トム・ジョウンズ〈1〉 (1975年) (岩波文庫)

  • 1975年6月16日発売
3.00
  • (0)
  • (0)
  • (2)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 6
感想 : 2
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 18世紀のイギリス作家フィールディングによる「散文による喜劇的叙事詩」。私生児である主人公トム・ジョウンズの生涯を喜劇的に描きながら、あらゆる"人間性"についてあらゆる技法を持って、作家曰く"調理"したもの(本巻は20歳まで記述がある)。

    "調理"とはいうものの、料理人としての客観性は甚だ欠けている、がそれこそがこの物語の醍醐味!客観性、平等性などクソ喰らえ!と言わんばかりに、痛烈で軽快な嫌味が其処此処に散りばめられていて実に愉快!愚かで浅はかな人間模様をツラツラと綴るならこれくらいのスパイスが効いてないと退屈してしまう。

    作者も訳者も、各巻の第1章は目を通さなくても良い(なんと省略してある版もあるらしい)と明言しているが、私はこの第1章こそ読むべきだと思った。あまり期待もせずに読み始めたのに、第1巻の第1章、その魅力にまるごと頭を殴られ、無理矢理覚醒させられた身としては、これこそ作家フィールディングの特徴なのではないかと思う。

    登場人物たちもそれぞれ個性的、かつ甲乙つけがたく愚かで浅はか。刺激過多なスパイスがなければ正直うんざりしていただろう程度にどうしようもない(特に一部の人間が)。神の教義とか道徳心とか、よくそんな自分の都合の良いように解釈できるな、ていうかたった1人への永遠の愛だ恋だ散々語った直後に他の女の上で腰振るってどういうこと、えっっ待ってそれ青姦では?とこういう感じ。怒涛の流れ。なるほどこれが人間か、気付きが深いです。

    次巻も楽しみ。

  • ストーリーは割と単純なコメディーだが、作者の顔出しがやたら多くて鼻に付く。文章も古臭いけど読む辛くはない。ただ若干退屈かもしれない。

    主人公のトムは気のいい奴だが浅はかなところがあって、その抜けてるところ故愛着を覚える存在。他のキャラクターもクセもあるけど根本的には皆善良で、肩の凝らない安心して読める物語。

全2件中 1 - 2件を表示

フィールディングの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×