闇を抱いて戦士たちよ (1979年)

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  •  70年代に書かれた全共闘文学の代表的作品のうちの一つ。主人公ルクス(マルクスのまぬけ)と彼の周囲の学生たち。
     ルクスと彼の入寮している学生寮で組織されている寮闘委のゲバルト隊長・倉本との会話に以下のようなやりとりがある。
    「どう見ても左翼面ではないが、そのくせ、ゲバだと聞けば妙に興奮しやがる」
    「ええ、そうなんです。ぼくは躰を思いっきりきしませるのが好きなんです。それもスポーツなんかじゃなくて……」
    「石を投げたり、角材を振り回したり」
    「ええ、それから鍬をふるったり。(中略)ぼくは封鎖の思想なんて、分からないんです。反帝闘争の拠点とか、自立の思想とか、そんなことはどうでもいいんです。」
     以上の会話の通り、全共闘を描きながら政治学生ではない主人公の目線で描かれている本作は、ただただ時代に翻弄される若者たちが描かれていて、主人公もゲバに参加したり作物を育てたり、作ったり壊したり何をすればいいのか分からない若者として登場し共感できる。青春の閉塞感に包まれた一冊。

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著者プロフィール

1947年高松市生まれ。京都大学文学部卒業。
1977年『榧の木祭り』で芥川賞を受賞。
主な著書:『糺の森』『約束の地』『京都伝説の風景』『大和は邪馬台国である』『百歌繚乱』
 『可能性としての連歌』『神武東征』『日出づる国の古代史』など。

「2020年 『月と太陽 日本書紀の女たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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