ぼくを葬る [DVD]

監督 : フランソワ・オゾン 
出演 : メルヴィル・プポー  ジャンヌ・モロー  ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ  マリー・リヴィエール  ダニエル・デュヴァル  クリスティアン・ゼンゲヴァルト 
  • 日活
3.67
  • (60)
  • (84)
  • (110)
  • (17)
  • (2)
本棚登録 : 492
感想 : 96
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4988103631283

感想・レビュー・書評

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  • 涙が止まらん。

  • 星1000個くらいつけたい。

    なんの前情報もなしに、作品紹介とパッケージの雰囲気でこれ面白そうと手に取るフランス映画が高確率でフランソワ・オゾン監督なのですが、こちらもオゾン監督作品。そしてオゾン監督作品で刺さらなかった作品がない。

    末期ガンで余命半年から一年を宣告されたゲイのカメラマンが、自分の人生にどう決着をつけるか、というテーマ。
    見始めた当初は彼がゲイであるということに理由はあるのかなと思いましたが(ファッションカメラマンという華やかな職業は、ガンというこれからの人生との対比なんだろうなと思ってました)、中盤で、なるほどそうきたか!と。さすがです。

    人生の終わりを見据えたからこそ関わる人間たちとのやり取りが、チープなファミリードラマにも感動お涙頂戴系ヒューマンドラマにもなっていないところが、すごくフランスらしいなと悶絶する思いです。

    祖母(ジャンヌ・モロー!)に会いにいったときの会話、
    「どうして私には話すの」
    「似た者同士だからさ」
    「……」
    「もうすぐ死ぬ」
    とか、帰り際写真を撮りたいといった瞬間にポーズを取るジャンヌ・モローとか、眠れないと祖母の寝室に訪ねたときの会話とか、ちょっとした瞬間がびっくりするほどリアルで、映画なのに演者が演技をしていることを忘れる瞬間があって、そういうのもオゾン監督作品が好きな理由だろうなと。

    そしてエンディング。圧巻でした。
    なにも説明されてなくて、モノローグもなにもなくて、すべては観客の解釈次第と言わんばかりの、でも淡々とエンドロールが流れる中、海の波の音が耳に入ってくる数分間。
    次の日、目が腫れてしまうほど泣きました。

    誰かと観たい映画ではなくて、一人でじっくりと観て、内省したり内側に向かって対話したくなる映画です。

  • 死に直面した時、
    一体何を悔み、求め、
    諦めて受け入れるのか。

    確かに己が失われていくことは、
    他者との関係性が終わっていくということと、
    自らを終えていくということの、
    両者が絡み合いながら、
    しかし最期はひとりだということ。

    庭に咲き誇りながら、
    一輪が神々しく咲く、
    バラの花のように。

  •  ずっと見たい見たいと思っていたフランソワ・オゾンの映画。
     同性愛者である主人公が、癌が契機となって、自分の死それから生まれ出る生命の両極端と向き合う物語。化学療法を避け、治療をせずに死を待つ。受け入れる、のではなくて、徐々に染み込ませるようにして死を受ける。死の告白をしたのは祖母にだけ。理由は「僕と同じでもうすぐ死ぬから」祖母は言う「あなたと今夜死にたい」しかし、死は共に出来ない。その孤独は、ひとりでベッドに横になって静かに嗚咽すること、姉を後ろから見守ること。孤独は、自分を自分だけのものにする。
     死を目の前にしてしまえば、すべての言動に、一体どれだけの価値があるのだろうかと思えてくる。それが一体なんになる?何にもならない、けれどもしたい。しておきたいと思うのか。
     皆に囲まれて、笑顔で、死を迎えるだけが幸せじゃない。
     死を克服したとか、受け入れたのではなくて、通過した。浜辺にいた人々が、主人公に構わず去っていく。わたしもそのひとりとなって、彼の死をおいて、去った。

    • Ryouさん
      オゾン監督は『スイミング・プール』などで注目していました。世間では「女性を描かせるのが上手い」といわれますが、そのオゾン監督が男、それも同性...
      オゾン監督は『スイミング・プール』などで注目していました。世間では「女性を描かせるのが上手い」といわれますが、そのオゾン監督が男、それも同性愛者を描くこと、しかもテーマは「死」。私にとってこの映画は、オゾン監督しかとっかかりがないのですが、yumiさんの流麗なレビューを読んでとても惹かれました。
      2010/09/05
  • 天からの導きの如く追尾良くDNAも思い出も後に残し、こんな理想的で素敵な死に方が出来れば最高だよなとは思う。

    あえて辛辣な態度で周囲の人を蹴散らして、ひとりで墓に入って行こうとする所など、若干過去の自分を観ているような居心地の悪さを覚える。
    悩みを打ち明けられる相手がひとりでも居るということは、すごく幸せなことだ。

  • "本能で動く。"
    きれいに片付き過ぎないところがいい。等身大で最期までの時間を生きる。
    それでいいんだと言われて肩の力が抜ける様な感覚。

  • 淡々と進んでいくのに、何故か胸に突き刺さる。号泣じゃなくて、気づいたら涙が出ている感じの映画。

  • 独りであることを恐れながらも、淡々と死の準備を整えていくロマンがひそやかに死へ向かって歩いてゆきます。静かで美しい最後にはため息さえ出ました。おばあちゃんとのやりとりの場面がいちばん好きです。「おばあちゃんも僕に似てるから。もうすぐ死ぬ」

  • 映像が綺麗。
    ああ、素敵だな、と思った。


    2007年某日。

  • メルヴィル・プポーの美しいこと…。
    『シューティング・スター』のやさ男ぶりしか知らなかったので、こんなに深みのある役ができることに、まず驚いた。
    この役は、彼のためにあるようにピッタリ。
    『死ぬまでにしたい10のこと』と少し似てるかな。
    でも、こちらの方が、私にはしっくり来て現実味がありました。

    エンディングの音楽が美し過ぎて、数日間頭を離れませんでした。
    とにかく美しい映画だったー。

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