春の雪 [DVD]

監督 : 行定勲 
出演 : 妻夫木聡  竹内結子  高岡蒼佑  スウィニット・パンジャマワット  アヌチット・サパンポン  及川光博 
  • 東宝
3.11
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本棚登録 : 518
感想 : 104
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4988104034182

感想・レビュー・書評

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  • 原作は未読です。
    初めは気障な言い回しや華族のゆったりとした立ち居振る舞いが、やや退屈にも感じるのだけど、しばらくすると慣れてきて引き込まれました。
    妻夫木くんのイメージと三島のイメージは合うのか?とおもっていましたが、屈折した精神を宿す青年を見事に演じておられ、「きみは〜さ」といった文学的なセリフもマッチしていました。竹内結子さんはほんとうにきれい、どこからどう見てもきれい。最初、清様の夢の中で棺に入った竹内さんをみて悲しくなりました…(ご冥福をお祈りします)

    さて物語の内容ですが、悲恋。結ばれてしかるべき二人が結ばれない。清様の未熟さゆえのすれ違い。メインキャストの二人の美しい逢瀬もさることながら、周りの脇役も名キャラ。二人の逢瀬を咎めつつも手引きするタデシナさんの策略もなかなか。そして清様の友人・ホンダが良い奴すぎます。もう観てるこっちもラスト近くになると二人の恋に「いい加減あきらめたら…」とさじを投げたくなるような破滅っぷりなのだが(聡子さんも終盤では一切姿を見せなくなるし)このホンダの優しさには泣けました。
    かけおちして最後は心中というベタな展開になるのかと思いきや、そうはならずに余韻を残して終わるのが良かったです。終わり方が行定監督っぽくて映像美ふくめて心に残りました。エンドロールの宇多田さんの曲がすごく良い。
    原作も読んでみようかな。



    本編とはまったく関係ない話ですが、ブクログに映画を登録できると知らず(書籍のみと思っていた)今までは映画専用のアプリに映画感想も書いていたのだが、スマホの容量が満杯で途方にくれていたところ、ブクログでも映画鑑賞管理が出来ると知り、映画専用のアプリは削除しました。ブクログ便利ですね。それにしても数年経つとスマホ容量がオーバーになってスマホ買い替えないといけないシステムをどうにかしてほしい。無理やり使ってますけど…(関係ない愚痴ですみません)

  • 面白かったです。映像美。
    原作は既読で、宝塚版を先に観たのですが、映画も良かったです。
    お話は、初読のときから悲恋でも何でもないと思っているのですが。。
    清様ほんと…こうしなきゃ自分の気持ちに気付けないなんて!としか。聡子さん強い人ですが、本多くん共々振り回されて…てか本多くんは豊饒の海シリーズにこれからも出てくるので続きも読まねばです。

    キャストは美しくて良いです。宝塚版とは、当たり前ですがまた違った美しさ。(宝塚版の清様の、明日海みりおさんも壮絶な美しさです)
    若尾文子さん、岸田今日子さん、大楠道代さんがすごい。。
    あとめっちゃちょっとしか出てこなかったけど高畑淳子さんも好きです。
    治典王殿下が及川光博さんとかぴったりすぎて流石でした。
    高岡さんも演技はすごく好き。真っ直ぐな演技をされる人だ。
    主演の妻夫木聡さんも竹内結子さんも儚さがあって素敵でした。限りがあるからここまで燃え上がる、が伝わりました。

    瀬を早み~は「はいからさんが通る」でも中心になる和歌だけど、これ詠んだの崇徳院だったんだ…。
    豊饒の海シリーズはまた一から読んで、今度こそシリーズ読破したいです。

  • 三島由紀夫の原作を映画化した意欲作。
    幼なじみの運命的な恋。
    価値観の違う時代の空気感が出ています。
    金持ちでやり手の父親に反抗しきれない鬱屈を抱えた主人公。
    幼なじみで年上の彼女に好意を寄せられているのに気づきながら、素直になれないでいました。
    ところが、天皇家の宮様と婚約が決まってしまい…
    竹内結子が、華族の娘の抑圧された色香を品よく出しています。
    妻夫木くん、三島が見たら気に入りそうですね。
    いつも困ったような顔をしている高岡君も、適役。

  • セカチューの監督が描く悲しき大正浪漫。

    上流華族の美しい日本語・言回し(聞いててどこか安心したし真似してみたくなった笑)、春夏秋冬の描写(雪=冬・早春がメインだが、個人的には夏の場面が好き)・素敵なお召し物達(洋装でも日本の伝統色が入っており細かいこだわりを感じた)。

