- Amazon.co.jp ・本
感想・レビュー・書評
-
全体として、確かに幻想文学ではあるが主役は幻想の方では
なく、雰囲気や文体なのではないか、といった印象だった。
素直に幻想を楽しむのではなく、一歩引いたり捻ってみたり
単に素材として扱っているような感じとでも言えば近いの
かも知れない。決して楽しめないわけではないのだが。
生態学書とも言える「ケンタウロスの探究」、捻ったままで
終わる「ある鰯の自伝」、ギリシア語という伏線に膝を打つ
「リゲーア」あたりが好みかな。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
13人の作家による短篇17篇収録。
ブッツァーティ、モラヴィア、カルヴィーノ、プリーモ・レーヴィ、ランペドゥーサ以外は、初めて目にする作家ばかりだが、どの作品も読み応えあり。
悪魔たちの饗宴と化してしまったような婚礼の宴にあって、徹頭徹尾俗物ぶりを貫く花嫁の母の姿を描いた「壮麗館」、謎の生物をめぐって人間の欲深さを揶揄しているかのような「パパーロ」(いずれもモラヴィア)に見られる意地悪さが、とても好き。
「ゴキブリの海」(トンマーゾ・ランドルフィ)のハチャメチャ加減、「猿の女房」
(ジョバンニ・アルピーノ)にみる男の身勝手さ、「ある鰯の自伝」(ルイージ・マレルバ)も印象的。
ブッツァーティは、「コロンブレ」と「魔法の上着」の二篇。
<収録作品>
ジョヴァンニ・パピーニ「返されなかった青春」「自分を失った男」
アルド・パラッツェスキ「禁じられた音楽」
アルベルト・サヴィニオ「「人生」という名の家」
マッシモ・ボンテンペッリ「巡礼」
トンマーゾ・ランドルフィ「ゴキブリの海」
ブッツァーティ「コロンブレ」「魔法の上着」
アルベルト・モラヴィア「壮麗館」「パパーロ」
イタロ・カルヴィーノ「アルゼンチン蟻」
ジョヴァンニ・アルピーノ「猿の女房」「娘は魔女」
プリーモ・レーヴィ「ケンタウロスの探求」
ジョルジョ・マンガネッリ「虚偽の王国」
ルイージ・マレルバ「ある鰯の自伝」
ジョゼッペ・トマージ・ディ・ランペドゥーサ「リゲーア」