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感想・レビュー・書評
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17世紀イギリスの生物学者、ウィリアム・ハーヴェイの評伝。商人の子にうまれ、家運の上昇とともに、王の侍医にまで登りつめ、王党派の残党として隠棲した晩年から、名誉回復され、死亡するまでを書く。科学史的に重要な事項としては、ベネチア共和国のパドヴァに学び、静脈弁を発見したファブリチオに師事したこと、アリストテレス主義者であり、デカルトなどの機械的生物観とは区別されるべきこと、実験を重んじ、いろいろな動物の解剖から得られた博物学が基礎にあること、『心臓の動きと血液の循環』の構造や論理、などの記述が重要である。科学史のなかでも生物学は独特の発展があることや、アリストテレスにみられる目的因による説明が生物学とマッチすることなどの著者の視点も興味ぶかい。また、ガレノスやヴェサリウスなどハーヴェイの前史についても概要がつかめ、医学史・生物学史を学ぶうえでためになる。絶版のようだが、復刻してほしいものである。
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