イカとクジラ [DVD]

監督 : ノア・バームバック 
出演 : ジェフ・ダニエルズ  ローラ・リニー  ジェス・アイゼンバーグ  オーウェン・クライン 
  • ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
3.16
  • (14)
  • (38)
  • (109)
  • (22)
  • (7)
本棚登録 : 367
感想 : 71
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4547462041807

感想・レビュー・書評

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  • ルー・リードが10月に死んでたのをこの映画を観たのがきっかけで
    いまさら知ったぁ・・・・・・・・・・・・・・・
    いや、あの人は絶対に死なないって勝手に思ってたんで
    けっこうショックでその日は呆然としてました・・・・・・

    その話はまた次に書くとして、この映画の主題歌、
    メインで使われてる楽曲の話。
    ノア・バームバックの映画は音楽が重要だと思う。

    ひとつはピンク・フロイドの『Hey You』。
    劇中にも出てくるけど『The Wall』の。
    もうひとつはやはり劇中でもひとことだけ言及される
    ルー・リードの『Street Hassle』。NYだしね。
    http://youtu.be/bkG9BKgDvNI
    ルー・リードのソロは最初の方の3枚しか持ってないんで
    知らなかったんですけど、これがめちゃくちゃ名曲・・・
    女が男を金で買ってセックスするというような詩。
    http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20051003

    『The Wall』の方は、たぶんザ・フーの『Tommy』+『1984年』のような
    管理社会を管理教育に置き換えた青春の葛藤ものじゃないかと
    勝手に思ってますが、『Hey You』は孤独感とかそういう内容だったような。

    他の楽曲だと、ペンタングルのバート・ヤンシュ。
    この人も2011年に亡くなりました。
    ペンタングルの1st.は持ってるけどちゃんと聴いてないや、今度聴こう。
    あとGalaxie500→Lunaの人。


    映画の内容はノア・バームバックの自伝的作品。
    両親が映画評論家とか、小説家なんだけど
    考え方がそういう人たちにありがちな、正論だけど教養のない人を見下したり
    自由奔放だったりして、その影響と
    離婚のせいで兄弟の生活にだんだん問題が出てくる・・・
    コメディというかこれも悲喜劇ですね。それと青春映画。
    『マーゴット・ウェディング』とだいたい似たような感じで
    やっぱりボロボロになる家族。

    親の描写についてはけっこうわかる部分があって
    内容には共感できます。
    全体的に★4ぐらいだけど、音楽で増量。


    この映画はブクログの、フォロワーさん周辺
    とくに音楽、本、映画好きの人は面白いと思う。
    カフカのところとか、『ブルー・ヴェルヴェット』とか。

  • 冒頭の父兄と母弟のテニスのダブルスシーンでこの家族の現在の状態が判る。

    このストーリーの最終的な焦点はどうやら兄のよう。
    この少年、ピンクフロイドの曲を盗作してコンテストに出るは、読んでもない本の批評を父の言葉で人に語る。
    気になる女の子との付き合いも、友人や父親の意見に左右されて、結局自身で向き合うことができずに傷つけて逃げ出す始末。
    …なんというか、すっっごく、親近感を抱いてしまった。

    ひとりの人間と付き合いが深まれば深まるほど虚飾を捨てて自分をさらけ出さなければならないし、かといってあの年頃ってまだ自分がどんな人間かはっきりしないので、未来も含めて自分と向き合うのが怖かったんだろうなー…とか、途中から大分に兄に感情移入して観てしまった。

    なので、ラスト、自然博物館のイカとクジラの模型を見に行くシーンにほっとした。
    母親と仲が良く、弟もまだ生まれておらず、羊水の中の胎児のように何の不安もなく一番幸福だった頃の記憶。
    その頃に見た恐ろしい「クジラとイカの格闘」。きっとその頃から両親の不和や、ひいてはこの先待ちうける困難さを漠然と察していたんだろうな。

