プラネットガーディアン

アーティスト : (ドラマCD) 
  • ジーダス (2003年10月23日発売)
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  • Amazon.co.jp ・音楽
  • / ISBN・EAN: 4988707291845

感想・レビュー・書評

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  • これであなたも黒さを先取り、ギスギス魔女っ子・リスニングノート!

    時に、漫画家「高坂りと」先生は水彩調の、端麗にしてたおやかな画風を特色とされます。
    近年は『わたしの幸せな結婚』など、名作を丹念に掬い上げるコミカライズで名を馳せておられますが、本作は先生のキャリアにおいて最初のステップアップを迎えることになる、オリジナル作品のドラマCDです。

    読んだ暁には忘れえぬであろう、ギスギス・魔女っ子コメディな原作漫画『プラネットガーディアン』全四巻については別途レビューを差し上げました。作品の内容についてはそちらもご参照いただくとして。

    本ドラマCDについて簡潔に紹介してまいるとしましょう。
    まず分量は全35分。テーマソングを除けば二話からなるドラマパートは約30分とコンパクトに収まっています。収録分もコミックス一巻からの抜粋で、全体の流れを汲むべくはじまりの部分を再構成したものです。

    大まかな内容としては記念すべき第一話「魔女っ子デビュー」および、最初に行動を共にすることになる魔女っ子仲間「早乙女リリカ(山田良子)」との出会いからの共闘(?)を一本の話としてまとめたもの。

    エピソードの取捨選択と前後の入れ替えを行ったためか、それとも尺の都合か、主人公「如月古雪」とともに戦うふたりの仲間の内、男の子の方「桐嶋雫」は登場しません。
    一方で、勘違い系ナルシストのお坊ちゃま「西園寺光太郎」はバッチリ存在感を示していたりもしますが。

    あと、序盤から萌芽は見られたものの、連載後半になって確立したブラックでコミカルな作風も積極的に盛り込んでいるようです。この場合の例として挙げるなら、たとえばマスコットのくせしてウザくて嫌みったらしい「ピロスケ」を踏んづけるシーンとか、平然と味方ごと攻撃魔法に巻き込んでる山田さんなど。

    形は微妙に違えど、漫画本編にもしっかりある絵面なので意外と安牌な脚本づくりでもありましたね。
    原作の最大公約数を拾うことで再現度を高めたと考えれば、悪くない構成のやり方だと思います。

    贅沢をいえば、もうちょっと派手に誰それをボコるバイオレンスなシーンが欲しいと感じたりもしました。
    けれど、時間軸としては弾け切る前の序盤ということを考えれば致し方なしといったところでしょうか。
    本音を言えば雫くんの存在をにおわせての三話構成にしてほしかったのですが、ブラックなノリを演出する上では彼を登場させてもまとめきれなかったと察することもできます。この構成でよかったのかもしれません。

    次に演技について。
    主人公を筆頭に、二面性が表に出た変人揃いのキャラを軒並みキャスト陣は好演されていたかと。たとえば地味で堅実思考、だけどキレると黒い主人公「如月古雪」にたかはし智秋さんは実にハマっていました。

    初登場とその後で声質がまったく違い、変貌後は最初から最後まで絶妙なムカつき具合を醸し出している「ピロスケ」の笹島かほるさんの演技などもお気に入りです。
    同じマスコットでも浅井晴美さん演じる「エリザ」の薄幸ぷり、やつれっぷりも印象に残っています。

    変わったところでは、西園寺に対する鈴木千尋さんのさわやか過ぎて逆にウザくなる演技は首尾一貫していましたね。これはこれで素晴らしく、さすがの一言です。
    と。二面性を軸にした場合での、私が気に入った演技としてはこんなところでしょうか。

    鳥海浩輔さん演じる主人公の兄「如月樹」と飯島杏子さん演じる、先述の「早乙女リリカ(山田良子)」については本ドラマCDでは二面性をあまり打ち出されていなかったので印象としてはやや劣るかもしれません。
    この場合は役柄のポテンシャルを引き出せなかったといっても、尺の都合であろうと断っておきますが。

    なお、イメージソングはいい曲なんですが、原作を踏まえているかといえば、ちょっとわかりません。
    間違いなく耳に残る、とてもいい曲だと思うのでそれ自体に文句のつけようはないのですけどね。
    必要予算が跳ね上がることを承知で声優さんに劇中歌(という体裁のオリジナル曲)を歌っていただいて演出の一部にするという選択もあったのかもしれませんが、ないものねだりをしてもきっと意味はないでしょう。

    以上。
    全体としては及第点は取れるのですが、定価にはちょっと見合わないかもしれません。
    まぁ、中古市場で安価に流通していることを考えれば別に気になりませんが。それと原作に忠実な分、ドラマCDだからこその遊び要素に乏しい向きもあります。プラスαを求めるのなら、あまりおススメはしません。

    正直に申し上げると派手なセールスポイントは見つけられないのですが、この分量なら気軽に聞き終えることができるのは確かなのでそこをウリにしておきます。原作ファンが聞いて満足できることもまた事実です。
    ここはひとつ、既存新規を問わずファンの方には一巻とセットの上で聞き入っていただければと思います。

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