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- / ISBN・EAN: 4988105048713
感想・レビュー・書評
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DVDをレンタルしていた「木下恵介」監督作品で、国産初のカラー(総天然色)映画『カルメン故郷に帰る /1951』を観ました。
色っぽいシーンもありますが、コメディタッチの映画だし、浅間山をバックにした大自然の中で物語が展開するので、いやらしさを感じることはなく、爽やかに仕上がっている感じがしました。
「高峰秀子」は、こんな役柄もしていたんですねぇ… 当時としては斬新な役柄だったでしょうね。
『カルメン故郷に帰る』 '51日本
-----story-------------
上州北軽井沢の浅間山のふもとの村で育った娘「おきん」は、家出をして東京に出、「リリィ・カルメン」という名のストリッパーになっていた。
彼女は男性たちを魅了する裸踊りを芸術だと信じて疑わない。
とある初秋に、おきんは同僚の踊子「マヤ朱美」を連れて故郷へ錦を飾りに帰ってくる。
芸術の擁護者を自任する校長先生は、村から芸術家を輩出したと大喜び。
村人たちも共に帰郷を歓迎した。
ところがふたりを目の当たりにして、村とは不釣合いな派手な出で立ちと言動に戸惑ってしまう。
「おきん」の父は彼女が子供の頃に牛に頭を蹴られ、それが原因で少し頭が弱くなったと疑っており、かわいい娘を不憫に思い憂う。
学校で運動会が開催されふたりも見学に行くが、「カルメン」が昔好きだった「田口春雄」(結婚して子供も一人いるが、戦争で目が不自由になり、生活にも困っている)のオルガン演奏の際に大失態を起こして滅茶苦茶にしてしまう。
名誉挽回とばかり芸術披露を思いつき、業者のおだてもあり"裸踊り"を行うことになるが、父や校長先生は恥かしいやら悲しいやらで、校長先生は興行主の「丸十」の親父「丸野十造」を投げ倒して、当日は仲間と家で酒を飲む。
翌日、「カルメン」と「マヤ」は村を離れるが、踊りでたんまり儲けた「丸野十造」は、「田口春雄」の借金のかたに巻き上げたオルガンを「田口春雄」に返してやり、妻の「光子」は泣きながら、学校の校庭で自作の曲を演奏している「春雄」にそのオルガンを持っていく。
校長先生と「カルメン」の父は、「カルメン」からもらったギャラの一部を「春雄」に渡し、本当の芸術家が村から出ることを祈る。
「春雄」は一度腹を立てた「おきん」たちにすまないと思い、「光子」と一緒に汽車の沿道へ出て「おきん」と「朱実」に感謝の手を振った。
-----staff/cast-------------
監督:木下恵介
製作:月森仙之助
製作補:桑田良太郎
製作総指揮:高村潔
脚本:木下恵介
撮影:楠田浩之
色彩技術:小松崎正枝
赤沢定雄
音楽:木下忠司
助監督:小林正樹
松山善三
川頭義郎
出演:
高峰秀子 おきん(リリイ・カルメン)
小林トシ子 マヤ朱実
坂本武 青山正一
磯野秋雄 青山一郎
佐野周二 田口春雄
井川邦子 田口光子
城澤勇夫 田口清
小沢栄 丸野十造
三井弘次 岡信平
笠智衆 校長先生
佐田啓二 小川先生
山路義人 村の青年詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
高峰秀子さんの清純で気品あるイメージがどどーんと覆された。
彼女の出演作で初めて観たものが『二十四の瞳』(1954)だったもんだからこれはかなりの衝撃。
テンションが上がると「わたしゃモダンな町娘~」とふらふら歌い出し、これでもかとばかり都会に洗練(!?)された様を村人に見せてまわる。(しまいには下着一丁で踊り始める…)
そんなギラギラした破天荒娘もお父さんを前にすると昔に戻る。駅に着いてからのチャラチャラした動きからヒールを脱ぎ捨て高原をバタバタと駆けて行くのを見て、完全に荒廃していた訳やないことを確信した。
日本初の総天然色映画。
モノクロを見慣れた当時の人たちからしたら(色んな意味で)目が覚めるような出来栄えだったに違いない。
まず「ストリッパー娘の帰郷」と題材からしてぶっ飛んでいる。目に優しい緑の里を、ケバい配色の服を着た女たちが闊歩。
それも全編通して綺麗なカラーで映したんやからきっと大いに話題になったんやろなー。
小津作品の常連役者、笠さんはモノクロでしか見たことがなかったからとても新鮮だった。(こんなに浅黒いお肌やったのね…笑)
ストリッパー娘でも彼女なりに信念というものがあって、それが何とも優しく描かれていた。そのためか、劇中眉をしかめることが一切なかった。
牧歌的に見えながら戦後の暗い影を背負った村。
娘の帰郷でラストにはいくばくか元気を取り戻したように見えた。(本人は露知らず、友達とバカ騒ぎしながら帰路についていたところがまた良かった)
観客にとって喜ばしかったのはやはりあのオルガンエピソードだろう。ラストはどう足掻いても、泣く。
