成尋阿闍梨母集―全訳注 (1979年) (講談社学術文庫)

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  • 長生きしたことを恨み嘆くとは、何と辛く悲しいことでしょう。八十歳を過ぎて、立派な僧侶になった息子たちを頼りに、阿弥陀仏のお迎えを待ってのんびり余生を暮らしていた、上東門院藤原彰子と同世代のこの女性は、平均寿命で世を去っていれば知らずに済んだ愛別離苦の悲嘆を味わわされたのでした。宋に渡って仏道を極めたいというのは、当時ではイスカンダルに向かうくらい大変なことだったでしょうから。全編「何で母を見捨てて行ったの」「もう早く死にたい」「でも死んだら極楽に行きたい」の繰り返しです。息子・成尋阿闍梨は無事宋に渡り、死んだわけではありませんが、愛する家族を失ってこれほど悲しんだ人がいる、ということを後世に伝えずにいられなかったのですね。

  • 2000東大

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成尋阿闍梨母の作品

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