セブンス・コンチネント [DVD]

監督 : ミヒャエル・ハネケ 
出演 : ビルギット・ドル 
  • video maker(VC/DAS)(D)
3.85
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本棚登録 : 118
感想 : 19
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4571169961465

感想・レビュー・書評

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  • ただ何もかもが無機質で不気味
    ここではないどこか、セブンスコンチネントという虚無に至る恐怖
    物語のない、モノの集積だけの毎日は終わりに向かうしかない。

  • 物語は、娘エヴァが死ぬことを恐れていないという態度から、その家族は生きる意味を失い家族総自殺を行うといったもの。
    物語はひたすらに崩壊を辿ること、そしてその独特的な映像表現はすでに処女作から確立されていた。
    物語は必ず何のことない日常から始まる。ここで非常に感情移入しやすいというか、共感しやすい。
    映像は極めて具体的だ。もはやほとんど演者全体を映していない。相当クローズアップしているため、どこかの部位であったり、ある対象の一部分だったりする。

    この作家の虚構性は現実より現実味がある。
    不快を覚えるということは、そこに何かひっかかる問題があり、こうした態度は見習いたい。つまり、作家としての個性を発揮するときは、製作過程で感じる違和感に逆に従うこと。ミヒャエル・ハネケはどのような心理状態で映画を撮っているのだろうか。
    吐き気を覚えながら、撮っているのかなー、どうなんだろう。

  • 見たいけれど、怖くてずっとペンディングにしていた
    ミヒャエル・ハネケ作品をとうとう見た。

    色々と思案の末、この「セブンス・コンチネント」をファースト・ハネケにした。

    確かに言われていたとおり、救いの無い顛末だった。
    でもこれはこれでありだと感じる。
    ドキュメンタリーではない映画がいうフィクションであるのだから
    何かドラマティックな結末があってしかるべきとも言える。

    ただ、ハネケのような予定調和的な結末の無い
    切り落としただけの生々しい切り口の映画だってあって良いと思う。

    私が怖がっていたのはこの生々しさ。

    どこもホラーにもファンタジーにもしていない
    地に足の着いた生々しさが突き刺さった。

    ----------------------------------------------------------

    俗っぽく富裕層への階段を登るかにみえたこの物語の夫婦が
    どうして心中という最後を選択することが腑に落ちたのか

    目が見えなくなったと虚言をいう娘。
    自動車事故現場を通りすぎるときに見せた妻の涙。
    義弟の不安定な姿や上司との確執の末にある思いに至る夫。
    何かが家族に「その時」を告げる。

    決心した家族は協力して執拗に生活の全てを壊す。
    思い出の家具、楽しく書いたであろう絵、好きだったレコード
    そしてお金。
    完全なる消滅。
    生きていたことを消し去るように。

    夫が勢いで壊してしまった水槽だけは家族の共通認識として
    不可侵な領域だった・・・この時だけ皆の感情があらわになる。

    どのシーンをとってみても明確にこういうことだと説明するのは難しい。

    何度も見ればわかる部分もあるだろうが
    何度もは見たくないなぁ・・・(笑)

    これでハネケの筆おろしは済んだ。
    次予定「ファニー・ゲーム」・・・怖ッ

  • 一家心中という淡々とした作業。
    自殺という行為でありながら陰鬱さを感じないのは登場人物に漂う無機物感からかもしれない。


    終盤は家具や本、写真、服 あらゆる部屋のものを破壊するだけのシーンが続くのはちょっと見ていて気持ちよさそうだと思ったけれど、
    現金をトイレに流すシーンは衝撃。胃が痛くなるw


    捉え方によってはひたすら不快なだけかもしれないけれど、
    この家族はポジティブに死を受け入れているように思えて 
    今まで見て来たハネケ映画とくらべると見終えた後の気持ちが新鮮 肩の荷がおりたような スッとした気持ちになった。

  • 札束を便所に流すシーンが延々と続きます。

  •  オーストリアで実際にあった一家心中事件を映画化。一家が心中に至るまでの3年間を追う。
     鬼才ミヒャエル・ハネケの映画監督デビュー作。

     この映画はなぜ普通の一家が心中したのかの答えを与えない。淡々と日々の生活が描かれ、おかしいようなおかしくないようなと見てると、突然もう心中を決意している。一家が心中の前に家中のありとあらゆるものを破壊し、引き下ろした全てのお金をトイレに流したのは実際行われたことだ。
     この事件とこの映画から何を感じるか。行為の積み重ねとしての生。物質社会への批判。とにかくモヤモヤ色々考えずにはいられない。
     DVDには監督のインタビューが入っていてこの映画を考察する助けになる。お金をトイレに流すシーンに最もクレームが来たというエピソードがまた考えさせる。

     この映画は衝撃である。
     ミヒャエル・ハネケは最初っからハネケ全開であった。

  • それぞれのカットが独特で魅力的だった
    エヴァの雰囲気が何ともいえない感じ
    はっとする映像でも、それがずっと続くと自然と違和感が無くなっていく

    ラスト、衝撃。

  • 普通の家族が突然、崩壊。
    その理由は分からない事件。
    ホラーよりホラー。カルトよりカルト。
    それが実際に起こったことだから、不思議。
    それをアップを多様する独特のカメラワーク、
    断片的な編集で、どんどん引き込まれる。
    でも、人にはススメられない。
    話のネタにはなります。

  • 人の心をえぐらせたら世界一、我らがハネケ先生の処女作品。

    序盤は父・母・娘三人家族の何の変哲も無い生活が淡々と描かれる。何が言いたいのかはっきりしないボヤッとした展開+顔を映さず生活用品ばかりにフォーカスした奇妙なカメラワークが続くばかり。不穏な空気は続くが具体的なことは何一つ起こらず、物語の方向がはっきり見えないのでやきもきする。

    さすがのハネケと言えどやはり処女作、まだまだ甘さが残っていたのか…と思い始めたところで、やはりというかなんというか突然垂直落下式の驚愕展開が待ち構えていて、前半が意図的なフリだったことに気付かされた。

    最終的にはいつもどおり、震えながら事態を見守ることになり、気がついたら映画が終わっていた。


    はっきりと言葉としては出てこないが、明らかに物質世界、モノに埋もれた現代社会に対してのカウンターになっている。

    処女作からこのパンチ力、圧迫感、無駄を削ぎ落した完成度。さすが。

  • 「ファニーゲーム」という世にもむかつく映画を撮ったハネケ監督の処女作。
    淡々とした描写。そして途中にはさみこまれるブラックアウトの画面。
    その繰り返しの中に徐々に伏線がしかれていき、ついにはエンディングに至る。
    本当は魚を飼っている設定ではなくて、犬とかを飼っていたりすると、もっと鬱になったかもなぁ。
    でも、これはこれで面白い。引き込まれる映画である。

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