非現実の王国で ヘンリー・ダーガーの謎 デラックス版 [DVD]

監督 : ジェシカ・ユー 
  • NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン
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感想 : 27
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4988102539634

感想・レビュー・書評

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  • 2016.1 DVD鑑賞記録転載。

    映画「非現実の王国で」

    ヘンリー・ダーガー(Henry Darger)。発育障害を疑われ施設に収容された少年時代。以降、70数年の生涯の大半を病院の清掃人としてすごした。
    熱心に教会に通っていることを目撃されたほかは、彼と会話した人さえほとんどいない。1973年、彼の死後、彼の孤独な居室からは1万5千ページに及ぶ長大な小説と、膨大な挿絵が発見された。子供を奴隷支配する帝国と、そこから立ち上がる美少女戦士「ヴィヴィアンガールズ」、それを助けるダーガー大尉はもちろん自分自身だろう。そのあまりに独創的な画風、奇想天外なストーリーはその後のアートシーンに大きな影響を与えたという。

    四方田犬彦氏の著作で彼を知って以来、観たいと思っていたドキュメンタリー。残された自叙伝や作品を再構成し、ダーガーを知る周囲の人(といっても貸家のオーナーくらいなのだが)へのインタビューなどで彼の人となりを明らかにしようとする。特徴なのはダーガーの挿絵をCGアニメーション化し、実際に動かしていることだ。

    映画は大変な労作だと思ったが、一方で、その解釈は個人的には必ずしもすべてが納得できるものではなかった。なにより感じたのは、これほどの孤独、闇、そして創造を「彼は自分だけの世界を持っていたんだ」といった程度の解釈で片づけてしまって良いのか、ということだ。実際、彼は自伝を詳細に書き残している。ほんとうに「誰にも触れられたくない自分だけの世界」をひそかに紡いでいただけなんだろうか?彼にだって孤独から解放されることへの希求があったのではないか、想像の王国に自ら引きこもったかのような捉え方はどうなんだろう・・・

    詮無いことだが、もし彼の時代にインターネットがあったらどうだったろう、と想像してみる。ひょっとしたら(あくまでひょっとしたら、だが)、自分の作品をネットに掲載しよう、と思ったかもしれない。この孤独な人物にはまったく違う人生がありえたかもしれない。そして自分の描き出した登場人物たちが、他のクリエイターの手によって生き生きと動き出すのを観ることができたかもしれない・・・。彼の死後、自らの望んだ形で彼の作品が世に出たかどうかは別として、今、その魂の安らかなることを祈らずにはいられない。

  • この人の作品を、もっとたくさん観てみたいなぁ。

    芸術家って、内にこもって向き合わないと作品制作ができないという人が、すごく多いのではないかと思うのだけど、

    悲しいかな、どこかしら外界と接触があったり、外向きのベクトルを持っていないと、

    彼のような末路を迎えることになるのかもしれない。


    ただ、彼には、どの程度のかかわりか分からないけれど、
    あたたかい隣人がいた。

    それは、彼の救いになっていたんじゃないかと、これを観て思った。

  • 「」


    1973年、シカゴ。
    ヘンリー・ダーガーというひとりの老人が他界し、はじめてその作品群が発見された。
    何千ページにもおよぶ日記や自伝などの書き物。そして、おそらく世界最長となる15000ページを超える小説と、多くが3メートル以上もある数百枚の絵。しかし、その中に含まれるヘンリー・ダーガー自身の写真は3枚だけだった。周囲の人々が「貧しい普通の老人にしか見えなかった」と口々に語るその男は、“非現実の王国”と名付けられた自分だけの小さな別世界に生きていたのだ。
    1892年に生まれたダーガーは、母が死んだことも妹が里子に出されたことも記憶になかったが、優しい父と暮らし、絵本や童話が好きで、学校にあがる前から新聞を読むことまでできる優秀な子供だった。しかし、口や鼻やのどを鳴らして奇妙な音を立てることから、他の生徒たちに嫌がられていた。その後、感情障害を示したとされ、イリノイ州リンカーンの知的障害児の保護施設に入れられる。
    1907年、父が逝去、17歳のダーガーは帰る場所がないにも関わらず、施設からの脱走に成功して260キロの道のりを歩いてシカゴまでやってくる。聖ジョゼフ病院の清掃人の仕事を見つけ、尼僧の宿舎の清掃も担当することになったダーガーは、童話の世界に安らぎを見出し、1909年、生涯続けることになる『非現実の王国として知られる地における、ヴィヴィアン・ガールズの物語、子供奴隷の反乱に起因するグランデコーアンジェリニアン戦争の嵐の物語』を綴る仕事に着手する。

  • 小説を読んでみたいと思ったけれど、きっと読んだらその世界に取り込まれてしまいそうだ。

  • ダーガーいいよね。

  • 人付き合いを避け 一生をかけて作品を制作しつづけたヘンリー・ダーガーを、自伝の文章と 隣人の証言でつづるドキュメンタリー。

    気づかないだけで、こういう人は案外身近にもいるのかもしれない。

  • 生きているときはあまり光が当たらなかった、画家のヘンリーのドキュメンタリー。
    私の性格に似てると思いました。

    絵画独特の個性が出ていてすきです。

  • 写真の技法も取り入れているんですね
    複製しやすい利点をうまく使っていて
    すごいな この世界観は

  • ヴィヴィアンガールズが動く感動。
    決してつまらない訳じゃないけど、途中で寝た。
    チヨも同じことを言っていたから、たぶんこの作品には催眠効果があるんだと思う。

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