    最高の、映像のご馳走達。

    妻夫木さんの学習院学生服姿(似合いすぎ…!)や
    竹内さんの竹久夢二画みたいな物憂げな横顔も、物悲しい作風によく映えていた。

    ラストもやっぱり物悲しいが満足のいくものだった。
    エンディングテーマ”Be my last”は流さなくて良いと思う。

  • 三島由紀夫原作なのね…

    映像というのか、時代の雰囲気。
    音楽がとてもよかった‼︎

  • 原作は、三島由紀夫『豊饒の海』第1巻。侯爵家の子息・松枝清顕と、伯爵家の令嬢・綾倉聡子の悲恋を描く。

    残念ながら、清顕への嫌悪感しか残らなかった。決して妻夫木聡の演技が悪かったわけではない。

    最初に「悲恋」と書いたが、身分などの障害があったわけでもなく、誰に引き裂かれたわけでもなく、清顕自身が聡子を突き放したことが発端なので、あらすじから期待するような悲恋ではない。
    清顕はその幼さと傲慢さでもって、聡子を自分の意のままにしようとし、彼女の人生を踏み躙っていく。聡子のひたむきな愛情とは対照的に、彼の感情は一方的で、常に自己中心的である。所有物が他人のものになることで初めて支配欲を自覚し、さらにその欲を愛情だと勘違いした男の姿にしか見えなかった。

    清顕には、聡子の心を奪い、本多繁邦に厚い友情を寄せられるだけの魅力が備わっているはずだが、それも伝わってこない。清顕のキャラクターが原因で、最後まで感情移入できなかった。原作でもそんな男なのか、それとも脚本が問題なのか、原作を読んで確かめてみたい。

    雪・蝶・夢という幻想的なモチーフを多用した映像は美しい。タイトルコールの明るく静かに降る雪と、清顕の夢に現れた雛装束の聡子が印象的だった。

  • 大正ロマンの耽美に加え、特に緑の自然描写の麗しい再現のことを、ふと思い出し再鑑賞。

    この作品、この世のものとは思われへんほどの美しく小さな滝が出て来る。
    あれはどこに行けば見れるのか?と、調べると、なんとセットだった(笑)。
    やはり、この世のものとは違った(笑)。

    でも、本物の自然の中に、あんな滝を拵えたというだけあって、作品の世界観への情熱は感じる。人物描写が蔑ろなのは、触れないでおこうと。
    ロケ地は香川だそうで、行ってみたい。

    また読みたくなる。
    春の雪に、降られたくなる。
    春の雪って、酷く冷たいねんなぁ。

  • 原作は高校のときに2回、大学で1回読んでいます。
    DVDも出たばかりのころ1回見ました。
    原作に比べると難しくなくてわかりやすいです。

    賛否両論ある作品ですが
    清顕(妻夫木聡)の醜さと美しさ、死や儚いものへの憧れ、美の執着という三島作品の永遠のテーマ
    『春の雪』に続く3作のことなどを理解できていれば
    けっこう高評価になるはず!

    本多が清顕に
    「僕のことも信じてくれ、僕は君の友だ」
    って言うとこー!
    はぁー泣ける。友とか言っちゃうとこが大正の坊ちゃまっぽくて好きー

    全体的に始終「死」のにおいが漂ってるとこも
    三島のテーマを再現しようと伝わってとても素敵です。
    あと、音楽もね。


    清顕と聡子の許されない恋愛の儚さ
    とかよりは、やっぱり
    「死」や「儚さ」を美しく表しているところや
    本当は手助けしてはいけないのに協力する本多と清顕の友情
    そういう世界に魅了されました。

  • 奈良などを舞台とした作品です。

  • 自らのための備忘録

     Amazon Prime で無料視聴。2005年の映画。原作の大ファンだったので、映画公開時に観た覚えがあるけれど、印象的だったのは、なんといっても大楠道代でした。

     「蓼科」、大楠道代の役名。「ツィゴイネルワイゼン」の靑地周子、「赤目四十八瀧心中未遂」の岸田勢子等、脇をしっかりと固める女優といえば大楠道代。数々の助演女優賞に輝く演技派。もちろん「痴人の愛」のナオミも忘れられません。

     全体的に見事な美術。和洋折衷の大正浪漫を徹底的な耽美主義で描き切りました。

     竹内結子の演技は、衣装に負けないほど素晴らしかった。特に彼女の月修院での演技は素晴らしかった。

     妻夫木聡は、決して彼の演技に問題があったというわけではないのですが、「あの豊穣の海 四部作の『春の雪』の松枝清顕役」にしてはイメージが優し過ぎるような気がします。
     傲慢で、身勝手で、身の程知らずの若気の至りを演じるのほ、妻夫木聡ではないような気がします。
     では、誰なら相応しいか?と問われると、それはなかなか難問ですが、年齢を考えずに言えば、例えば「伊勢谷友介」なんてどうかなと思いました。侯爵の子息の役柄も難なくこなせて、冷徹でしかも情熱的な役柄をこなせるよう思います。

     二日続けて全編を観てしまったほど美しかった。また原作も読み返したくなりました。

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著者プロフィール

1968年熊本県熊本市生まれ。映画監督。演出家。2000年『ひまわり』で第5回釜山国際映画祭国際批評家連盟賞受賞。『GO』で第25回日本アカデミー賞作品賞・最優秀監督賞を始め数々の映画賞を総なめにし脚光を浴びる。04年『世界の中心で、愛をさけぶ』が観客動員数620万人を記録。10年『パレード』は第60回ベルリン国際映画祭パノラマ部門国際批評家連盟賞を受賞。16年には『ブエノスアイレス午前零時』『タンゴ・冬の終わり』の演出において第18回千田是也賞を受賞。

「2017年 『きょうも映画作りはつづく 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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