パリの恋人 スペシャル・コレクターズ・エディション<デジタル・リマスター版> [DVD]
- パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン
- Amazon.co.jp ・映画
- / ISBN・EAN: 4988113758833
感想・レビュー・書評
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オードリーヘプバーン&フレッドアステアの『パリの恋人』。映画そのものはそこまで面白くない、むしろ若干胸糞だったのですが、当時の時代背景なんかを考えると非常に興味深い作品。
オードリーの映画は7本ぐらいしか観れてなくて、代表作をちゃんと観てなかったりする。でも、あんまり面白いのがなくて。
今まで観たもので人にお薦めするなら、まず当然『ローマの休日』、あとは『シャレード』と『暗くなるまで待って』がすごく面白かったので好きです。(『ティファニーで朝食を』は駄作だと思う。)
『ローマの休日』は観てない人の方が少ないと思うけど、テレビで放映されてたりすると何度も観返す映画。
『シャレード』は『北北西に進路を取れ』に続いて今のアクション映画の源流になってると思うので、男性女性ともにお薦め。
『暗くなるまで待って』は、元々好きだったけど色んな人が褒めてる映画だって今知りました。ウィリアムワイラー、ヒッチコック、ジョンフォード、デヴィッドリーン、ジョンフランケンハイマー、ジャンピエールメルヴィル、フェリーニ……あと淀川長治先生。
他の人の、オードリーの映画の感想を読むと「オードリーが素敵、かわいい」「衣装が素敵」とかばかりが並ぶ。この評価は実は正しくて、オードリーはアイドルで、アイドル映画ってことの証左だと思う。薬師丸ひろ子主演で相米慎二、大林宣彦、森田芳光、澤井信一郎なんかが映画撮るのと同じ。
私は演技についてよくわからないし(特に外国人。セリフがネイティブじゃないため)、映画においてはけっこうどうでもいいと思ってるので、普段あまり言わないことにしてる。が、オードリーの演技は下手って言う人もかなり多い。
もうひとつ、オードリーは歌が下手。それはこの『パリの恋人』を観てもわかる。なんでそういう発声なの??ってぐらい下手だと思う。
しかし、オードリーは元々バレリーナだったから、ダンスはすごく上手い!この映画ではオードリーのダンスを堪能できる。
ただし胸糞悪い、モヤモヤする映画でもある。
まず女編集長、こいつが失礼すぎて普通にムカつく笑。のちにヴォーグ誌の編集長になったダイアナヴリーランドって人がモデルだそうだけど、同じくヴォーグのアナウィンターがモデルなのが『プラダを着た悪魔』なので、『パリの恋人』が元ネタになってる。
『パリの恋人』の原題は『Funny Face』。このニュアンスは使う状況で変わると思うので難しい。普通に「変な顔」、ブスってのが直訳だけど、「個性的でかわいい」みたいにポジティブな意味で使われることもあるらしい…もしかしたらこの映画以降なのかも。
どちらかというと、「あー今日めっちゃブスだわ」とか、アイドルや若い子とかがよくやる「変顔」に一番近いのかもしれない。あの変顔って、結局かわいい子しかしないんだよね。だから私は好かない。
この映画って、本屋で働いてる知的だけどファッションに興味ない地味な女子が、あなた本当はかわいいんだからおしゃれしなさいよ!そうしたら変われるから!って話なので、押し付けがましい。
いや最初の地味なオードリーめっちゃかわいいじゃん!本屋で働いてるとか最高じゃん!変えんなや!と(ただ好みなだけ)。
オードリーが言う作中造語の「共感主義」というのは、字面でみると共産主義に似てるけど(1957年だし)、英語だとempathicalism。どちらかというとexistentialism、実存主義の方に似てる。フランス人の共感主義の教授とオードリーが黒づくめなのは「実存主義ルック」。アメリカだとビートニク、ビートジェネレーションがその影響で生まれて、この映画が公開された1957年ごろがピークだったらしい。ケルアックの『路上』が出版されたのがこの年。
この映画は、それを揶揄してるフシがある。
それだけではなくて、この映画のオードリーの役は「自分の意思がない」というか、あるけどふらふらしてるし棚ぼた的。最終的にものすごく保守的、「これが女の幸せよ」とでも言わんばかりの終わり方。(The Endって出ずに、まだ続いていくって感じで終わるので若干救われるけど……。)だから胸糞悪い。
『ローマの休日』がなぜ名作かというと、この映画とは逆だからです。
面白いのは、アメリカ人の「フランスに対する屈折した愛情、羨望」が感じられる点。touristを「おのぼりさん」としたのは名翻訳だと思う。
この逆に、フランス人がハリウッド映画に影響されてできたのがヌーヴェルヴァーグ。『シェルブールの雨傘』『ロシュフォールの恋人たち』はアメリカ文化であるミュージカル。
とにかく見どころはオードリーとアステアのダンス、ほぼそれだけの映画だと思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
BSジャパンで放映していたミュージカル映画『パリの恋人(原題:FUNNY FACE)/1957』を観ました。
