山川方夫全集〈第2巻〉小説 (1969年)

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感想・レビュー・書評

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  •  既読作は少なくなかったけれど、まとめて読むとそれら物語に通底しているもの(作家の生活・家庭環境も含め)、作家の抱えるその基となるところの澱みのようなものが色濃く反映(吐露)されていることに今回気づかされた。それぞれ作品の主人公の精神の飢え(欠乏感)というか、社会(現実)と折り合いのつけられないことへの屈託(刈られた自尊心に対する鬱屈)は生きた時代背景は変わっても青春期に抱く(あるいは向き合うことを強いられる)同質の闇であると思われる。なので登場人物の語りの内に生々しい自分の似姿を見つけることもしばしば。
    ただ敗戦を被った社会における脱力感(喪失感)といったものは、戦後の復興をとげたの頃に育った自分には想像することはできてもどこまで理解できているかどうか。その時代をくぐりぬけてきたヒトの心情(実感)はそう易く理解できるものではないと思う。
     収録作『演技の果て』『その一年』『帰任』『海の告発』『画廊にて』『にせもの』『ある週末』『海岸公園』『軍歌歌謡集』。・・半分以上既読ではあるが(読んだのは二十代頃かナ?)ほぼ記憶にない。

  • 冬樹社、昭和44年5月25日、第1刷発行、定価1200円

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著者プロフィール

山川 方夫(やまかわ・まさお):1930年、東京生まれ。慶應義塾大学大学院中退。「演技の果て」「海の告発」など5作が芥川賞、『クリスマスの贈物』が直木賞の候補となる。著作に『安南の王子』『愛のごとく』『目的を持たない意志 山川方夫エッセイ集』などがある。「ヒッチコック・マガジン」連載の“親しい友人たち”が探偵小説読者から高く評価される、謎を扱ったショートストーリーの達人でもあった。

「2023年 『長くて短い一年』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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