    そんな自分の根本と向き合う兄。
    父親に対する幻滅も、ある意味一人の人間になる通過儀礼だったんだろう。
    世の中の人間なんてみんな、不完全で欠点だらけで汚い。
    そんないびつな人間が築く関係は、やっぱりいびつで脆くて醜い。
    それでも…と、そう思わせてくれたので、なかなか後味は悪くない作品でした。

  • 製作はウェス・アンダーソン、監督は『ライフ・アクアティック』『ファンタスティックMr.FOX』の共同脚本を手がけたノア・バームバッカということで、『グランド・ブダペスト・ホテル』公開に合わせて鑑賞。まさかルー・リードの曲が使われるとは思ってもいなくて、もっと早く鑑賞すべきだと後悔。他の音楽も決して派手に使用されてはいないんだけど、良かった。

    『ライフ・アクアティック』でも『ファンタスティックMr.FOX』でもそうだが、大人になりきれない大人、と、大人になろうと背伸びする子供たちがここでも描かれている。一家全員かなり厄介もの揃いで、それぞれの家族からの自立が描かれている。父は過去の栄光にすがりつき、母は姦通を犯し、長男ウォルトはホラ吹きで、まだ幼い次男フランクは母恋しさ故に性欲を爆発させる。

    ノア・バームバッカの自叙伝的なものらしく、物語はウォルトの自立に中心が置かれている。どうしようもなくダメなやつなんだけど、可哀想で仕方がない。ピンク・フロイドのくだりは何とも切なかった。父を崇拝するあまりに、本当のことが見えなくて、偽っている。それ故タイトルにもなった「イカ」と「クジラ」の意味が最後明かされる際には、その深い意味に胸がきゅーっと締め付けられる。とにかく本当に良く出来た脚本でした。

    ウォルトを演じるアイゼンバーグは本当にこういう偏屈な悩める青年役が似合う。他のキャスト陣も絶妙な演技を魅せてた。決して派手な演出もなく、テンポが良いわけではないんだけど、脚本の良さが際立つ良い作品だった。

  • 初ノア・バームバック。アカデミー脚本賞など受賞。
    共に小説家である両親の離婚に巻き込まれた兄弟たちの話。

    一瞬、イカとクジラを下ネタだと思ったのはここだけの話。

    そんな戯言は置いといて、本作。
    序盤から父親・兄vs母親・弟みたいな構図で描かれる。
    プライドが高く、典型的なダメ文化人みたいな親父と彼を慕う兄。
    感情に流されやすく、愛人作り放題の母親と彼女に憧れる弟。

    離婚以前から両親の関係は悪かったんだろうけど、離婚/別居っていう事実が子供たちを更に悲しませてしまう。
    そのストレスから兄は盗作を、弟は性的非行をしてしまう。

    兄は父親の影響を受けて、弟は母親への慕情のようなものからそれぞれの非行に走ったんだろうけど、根底では二人とも家族の平穏を夢見ているのだろうと、切なくなる。

    もちろん、両親ともダメ人間だけれども、両親を断罪だけする気にはなれない。私だってどこかしらダメ人間だからだ。そして、兄弟たちだって両親を断罪したいとは思わないだろう。自分の両親だからだ。だから、家族の話は難しい。

    家庭を持つっていうことの意味をなぜか考えてしまった作品。
    それを決して重厚なテイストではなくシュールにコミカルに、子供たちの目線から捉えている点は、好感が持てる。

  • 2005年に、親の離婚を題材に作ったのが本作。
    2019年に、自分の離婚経験で「マリッジ・ストーリー」を。
    まさか14年後に「同じ話」を作ることになるとは思わなかったに違いない。
    だってノア・バームバック、ジェニファー・ジェイソン・リーと結婚したのも2005年なんだもの。
    いや、薄々感じていたからこそ??

