科学と神―サイバネティックスと宗教 (1965年)

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感想・レビュー・書評

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  • 1まえがき
    2神の全知全能と本書の態度
    3自己増殖する機械
    4続・自己増殖する機械
    5機械崇拝の危険-魔法使いの罪の今昔
    6機械-人間混成系
    7社会科学とサイバネティクス
    8ゴッド・ゴーレム紹介と題す

    解説
    まえおき
    1ウィーナーの神とフレーゲ=ラッセルのパラドックスをめぐって
    2個体と種族の学習行動の相似性-RNA記憶、条件反射の原子論、バーネットの免疫理論
    3生物と機械の自己増殖ールイセンコ学説との関連について
    4曖昧な観念を扱う人間頭脳の能力ーとくに弁証法について
    5計算的、数学的社会研究の功罪-ウィーナー、ブラッケット、ノイマンの比較
    6ホメオスタシスと人生の目的
    =========================
    <ウィーナーの神>
    人事を尽くして天命を待つ

    ラッセル
    矛盾

    論理学
    階型理論

    物理学的対象を簡素kすると、量子学的飛躍をする
    ノイマン
    観測者の「抽象的自我(一次元高い存在)」の導入でおこる。

    <個体と種族の学習>
    生物の進化=種族の学習
    個体の学習過程の方が、種族の自然淘汰的進化ににている
    根拠、大脳生理学、免疫学

    個体の学習行動
    記憶に依存する

    プラナリア
    学習したRNAを食べさせると、よりはやく学習する

    RNAには個体の神経系の記憶学習を
    DNAは環境からの情報に対してゆく

    個体学習は、突然変異と自然淘汰の種族進化ににている・メンデルモルガニズム

    免疫は元々生物自身が抗体参政能力を持ち、それからの選択を行うのは環境(外来抗原)ということになる。ラマルキズム(獲得形質の遺伝)

    「本文」
     有機的に編成れた系は入ってくる通信文(メッセージ)をある変換原理に従って出て行く通信文へ変換する系である。その原理が完全していくように組み立てられるなら「学習」する系とよばれる。

     機械はゲームの相手からケーム人格の一部を吸収するので、抜け目なさを獲得していく。

     改善されていくチェッカーは個人の進化ににている。

    <機械と、生物の個体学習・生物の種族進化>
     万人には納得しがたいが
     ルイセンコ学説
     主張の核心「生物の遺伝子の担い手は生物とその環境を含めた系全体である」、ふるい生気論的な自然観?
     機械と生物の相似性2"作業的な像(オペレーティブ・イメージ)"
     生物もDNAも一種の「変換器」

    「鶏が卵を生む」「卵が鶏を生み出す」「DNAが卵を生み出す鶏を生み出す」「鶏小屋が(以下略)」
    生物は一般的に種族で集落を作っており、その集落自体がメンバーである個体の肉体に劣らず自己維持的な画像と機能像を持った存在
     DNAが遺伝情報を担うという概念は、DNAを含む通信回路の型についてのある制約を暗に前提しており、その通信回路はすでにのべたようにその環境にまで広がっていることがわかる。どこまでが情報源(または通信路)で、どこからが外の環境であるかは、おそらく絶対の境界はなく、扱う問題に応じてそれがきまる。

    ”場の量子論”その場が含むエネルギー量と自然指摘履歴条件の下でとっている”姿”にほかならない。
    通常の空間的に局在した物体としてではなく、生物または生命を空間をみたす場の現象として眺め、その見地から個体や種族維持機能や自己増殖機能像を浮き出させるようにするならば、従来の近代生物学とは異質であるがやはり科学的な生命像を浮き出させるのではないか。(注:これらはウィーナーや、ルイセンコの主張ではなく、あくまでも訳者の考え)

    「本文」
    機械
    インプットを、アウトプットに変換するもの。
    適切な解析と合成を使えば、アウトプットからインプットを引き出すのも可能。(人間も送る装置が作れる?)

