自然科学と社会科学の統一という標題に期待したが、
内容には少し残念なところがある。
自然科学も社会科学も、同じ道具や、同じ枠組みを利用することは可能だが、
再現性、不確実さ、状態の数など、定量的な事象での違いが大きい。
同じ自然科学の中でも、細分化されているのは、それぞれの領域において、
確率論的な過程と、確率的には100%に近いので、決定論的に近似する場合とがある。
近似の度合いが、自然科学の内部でもかなり違いがあるのに、
社会科学を人くくりで連携することの意味が明確ではない。
社会科学でも、法学の中で、文書化した法律だけについて扱う部分と、
経験や習慣などの文書化していない事象について扱う場合で、確実さが異なる。
基礎学問としての枠組みや、道具としての言語、論理学、数学を共有することはできるだろう。それをもって統一というのは、いかがなものだろうか。