ゼア・ウィル・ビー・ブラッド [DVD]

監督 : ポール・トーマス・アンダーソン 
出演 : ダニエル・デイ=ルイス  ポール・ダノ  ケヴィン・J・オコナー  キアラン・ハインズ  ディロン・フレイジャー 
  • ウォルトディズニースタジオホームエンターテイメント
3.64
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  • (3)
本棚登録 : 378
感想 : 71
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4959241936639

感想・レビュー・書評

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  • 信頼のポール・トーマス・アンダーソン。
    見ごたえのある映画でした。

    ある意味自分の暗部とごまかすことなく向き合った主人公。
    人間には必ず自分と同じような醜く下劣な本性が眠っていると確信していた主人公。
    神に仕える者でさえ表に出ないだけで変わらないんだ。
    誰にでも地下には石油のような黒くてドロドロとした醜い本性がよこたわっている・・・
    誰も、何も信じることが出来なかった人とは欲望を求めるのみの生き物だという男の話し。
    極論ではあるが、ある意味真理なのかもしれないなぁ。
    富を築いたけれど、不幸せ・・・そんな話はいくつかあるけれど
    それだけじゃないなにか不穏さを感じる映画でした。

    楽しみに少しずつ見るようにしていたP.T.A。
    でもこれで最新作「ザ・マスター」以外全て鑑賞済に。
    振り返ると、「マグノリア」が一番衝撃作だったかな。
    監督自信も仰ってるけれどちょっと特別な映画でしたね。

  • 2007年公開
    監督 : ポール・トーマス・アンダーソン
    ==
    しがない山師が石油を掘り当てたときから、欲にまみれ身を滅ぼしていくまでの半生を描いたお話。

    ダニエル・デイ=ルイスですからね。
    引き込まれます。そのえぐさに。
    まるで本当に一人の人間が、
    それだけの年月で実際に老いと共に、
    欲に身を落としていくような演技。
    目つきや佇まいがあそこまで
    演技で変えられるんだから
    すげえなあ。

    お話の内容は、まあ、えぐい話でした。
    金と、石油と、宗教と、親子と。
    人間不信はちょっとしたすれ違いと事故を
    放っておくと、取り返しのつかないものになると。

  • 1910年代、アメリカンドリームは金から石油に変わっていった。
    一攫千金を夢みるプレインビューは、幼い息子と一緒に採掘権獲得に乗り出す。

    地下に眠る油井と人間の欲望を実に巧みにシンクロさせている。
    プレインビューの留まるところを知らない強欲と精気が、
    地下に脈々と眠る粘質でどす黒い重油に重なる。

    主演のダニエル・デイ=ルイスと宣教師役のポール・ダノが
    凄まじい怪演をみせる。
    神に仕えし正論と強欲に塗れた愚論の対立構造が見事に描かれている。

    経済的栄光の果てに掴むものは何なのだろうか。
    劇中終盤のプレインビューはもはや人間とは呼べない。
    何度か登場するが、悪魔、という呼び名が近い。
    それでも彼をそこまで駆り立てる業が人間にはあることを
    僕は認めざるを得ない。

    タイトルのThere will be bloodは聖書にある一節で、
    「やがて血に染まる」という意味。

  • ダニエル・デイ・ルイスとポール・ダノの葛藤する演技!それを生み出す脚本。
    観ていて楽しくなる映画では決してないけれど、一人の人間にとことんまで迫り、解決、成長を求めない。
    重厚さが面白かった。

