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感想・レビュー・書評
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「ビブリア古書堂の事件手帖」で著者・小山清のことを知り、
ぜひ読んでみたくなった…で、古書サイトを彷徨ってみたんだけど、
さすがに新潮文庫版はつかまりそうにない…図書館で検索し、
こちらを手にすることができた。
おそらく、文庫収録作とは異なるんじゃあないだろうか…
本書は「わが師への書」「聖アンデルセン」「落穂拾ひ」「夕張の宿」
「朴歯の下駄」「安い顔」「櫻林」の7編。手にしたのは、ぼろぼろで
黄ばんだ本…歴史的かなづかいも雰囲気あるなぁ。
独白で綴られる文体…そのどれもが繊細な自意識に満ちていて、
あぁ、若い頃って、きっと誰もがこんなだろうなぁ…って思った。
懐かしくもあり、ちょっと前時代的な感じもするんだけど、
いや、きっと今の若者だって、多かれ少なかれこんなだろう…
中でも「落穂拾ひ」を面白く読んだ…古書店を経営する若き女性と
知り合いになった男…少しづつ会話を交わすようになり、
ある日、ささやかな誕生日プレゼントをもらう…
思いっきりオジサン呼ばわりされて…旧かなで書くとこう…をぢさん…
なんだか、お尻が痛くなるような書かれ方なんだけれど、
なんだか、このをぢさん…まんざら悪い気はしてないようで…
っていったお話。他になにが起こるわけでもないんです。
でも、なんだか、ちょっぴりくすぐったくなるような・・・
こういったテイストの話は、だんだん風化しちゃうのかなぁ…残念…
あぶらっこい料理のあとに、お茶漬け食べたくなるような一冊、
できることなら残して欲しいなぁ…たとえを替えるなら、
平成の時代に鳴らす大正琴のような小説だと思うんだけど…詳細をみるコメント0件をすべて表示