男はつらいよ 寅次郎真実一路 HDリマスター版 [DVD]

監督 : 山田洋次 
出演 : 渥美清  大原麗子  倍賞千恵子  前田吟  下條正巳  三崎千恵子  米倉斉加年  風見章子  津島恵子  辰巳柳太郎 
  • 松竹
3.52
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感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4988105058668

感想・レビュー・書評

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  • "男はつらいよ"第34作。冒頭のショートドラマは怪獣もの。そして本編では激務に励む証券会社の課長と出会って。。。ビル街を歩く寅さんもめずらしい、日本の経済が頂点を迎えていたころの猛烈社会の描写。やがて心が折れてしまった彼を追って美人妻とともに故郷の鹿児島へ。一転して広がる田舎の風景(笑)そして道ならぬ恋と自分の醜い気持ちに気付き自己嫌悪する寅さん。物語は課長さんたちの側でハッピーエンドを迎えるが、内省的な雰囲気が漂う寅さんサイドが印象的。
    勘違いして駅で来ない列車を待っていた南薩の廃線跡を、笑いながら歩いていく寅さんの姿は、終わりからの再出発と未来への歩みの象徴か。

    それにしても課長さんはときどき出演していた柴又の刑事さんだなあと。前作ののぼるといい、懐かしい顔に少し暖かい気持ちになる。

  • シリーズ34作目。マドンナは2度目の登場の大原麗子。

    旅に出るという、で、いつもは行方を勝手にくらませては周りを心配させる寅さんが、今作では失踪した彼女の夫を探す側に回るという一風変わったストーリー。しかし、「寅さんが逆の立場に立つことで自分の振る舞いを反省するなどという単純な話ではなく、人妻であるマドンナに惚れた寅さんは「このまま夫がいなくなれば」と期待してしまった自分の浅ましさに気づいて絶望してしまうという辛い物語でした。

    そういう悲しい話ばのですが、「奥さん、オレはきったねえ男です」と別れを告げながら、間違って押入れの襖を開けるとう、泣かせながら笑わせるシーンは絶品でした。

    「笑い」といえば、前回初登場の美保純がレギュラーとなり、口の悪いはすっぱ娘として随所で笑いを提供してくれるのも最高でした。

    マドンナの大原麗子は2度目の登場ですが前回と別人の役。彼女の夫役は、地元のお巡りさん役で準レギュラーのはずの米倉斉加年。山田監督はお気に入りの役者を違う役で再登場させるのに躊躇いはないみたいだけど、やっぱりちょっと違和感あるよなぁ。

  • マドンナ大原麗子、再び。

    二度目登場のマドンナとしては初のケースか、別人の役である。ここ最近のハイペースがたたって別人に見えず、つい「早苗さん、(室田日出男演じる)あの方とはうまくいかなかったのでしょうか…」と考えてしまうはめに。まぁ、これは同じく別人配役で再三登場する米倉斉加年にも当てはまるのですが(苦笑) それにしても山田監督はこの大原麗子にどこか陰のある美女を演じさせたくてしょうがないらしく、色気のあるうなじのおくれ毛は前回より二割増量な感じ。

    今回のロケ地には自身がつい最近訪れ認識できる風景も含まれていただけに感慨もひとしお。鹿児島、とくにその時には足を延ばせなかった南端部についても今度是非機会をつくって訪ねたい。

    冒頭部の夢想シーンはいままでにもかなりぶっ飛んだものがいくつもあったが、更にその上を行きたかったらしい。15年以上前のフィルムを使いまわすとは完全想定外(笑) 松竹が目一杯背伸びしてやってみました感がたっぷりあってそれはそれで微笑ましい。ギララのこと、もっと知りたくなった。

  •  寅さんが飲み屋で知り合った大手証券会社のサラリーマンが失踪。寅さんは美人な奥さんと夫を探すことになるが。。。

     寅さんが人妻に惚れ、夫が亡くなればいいのにと心のどこかで思う自分に苦悩する話。
     大原麗子が以前とは別の役でマドンナ再登板。ただ、この大原麗子はちょっと悪女っぽ過ぎないだろうか。かなり寅さんを挑発してるようにも見えた。

  • 蒸発した夫のことを相談する大原麗子に恋心を抱く寅さん。その夫を捜す二人旅を終えて「とらや」に帰ってきた寅次郎は二階の部屋に籠もったきり出てこない。鏡を見て「俺は醜い男」だと苦悩する。その苦悩を「とらや」の面々があれやこれやと推測する。タコ社長は「好きなのに一緒になれないからだろ」と言い、おいちゃんは「人妻に恋している自分の卑しさが嫌なのさ」と言う。どれもこれもある面では正しいが、博の言葉が寅の気持ちを一番汲んでいるように思われる。「蒸発した夫がこのままずっと帰ってこないか、死んでいてくれればいいのにと考えてしまう自分に腹が立つんでしょう」。自分の無邪気さがもたらす「いやしい」考えに気づけば、もう無邪気ではいられない。そして無邪気さを原動力とする恋への向き合い方を変えねばならなくなる。
    博の言葉は後の男はつらいよシリーズで寅が恋のサポート役に回ることを予言しているようでもある。実際、このあとの作品では冴えない学生や満男の恋にスポットが当たるようになる。この作品でようやく寅次郎は成熟(或いは堕落)の兆しを見せ始めるのである。