  • 物語も、役者も、音楽もものすごく重厚な映画。
    話は正直分からないところも沢山だったけど、そのぶん見終わったあとの咀嚼が楽しい。

  • 気持ち悪い映画だけど、作品としての質はすごく高い。台詞の少なさ、音楽の違和感、暗い画面、ねじまがった人たち。油田をこんなに芸術的に映せるなんてすごいことだ。

  • ストーリーは極めてシンプルで実在した石油王をモデルにした
    一人の強欲親父の猪突猛進型伝記です。
    主人公(ダニエル)の金(石油)にかける思いは凄まじく、全く共感出来ないのですが
    福音派伝道師のイーライに対する徹底した敵対心だけは拍手を送りたく
    なった方も多いと思います笑
    何故、ダニエルがあそこまでイーライに対して嫌悪感をもっていたかについては
    町山智浩さんが詳しく評論されているので参照して下さい。
    http://www.shueisha-int.co.jp/machiyama/?p=39#more-39
    また、キリスト教とは?プロテスタントとは?福音派とは?といった背景を
    理解していないとダニエルがただの罰当たりな男、もしくはイーライが頭のいかれた
    牧師という解釈をしかねないので宗教を理解する大切さを感じた部分もありました。

    ポール・トーマス・アンダーソン監督と言えば『マグノリア』笑
    ストーリーは殆ど覚えて無いけど例の「カエルのシーン」は記憶に焼き付いている
    方も多いでしょう。
    そして本作でもやってくれました。「ボーリングのシーン」ここでの言動全てが強烈で
    映画史に残るラストだったのでは笑
    宇多丸さんはシネマハスラーで本作をキューブリック的、特に「2001年宇宙の旅」を
    感じるものがあると言っていましたが、個人的には
    「狂気的な主人公なのに惹かれてしまう」=「アレックス少年」
    「アレックス少年が殺人を犯したシーン」=「ボーリングシーン」
    の2点で「時計仕掛けのオレンジ」を連想しました。シネマハスラーを聞く前にそう感じていたのでキューブリック的という意味では共通していますが。。

    それにしてもダニエルは富を得ても全く幸せにはなれず、一体何がしたかったのでしょうか。自分以外の人間が嫌いだという一方で家族愛に心底飢えている事を示唆するシーンも多くあり、それ故に義弟と名乗る男とのやり取りやラストの息子とのシーンは切なくなりましたね。
    もしかするとただ一人でも「愛し続けてくれる人」がいれば全く違った人生になったのかもしれません。

  • 欲望渦巻く重厚なヒューマンドラマ

  • ブギーナイツ、マグノリアで名を馳せたポールトーマスアンダーソン。

    この人の映画は激しいアクションがあるわけでもなく、
    目まぐるしい展開やサスペンスがあるわけでもない。
    3時間近くの長時間群像劇映画をとるということもあり、
    見ている最中は眠気を感じることも多い。

    でも見終わった後には何故か感慨深い何かが残る。
    いろいろ考えて頭がボーッとする感じというか。

    そんな変わった映画を撮る監督で、
    評論家の人気も高く、僕も結構好きな監督の一人だ。


    今作も多分に漏れず、そんな感じの映画だった。

    20世紀初頭の石油採掘事業の勃興を背景に、
    金と権力と競争心に取り憑かれたヒゲおやじの一生を描く一代記。

    ヒゲおやじは石油を掘りまくる。
    善良な人を騙し、自分の子供をダシに使い。
    邪魔してくる奴ら、騙そうとしてくる奴らは徹底的に排除する。

    そんなヒゲおやじに最後に残るものは、、、

    まぁ大筋のストーリーはよくある話だけど、
    見事な最後のシーンやストーリー展開、
    全体を通した禍々しい雰囲気の作り込みはとても印象に残る。

    主人公の対となる登場人物、
    キリスト教似非伝道師もかなりキャラ設定が面白い。

    希望もくそもない映画で、
    正直万人にはオススメできないが、
    陽の当たらない世界の人間にはオススメかな。
    やっぱちょっと長いけど。

  • 石油屋の主人公ダニエルと信仰宗教の伝道師としての成功を夢見る青年イーライの人物造形がかなりリアルに作り込まれている。野望に取り込まれ破滅する男達の物語と言えばそれまでかもしれないが、それ以上に「成功」や「勝利」に執着せざるを得なかった彼らの性質への悲哀が目立つ作品。

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