Atonement: A Novel (English Edition) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 2001年発行なのでmodern library's listには載っていませんがTIME's best 100には載っています:http://entertainment.time.com/2005/10/16/all-time-100-novels/slide/atonement-2002-by-ian-mcewan/

    この本は暗すぎて過去に3回も読了を断念していたところ、この夏頑張って最後まで読み切りました。想像力・創造力を武器とする人類の限界と可能性を豊かな表現で綴った名著です。とにかくとことん人間の愚かさや弱さに絶望させられ、最後の方で人間の力に希望を抱き、一番最後に微妙な心境にさせられるという疲れる本です笑 また、「想像する」という最も人間らしい作業をあらゆる角度から検証した小説でもあります。

    私は相変わらず感動を言葉に変換するのが不得意なので、印象深かった点をリスト化しておくにとどめたいと思います。頑張れば作品研究書ける気がするしあんまり考えていると書きたくなっちゃう。まだ発行されて日の浅い本だからこそ書き甲斐がありそう。あと前回読んだLolitaへの言及がなされてたのが嬉しかった(Lola)。好きな作家がもう一人の好きな作家にpay tributeしてるのはなんか嬉しいよね。


    【テーマ】
    ・死と生。戦場と病院の対比。医学。究極の死(誰にも看取られず、名も個性も奪われたjust another soldierとしての戦場での死)と、究極の生(物語の登場人物となることで得られる永久の生)の対比。

    ・嘘の破壊力と物語の力。現実世界と想像の世界の行き来。想像の世界が現実世界を歪ませる場面(嘘)と、想像の世界が現実世界を補充・修正・強化する場面(物語)。

    ・好奇心・本能に突き動かされて、理由もなく幻想を追い求め、結果破滅を向かえる人間。光の奥に更なる闇があると錯覚し、光を目掛けて飛んでゆき自滅する虫の例え。

    ・上記と関連して、理由もなく、誰のせいでもなく悲劇を引き起こしがちな人類の象徴。これがマクロで起こってるのが戦争、ミクロで起こってるのがこの本の内容。

    ・光と闇。特に夜。

    ・本や劇(物語・空想)と図書館。図書館で起きた現実の愛と、空想の愛(The Trials of Arabella)。

    ・作者と神の対比。

    ・社会的信頼(Paul Marshall)と真に意味のある信頼(Cecilia→Robbie)。

    ・償いと赦免


    【スタイル】
    ・入れ子式小説
    ・Virginia Woolfへの批判?小説の「登場人物」という要素の再評価

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