  • 大原麗子はものすごく魅力的。ハスキーな声なのにおしとやかで。美保純もなかなかかわいい。みつおはいよいよ声変わり。
    にしても寅さんの行動がめちゃくちゃでストーリーも何もあったモノじゃない。無銭飲食に始まり、お金を借り、その借りた人が務める証券会社に押し入り、飲んで泊まって本人が出勤しててもまだ寝てる。恋をしたことをたこ社長にたしなめられるとぶち切れてからかう。証券マンが鬱っぽくなって失踪したかと思ったらそれを追いかけるためにとらやの金をくらないとぶち切れる。鹿児島ではタクシーの運転手に無料にしろという。なのに人妻とは一緒に眠れないことを本人に未練がましく言う。ほんと最低。

    米倉さんが準主役に昇格したのはめでたいが。

  • 昭和59年12月公開の『男はつらいよ』シリーズの第34作。
    マドンナは、第22作と同じく大原麗子さんが前作とは別の人妻を演じていたよ。

    上野の飲み屋でお金がないのにお酒をくらっていた寅さんが、柴又にいるさくらさんに金を持ってこいと言ったら拒否られちゃった。

    それを救ってくれた証券会社の課長さんが失踪しちゃって、その奥さんであるマドンナと彼の故郷である鹿児島へ一緒に探しに行く寅さんは、美しいマドンナに最初から勝手に一目惚れなんだけど、夫が生きて見つかったので、案の定失恋するってお話でした。

    しかし、頼まれてもいないのにムリヤリ鹿児島行きに同行するのって迷惑だよね?
    もちろんこのシリーズのマドンナたちは男性に都合の良い女性ばかりなので、寅さんが同行するのをかえって喜ぶんだけどね(笑)

    今回も寅さんは困った人でした。
    課長さんを探すのにとらやの全財産を持ち逃げしようとして、おいちゃんに断られたら金庫をひっくり返して「これだけか。情けねぇ…」って貯金もないお前が言うなって感じ!

    課長さんを探すのだって、課長さんが心配だからじゃなくて、美人の奥さんが気になるからだけだもんね。
    勝手に課長さんが死んだらマドンナは自分のところに来ると思ってるのも気持ちが悪い。

    マドンナたちも、なんでこんな寅さんに心を速攻許すのかなぁ?
    本当に都合の良い女性たちだなぁ…。

    マドンナも2回めだし、課長さん役はなぜか変顔で演技も一本調子なのにしょっちゅう出てくる米倉斉加年さんだし、今回はいつも以上に新鮮味のない回でした。

    頑固なおじいさんがいきなり寅さんを気に入るのもいつものパターン。
    マドンナが人妻ってところで少し新鮮味を出そうとしているのかな?

    なんとなくだけど、タコ社長の娘役で美保純さんが出てきてから、あまり面白くなくなってきたな。
    寅さんのことを全面支持なのが変な感じ。

    マドンナが住むお家が茨城県の牛久沼設定だったので、近くの筑波山もロケ地でした。
    そして、らじが先月行ってきた鹿児島。
    課長さんの故郷ってことで昔の枕崎駅も出てきたよ。

    まぁ、そういうところで楽しむ回でした。

    冷静に考えたら、顔も性格も責任感にも問題がある課長さんに、なんであんな美人な奥さんがいるんだろ?
    不思議~!

  • 寅さん映画としてはパッとしないが、失踪した課長さんを探す旅がいい。母親役の風見章子と津島恵子がアクセントに。
    こうるさい巡査がエリート・サラリーマンに出世。

  • 飲み屋で知り合った証券マンの妻に惚れてしまった寅さんが、蒸発してしまったその証券マンを探しにその妻と旅へ出る。
    昔の証券会社の様子の資料になりそう。
    証券マンの状態はいわゆる鬱なんじゃないだろうか。当時その言葉が無かっただけで。
    切ないラストはいいんだけど、序盤から中盤にかけて今回の寅さんのトラブルメーカーっぷりがひどい。
    博は寅さんの思考をうまい方向に誘導したり、悩みの心情を察したり、行動パターンを読んだりと、今回はやたら鋭い。すごい。
    満男もだんだん寅さんのことがわかってきている。

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著者プロフィール

1931年大阪府生まれ。54年、東京大学法学部卒。同年、助監督として松竹入社。61年『二階の他人』で監督デビュー。69年『男はつらいよ』シリーズ開始。他に代表作として『家族』(70)、『幸福の黄色いハンカチ』(77)、『たそがれ清兵衛』(02)、『家族はつらいよ』(16)など。2012年に文化勲章を受章。

「2019年 『男はつらいよ お帰り 寅さん』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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