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- / ISBN・EAN: 4988105046436
感想・レビュー・書評
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原作「巷説百物語」シリーズは、京極堂シリーズを逆の視点から再構築している、「種も仕掛けもある憑き物憑かせ」の物語である。さらに、必殺マニアでもある京極夏彦氏が、「必殺仕置人」「跳べ!必殺うら殺し」の二作品の影響を濃密に匂わせて、小股くぐりの一党を描いているように思えてならない。
本作の原作は明らかに「必殺仕置人 第一話 命を売ってさらし首」に着想を得ている。さらし首になった罪人は実は。。。。という仕置人のストーリーを膨らませる一方、弱者の恨みに同情しつつも、己が手を汚さぬ復讐を断罪する仕置人の視点を理解した上で、原作者の京極氏は、神ならぬ身に断罪などおこがましいと又市に嘯かしているのである。
つまり、ある種の汚さ汚さを持って、又市一味と百介の超えられない一線としているのだ。そういう点を脚本や演出は本当に理解しているのか?という事が疑問である。
「金田一少年」や「ケイゾク」など新本格ミステリドラマのジャンルで頭角を現した堤の起用に、そもそも問題があるのかもだ。「巷説百物語」は、全ては論理に始まり論理に終わる。一つの理を妖しにパラダイムシフトさせるプロセスが面白いのである。時代劇にする意味は、そこにあるのだ。
にも関わらず、現代建築様式の空間演出や、お定まりの楽屋落ちギャグ、キャラクター造詣といえば変人とするワンパターンな堤演出は、時代劇というジャンルを舐めているオーラが濃厚で、甚だ不快かつ、大失敗をこいている。
ストーリーは原作をほぼ忠実になぞっているのでつまらなくは無い。だがキャラクター造詣含む演出に、堤幸彦の底が知れてしまう。詳細をみるコメント0件をすべて表示