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感想・レビュー・書評
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1971年下半期芥川賞受賞作。33歳で命を落とした母への追慕の想いを幼年の「僕」が主情的に語る視点と、張述伊(ジャンスリ)の一生を客観的に述べる視点とが交錯する中に、彼女の造形を浮かび上がらせる手法を取っている。前者では、作家は幼い「ジョジョ」にかえり、また後者でも身勢打鈴(シンセタリヨン)に託された抒情を失わない。かつての日本の最果ての地、樺太の真岡を舞台に描き出される小説世界は、不思議な哀感と温かみとを同時に併せもっている。李恢成は初読だが、小説の随所に朝鮮民族への郷愁のようなものが感じられる作品。
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第66回 芥川賞 2版
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