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「オードリー」の歌は、結構、雰囲気で聴かせるものがある。
『マイ・フェア・レディ』のような純然たるブロードウェイ・ミュージカルの映画化ならいざ知らず、こういった小唄映画ならば充分通用する。
そして、「アステア」に負けじと、元バレリーナの特技を活かしてダンシング。
黒づくめのモダン・バレエ風のナンバー、“基本的共感主義”が特にいい。
物語は、ファッション雑誌の撮影に乗り込まれた古本屋の「オードリー」が、カメラマンの「アステア」にスカウトされトップモデルとなる。
現代思想にかぶれた彼女は、途中で自らの実存の虚しさに気づき、行方をくらましたりもするが、最後にはハッピーエンドを迎える、というもの。
撮影でウェディング・ドレスを着て、感きわまって泣き出してしまう姿が可憐だ。
撮影コンサルタントに、ファッション・フォトの第一人者「R・アヴェドン」を迎え、その写真がコラージュされた画面は、映画にテンポを生んでいる。
女性への褒め言葉に“ファニー・フェイス”が使われ出したのも、この映画からではないだろうか。
無論、自分の容貌を気にする「オードリー」に、「アステア」が“君はユニーク”と賞賛してそう呼ぶのだ。
とにかくカラフルな作品である。
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久しぶりにミュージカル映画を愉しみました、、、
映像がお洒落でカラフルなことも印象的な作品… ムズカシイことを考えず、愉しんで観れる作品ですね。
ニュー・ヨークのファッション雑誌「クォリティ・マガジン」は新しいモデルを探し出して「ミス・クォリティ」と名づけ、パリの世界的デザイナー「ポール・デュヴァル」に衣裳を作らせてファッション・ショーを開き、その写真を独占して大いに雑誌を売ろうと計画した… 「ミス・クォリティ」のモデルを探す役は、有名なファッション・カメラマンの「ディック・エヴリー」、、、
「エヴリー」は苦労の末、「ジョー・ストックトン」という娘を見出した… 彼女はある古本屋の店番で、パリの「フロストル教授」が主宰する「共感主義」の哲学を信奉するインテリ娘だった。
「ジョー」はもちろん、ファッション・モデルなどに興味はなかったが、パリに行けば崇拝する「フロストル教授」に会えると言われ承諾… 「クォリティ誌」の主筆「マギー・プレスコット女史」と「エヴリー」・「ジョー」の一行がパリにつくと、「ジョー」は早速、画家や詩人や共感主義者が集まる裏街のカフェーに行った、、、
翌日、「デュヴァル」のサロンでは、見ちがえるほど美しくなった「ジョー」の姿があった… 「ミス・クォリティ」を紹介するパーティの夜、「ジョー」は「フロストル教授」が裏街のカフェーで講演することを知ると、パーティのはじまる前の寸暇をぬすんで出かけて行った。
「ジョー」ははじめて「フロストル教授」に会って、「フロストル教授」がまだ30代の青年であるのに驚いた… 「ジョー」の後を追って来た「エヴリー」は「ジョー」をうながし、「デュヴァル」のサロンへタクシーを走らせたせるが、途中、2人の間に口論がはじまった、、、
「エヴリー」は若い青年の「フロストル教授」が彼女に興味を抱いている様子が気に入らないのだ… 「ジョー」は「フロストル教授」の前で「エヴリー」が無礼なことを云ったと腹を立てていたのだ。
2人の口論はサロンに着いてからもつづいていた… そのお陰でパーティは滅茶々々になった、、、
翌日、「エヴリー」は「ジョー」が「フロストル教授」の部屋にいるのをみつけると、「ジョー」を連れ帰ろうとした… 昨夜見せられなかった「デュヴァル」のデザインしたドレスを今夜発表することになっているからだが、一つには教授の野心を見抜いたからだった。
しかし、「ジョー」は「エヴリー」のそんな態度が気に入らず、絶対帰らぬといい張って喧嘩別れしてしまった… 「エヴリー」が帰ると教授は、「エヴリー」が見抜いたとおり、「ジョー」に愛を求めようとした、、、
彼女ははじめて教授の本心を悟り、部屋をとび出すと、「デュヴァル」のサロンへ急いだ… 難産だった、「ミス・クォリティ」はやっと誕生し、「エヴリー」と「ジョー」は結ばれた。
安心して観れるハッピーエンドの作品でしたね。
-----staff/cast-------------
監督:スタンリー・ドーネン
製作:ロジャー・イーデンス
脚本:レナード・ガーシュ
撮影:レイ・ジューン
音楽:ジョージ・ガーシュウィン
アドルフ・ドイッチ
出演:
フレッド・アステア
オードリー・ヘプバーン
ケイ・トンプソン
ミシェル・オークレール
スージー・パーカー -
どんな洋服も似合う素敵なオードリーとパリの街にうっとりで、
観ているだけで幸せな気持ちになりました。
撮影で使われた場所に、実際に行ってみたくなりますね。 -
オードリーがモデルとして美しく成長していく過程や、華麗なファッション。(ルーブル美術館の階段を、真っ赤なドレスで下りてくるシーンは、下を見られないので転落覚悟で臨んだそうです) フレッド・アステアとのダンスもかっこいいし、おいしいところが詰まった楽しい映画。