あのオルガンで奏でられるテーマ曲『そばの花咲く』が劇中悲しく聴こえたり希望に満ちて聴こえたりしたが、きっとそれは本作の持つ魔力の一つなんやと思う。 -
デ・ニーロ主演、Taxi Driverに競り勝って権利獲得(笑)
本作をスクリーンで鑑賞することが出来るのは2度めの経験、おそらく前回は生誕100周年を祝してのLincoln Centerでの催しを通して。ただFilm Forumで鑑賞した記憶も交錯しているので初鑑賞はやはりそっちだったのかも。今日に限ってはMoMAで同時間帯にTaxi Driverを上映しており直前までどちらを鑑賞するか迷った挙句、高峰&木下ペアに軍配。それを祝するかのようにJapan Societyのメンバー向け新料金体系と巡りあい、二枚渡した$5札が一枚戻ってきた。いまどき見上げた心がけ。えらいぞ、Japan Society。
前回鑑賞してから今日まで間に観た邦画の本数がものを言い出した、クレジットされていない役者にまで目が行くのだ。今回は望月優子(本映画でのクレジットでは望月美恵子)と井川邦子をゆっくり拝見させてもらおうと思っていたのであるが、エキストラに紛れ込んでいた谷よしのを発見し内心狂気乱舞(笑) 彼女の存在は「男はつらいよ」シリーズを通して馴染み深くなったわけであるがwikipediaにも「島津のもとで助監督を務めていた木下恵介から声がかかり、通行人の役で出演した。以降、『カルメン故郷に帰る』など、木下作品にほぼ毎回出演した。」とあった。この部分は読んでいたかもしれないがすっかり忘れていたわけで、目だけで見つけられたのは誰にも伝えられない自分だけの喜び。他の木下作品、要もう一周だなこりゃ。
二度目の鑑賞ということでいろんな重箱のスミに目が届く。踊りはやはり小林トシ子の方が数段ウワテであったとか、笠智衆の歌声はそれなりに聴き応えがあるだとか、三井弘次がまだ元気に飛び回ってるのが微笑ましかったりとか、日本初のカラーで木下が魅せたかった女優は高峰秀子の次は井川邦子であったに違いないという勝手な確信とかとか。
字幕がよいのか単に滑稽なのか、場内の米人達はゲラゲラと楽しんでいた様子。きっと彼らとは「恥」の感覚にはズレがあるのであろうけど、NYCに住む人達だからこそ自身が生まれ故郷に帰った時のことなどを想像して共感できるところもあったりするのかなと想像してみたりもした。 -
日本初のカラー作品。
色味がかなり鮮やかなことに驚きました。
モノクロが主流の時代にこんな色鮮やかな作品が現れたら、当時の人たちはそりゃあ驚いたことでしょうね。
そして本作の魅力は、やっぱり主演のデコちゃんこと高峰秀子につきます。
元気で天真爛漫(この役はちょっとおバカだったりもしますが 笑)なデコちゃんは、まるで太陽みたいです。
彼女の明るい笑顔に戦後の日本はどれだけ元気づけられたんでしょうね。
本当に大好きな女優さんです。
木下&高峰コンビは本作が初だそうですが、デコちゃんの魅力を十二分に引き出せているんじゃないでしょうか。
ストーリーは他愛ないものなんですが、浅間山をバックにストリップを踊っちゃうシーン等々、作品に漂う大らかさとほのぼの感、あっけらかんとした明るさがすごく好きです。
(1951年 日本) -
カラー映像は鮮明でキレイだったが、それ以外は特になんとも
思わない映画だった。ただ、ストリップダンサーの踊りはけっこう
イケてた。あの野暮ったい音楽にもかかわらず。女性二人のスタイル
が良いし。サマになっていた。
高峰秀子って貫禄あるなあ。 -
日本初のカラー映画。
自然の中で歌い踊る姿がまぶしい -
初、木下恵介監督作品。
日本のカラー作品第一号。
クラッシックなコメディとして、時代を覗く記録として
興味深く、楽しめるものでした。
当時の世相を反映してでしょう、色々と事情を抱えた登場人物。
父、娘、富める者とそうではない者、田舎と都会
見栄の裏にある事情・・・
戦後日本の姿が映し出されている。
今回初めて木下恵介監督のつくる世界に触れて
その巨匠たる所以の一端を見られた。
日本の映画界には黒澤明以外にも
優秀な監督がいるのです。
知らないでいるのはもったいないとつくづく。
「喜びも悲しみも幾年月」を次に見ようと思う。 -
・・・・
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人間って素晴らしい!最後は胸がいっぱいになりました。
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芸術論がみえかくれ。
お父さんの最後のシーン。無駄なことってないのかなと。
健康的な太ももです。
日本初の総天然色ということですが、雲が美しくてずっと見ていたかった。 -
昔の草軽電鉄と北軽井沢駅が出てくる。
雄大な風景は浅間牧場あたりがロケ地だろうか?
高峰秀子が熱演。 -
長野、軽井沢などを舞台とした作品です。
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日本初のカラー映画だそうです。1951年の作品。水彩画の様なやわらかな色合いが印象的。