    共同親権・共同観護という制度を初めて知ったが、アメリカでは結構あることなのだそう。
    離婚率とも関係があるんだろう。
    とはいえ一週間のうち三日は父親、三日は母親、という行き来は、子供にとって結構しんどいだろうな。
    しかも親のセックスの臭いがぷんぷん漂うとか、結構な地獄……。
    映画が始まったテニスのシークエンスで、兄は父親を、弟は母親を、それぞれ好きだということがすぐわかる。
    好きじゃないほうの悪いところはもう知っているし、好きなほうの悪いところも見えてくる……それも仄見えてくるというレベルではなく、もろに親の嫌な部分がモロ見えになる、と。
    そりゃ弟おかしくなるわ。自慰して図書館の本になすりつけるとか。
    兄も歌をパクって自作と主張したり、カフカの話をしている子に「それってとてカフカ的だね」と言ってしまったり。
    うーん……兄弟それぞれの歪み、覚えがあるなー……。
    しかし最も憶えがあるのは、父親。半端なインテリ。
    運動する人を馬鹿にして脳筋と断じたり、文学を知らない者は底が浅いと言ったり、とか、あいつは文化レベルが低いよ、とか。
    いけないと思いつつつい思っているし、言うべきではないと思いつつつい言ってしまっている。
    いまはまだ娘が幼いから状況は違うが、十年後に私が娘に空疎なカルチャーマウントを取っていないとは思えない。
    体調が悪く苦しんでいるのに「そういやゴダールのジャンプカットについてどう思う?」と訊いてしまうとか、笑いを通り越して身につまされるわ。
    そんなひどい父親に対して気を使う兄弟が、不憫というか哀れというか。
    弟「風邪引いた」父「じゃ風邪薬買ってこい。金をやる」とか。
    父「映画見に行こう」兄「「ショート・サーキット」でいい?」父「「ブルー・ベルベット」にしよう」んで息子の彼女を交え3人で見に行くとか。
    そういう細部が、面白さ/切なさで味付けされている。

    ところでタイトルは「ダイオウイカとマッコウクジラ」なのだと思うが、ちょうどいいタイトルだなー。

    町山智浩のアメリカ映画特電は無料公開されているので、かなりいいサブテキストになった。
    「大人は判ってくれない」「野生の少年」を関連付け。

    ・ジェシー・アイゼンバーグ……本作から5年後に「ソーシャル・ネットワーク」。
    ・ローラ・リニー……「愛についてのキンゼイ・レポート」の人。そして「エミリー・ローズ」にも出ていたのだとか。
    ・「ピアノ・レッスン」のアンナ・パキンが出ていて、その年齢なりに(いい意味で)つまらないJDになっていて、感慨。

  • 井の中の蛙父と、井の中のおたまじゃくし長男

    きっとおたまじゃくしくんは足が生えたら外の世界に出て行くんだろう

    ドライな視線が好みだった

    (THE SQUID AND THE WHALE/2005)

  • 結婚は厄介だよ、が詰まりまくってる作品で嫌いじゃない。
    若かりし頃のジェシーが見れて嬉しくなった

  • 2019/12/15
    以前に観たのを忘れてまた観てしまった。
    両親はインテリだけど、親らしさがまったくなく、一人の人間として隠し立てなく生きている。そういう部分に羨ましさを感じないわけではないけど、それに振り回される子どもたちはたまったものではない。
    イカとクジラというのは自然博物館にあった模型のことで、母親との距離が近かった幼い時代の象徴のようなもの。長男はそこを拠り所として懐かしんでいたのだと思うが、最後に改めてイカとクジラの模型の前に立ったのは、きっと、もうここに還ってばかりはいられないのだという決意のようなものだったのではないかな。

  • ★3.5

    小説家の両親+思春期の息子2人。
    離婚しても問題山積みでも結果丸く収まる……訳がない。

    みんな自分の言い分があり、感じるものがあり、求めるものがあり、事情があり。
    そりゃもう好き勝手やりたくもなる(笑)

    タイトルが気になって借りたのたが、見終わってなんとなくしっくりくるような。ハッキリとはわからないのだが。

  • 長男がどこかで見たことあるなーと思ったら、ソーシャルネットワークでFB創始者を演じていた人であった。

    簡単にいえば離婚モノ。
    今(なんでだか)流行りのブルックリンが舞台です。

    弟の壊れていく様にヒリヒリします。

    ウェスアンダーソンが制作で関わってるというところで手に取った1枚。

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