    遺伝子の分子と周囲の液体の中の間にはなんらかの通信があるに違いない。そしてこの通信はあるダイナミクスを持っているに違いない。

    <機械崇拝者>
     自由企業と利潤経済の動機を標榜する機械崇拝者
     魔法は馬鹿正直であり、願うべきではないことですらかなえる。

     未来の世界は機械奴隷にかしずかれた安閑とした世界ではなく、我々の知能の緒限界への闘争がますます必要になる世界である。

    <あいまいな観念を扱う>
     曖昧な題材を曖昧なままで扱う→弁証法
     ウィーナー自身は弁証法に関心があったわけではないが、アナロジーの常用視していた。 彼自身もこれに優れており、物質世界やその他科学のいろいろな側面のアイソモルフィズム(型の共通性)にたいして鋭敏であった。

     彼のアナロジーの扱いは、論理学を主体とする西洋と、漢方医学などに代表される東洋の両方の長所を備えている。 

    「機械と人間の混成系」
     機械義手(補綴工学)
     機械翻訳

    <ウィーナーとノイマン>
     社会現象に対する数学の利用。
     ノイマン:数学的に扱える側面には明確に定式化。
     ウィーナーは対照的。彼にコンプレックス?
    (わりと慎重派。長期にいちような情報を集めるのが難しいから。)

    <ホメオスタシス>
    サイバネティクス、とは
    制御できないもの(A)、制御できるもの(B)
    Aのなかで調整できる変量の値を適当に定め、自らの望む状況をもたらす船の場合、風向や海の状態が今まで移り変わってきた模様によって舵をうまく取り、与えられた航路に沿うようにする

    ウィーナーのいうホメオスタシスとは
    ホメオスタシスの明確な目標はない。

    個体のホメオスタシスにおける情報のフィードバック回路は、現在だけでなく過去に得られた情報、環境に関する情報を獲得することが必要。さらには他人の情報も利用ができる。
    そして科学とは人類が環境について獲得し、蓄積、整理してきた情報。
    人間社会のホメオスタシスは科学の適切な利用によってもっとも効果的に営まれうる。
    完全に予見できない未来の変化に我々がホメオスタシス的に反応できるようにするためには、広大な情報をー用途がはっきりしない情報も含めてー蓄積、獲得しなければならない。

    ホメオスタシス、とは、
    生物や人間が環境に適応してゆくということは、いったいなにに対して適応することなんか、どんな目的目標に沿うように適応することなのか、という適応という概念の前提をなす基礎条件を意味する。

    ウィーナーのいう、社会における科学のホメオスタシス的機能というのは深い意味での実践的技術的機能の重要さを暗に示している
    (概念的なものではなく、マルクスのような唯物論的な機械的変化が社会にもたらすもの)

  • (1967.07.04読了)(1967.06.27購入)

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著者プロフィール

1894-1964。ポーランドに生れ、アメリカに渡ったユダヤ人の言語学者レオ・ウィーナーの長子として生れた。天才肌の父のもとで知能早熟児として出発した彼は、9歳でハイスクールに特別入学し14歳でハーヴァード大学に入学、18歳で数理論理学の論文で学位をとる。まもなくイギリスに渡りケンブリッジ大学でバートランド・ラッセルから数理哲学を学び、ついでゲッチンゲン大学にも学び、帰米して1919年マサチューセッツ工科大学講師、34年以後同大学の数学教授。30年頃から神経生理学者と共同研究に従事し、計算機械も生物における神経系も同じ構造をもつことを認め、その数学的理論としてのサイバネティックスを創始する。1948年『サイバネティックス』(邦訳、岩波書店、1958)を著わして生物学、工学、社会学等広汎な分野に関連し、著者の視野の広さと鋭さを示す。著書はほかに『サイバネティックスはいかにして生まれたか』(1956)『科学と神』(1965)『人間機械論』(第2版、1979)『神童から俗人へ』(1983)『発明』(1994、以上みすず書房)などがある。

「2020年 『発明 【新装版】』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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