルビア兵とボスニア兵、それに関わる国連軍、メディア取材班のやり取りを、戦争そのものの縮図として描いている。ラストは救われないが、まさにそれが戦争だということを表している。
    “殺戮を目の前にして、傍観は加担と同じ”という国連軍現場兵士の言葉が印象的。

  • 92~95まで続いたボスニア紛争がテーマ。

    単に「戦争反対」「NoWar」を訴える映画ではない。
    はっきりとした戦闘シーンも無ければ、英雄も悪役もいない。
    ただそこにいるのは普通の人間だけ。
    必要以上の悲壮感もないし、お涙頂戴なクサイシーンもない。

    だから戦争が身近に感じられる。
    そんな映画。

  • なんと良くできた映画。

    きわめて叙事的で、理性の力で観るものの感情にダイレクトに訴えかけてくる。

    作品を観ながら、なぜ人間が今まで何度も何度も戦争を繰り返し、血を流し痛みに呻き、反戦を訴える作品が山のように作られるほど、誰しもが戦争の不毛さを知っていながら、なぜ未だに戦争が存在するのかなぜ人間は何も学んでいないのか、心の底から怒りを感じた。涙が出るくらい。


    でもこの怒りをそのまま何かにぶつけても、多分本当に影響力のあることは成し遂げられないんだとわかった。
    怒りは奥にじっとしまって、怒りに耐えながら必死に考えて、ようやく怒りが静まったときにこそ、心に残ったものを糧に私たちは本当に意義のある行動を起こせるんだ。
    だからもっと忍耐強くあろうと思うよ。


    本編も素晴らしいけど、DVDでは記者会見の映像もぜひみてほしい。
    ものすごく考えさせられるし、監督の知性と戦略を思い知らされる。

  • セルビアとボスニアの戦時中、ふとした偶然で塹壕に残された3名の軍人。それは、セルビア人と、ボスニア人と、地雷を仕掛けられため身動きできないボスニア人。塹壕は両軍の境界で安易に脱出できないことから、セルビア人とボスニア人は、互いに協力と亀裂を繰り返しながら、国連や自軍の助けを期待する。そして、最後に残されたのは。。。

    舞台設定や人物のキャラクターが絶妙で、かつユーモアがあって、とても秀逸な作品。塹壕の中という限られた世界の中で、セルビア、ボスニア、地雷、国連、報道といった異なる立場と言葉からくる、互いには理解できないそれぞれの思惑がぶつかり合いながら、それなりに解決の方向に進んでいく。
    戦争という大悲劇も、こういった小さな世界の集合であり、また、こういった立場の違いからくる考え方の食い違いも、戦争だけに限られない世界であると思った。シンプルだけど、気づきの多い優れた作品。

    • cygnus_odileさん
      なかなか、興味深い内容の映画のようで、ご紹介ありがとうございます。
      なお、当方、ようやく、booklog のアカウントを取得致しました。
      なかなか、興味深い内容の映画のようで、ご紹介ありがとうございます。
      なお、当方、ようやく、booklog のアカウントを取得致しました。
      2011/04/02
  • スタンダード風刺もの。

    可もなく不可もなく。

  • 監督はこの紛争を最前線で体験したという。
    4年にも渡る激しい戦闘の中、おぞましい惨劇を目の当たりにし、
    更にボシュニャク人である彼は
    セルビア軍に対して並並ならぬ感情があってもおかしくないと思う。
    しかし彼の表現した戦争は違った。
    中立地帯で起こった、たった1日の出来事に集約した。
    あくまで目線はドライに徹しているのが素晴らしい。
    経験してるからこそ感じる、戦争の不毛さがリアルだ。

    同じ言葉を話し、共通の知人もいる敵兵士同士は
    時代が違えば良い友人関係を築けたかもしれない。
    どちらも自分たちの正義を守るため
    戦いたくて戦っているんじゃないんだ。
    善悪をつけられない戦いはどこに落とし所を
    見つけるのだろう。

    そのための国連なのだろうけど、
    実際はこんな感じだったなんて。。。
    確かに民族やら絡んでくると介入は
    なかなか難しいとは思うんだけど
    駐留ってなんなんだろうね、ホント。
    「傍観は加勢と同じ」とアリゾナ2は行動を起こすが
    現場にはアリゾナ2のような気概がある人や
    地雷処理班のように自分の命を張って尽力している人がいることを信じたい。
    でもやはりここでも事態を複雑化させているのは現場にいない御都合主義の上層部だったりする。
    一般社会でもよくあることだけれど、思惑が絡みあう中、優先させるべきものを見失う。

    メディアは正義感ぶったエゴで刺激のある情報を求めている。
    しかも自分たちは情勢を動かせると思い込んでいるからタチが悪い。
    そして私たちは彼らのレンズや言葉からでしか
    事柄を知る由もない。

    取り残された兵士をズームアウトで捉えたラストシーン。
    ネルシャツにジーパンの彼は兵士の姿をしていなかった。
    これは遠い国の隣人の話なのだ。

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