マンデラの名もなき看守 [DVD]

監督 : ビレ・アウグスト 
出演 : ジョセフ・ファインズ  デニス・ヘイスバート  ダイアン・クルーガー 
  • ポニーキャニオン
3.71
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感想 : 73
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4988013784147

感想・レビュー・書評

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  • Amazonプライムに入ったので、以前観たときに書いたレビューをサルベージしてきた。
    本作以後に登場したマンデラを描いた映画――『マンデラ 自由への長い道』や『インビクタス~負けざる者たち』――と比べても、遜色ない佳編だと思う。

    ネルソン・マンデラは「現代の巌窟王」とも呼ばれる。アパルトヘイト(人種隔離政策)に抗して闘ったマンデラは、1962年に反逆罪で逮捕されて以来、27年半、じつに1万日もの長い年月を牢獄で過ごしたからである。

    この映画は、マンデラの獄中闘争を1人の看守の目を通して描いたもの。

    主人公の看守・グレゴリーは、マンデラの故郷近くで生まれ育ったことから彼らの言葉・コーサ語に堪能だったため、マンデラの担当に抜擢される。

    グレゴリーは当然のごとくレイシストであり、マンデラを「憎むべきテロリスト」と考えていた。だが、看守としてマンデラに接するうち、その知性と人格の輝きに触れて、少しずつ変わっていく。

    マンデラに傾倒するにつれ、アパルトヘイトについても疑問を抱き始めるグレゴリー。だが、その変化は彼と家族を危険にさらすものでもあった。

    とくに、面会に訪れたマンデラ夫人に夫からのクリスマスプレゼントをこっそり渡したことが新聞にすっぱ抜かれると、それを機に、彼と妻はコミュニティの中で決定的に孤立する。「黒んぼびいきは殺す」という脅迫電話もかかってくる。

    自らの良心に従うべきか、それとも、家族の安穏のためマンデラの敵側に立ちつづけるべきか? 大きく揺れ動きながらも、運命の糸に導かれるように、グレゴリーはマンデラの獄中闘争に伴走しつづける。マンデラは3つの刑務所を経験したが、移送後もグレゴリーが担当看守に選ばれたのだ。

    タイトルどおり「名もなき看守」にすぎなかった彼は、人類史に残る人権闘争のひとこまに加わることで、歴史的な役割を果たしたのである。

    アパルトヘイトを描いた映画としては『遠い夜明け』や『ワールド・アパート』といった先行作があるが、これはその2作をしのぐ感動作だと思う。
    なにしろ、「アパルトヘイトをめぐる最も劇的な人生」を生きたマンデラの人間像を、初めて真正面から描いた作品なのだから。

    人間の偉大さは、逆境のさなかにあってこそ輝く。1万日にわたる獄中生活という究極の逆境にあってさえ、なお獅子のごとく気高いマンデラの姿が胸を打つ。

    当時、マンデラたちが収容された牢獄には、白人看守にこびへつらう囚人もいたという。だが、マンデラは獄中でもけっして誇りを失わず、権力に屈しなかった。
    のみならず、自らの豊富な知識(マンデラは弁護士でもある)を、ほかの囚人に教えることにも力を注いだ。彼が収監されていた独房を、囚人たちは「マンデラ大学」と呼んでいたという。

    そのことは、かの吉田松陰が野山獄に幽閉されていた時期の逸話を彷彿とさせる。

    松陰は獄中でもほかの囚人に学問を教えつづけた。
    のみならず、「皆さんもまた私の師匠です」と、囚人たちにそれぞれ得意分野についての“講義”をさせ、学ぶこと・教えることの歓喜を伝えていった。
    松陰は獄中で最年少であったが、囚人たちから「先生」と呼ばれ、敬愛されたという。

    マンデラと松陰をつなぐものは、他者の人間性の輝きを引き出す並外れた感化力である。

  • 内容紹介 (Amazonより)
    27年間囚われた、のちの南アフリカ初の黒人大統領。
    今、秘められた感動の実話が明かされる。

    ネルソン・マンデラがはじめて映画化を許諾した、真実の物語。

    ■反アパルトヘイトの象徴、ネルソン・マンデラと白人看守の間に生まれた友情を描く、感動の実話
    ドラマ!
    南アのアハ゜ルトヘイト政策下、27年間もの投獄生活を強いられていたネルソン・マンテ゛ラと、彼を担当する白人看守の間に生まれた、人種の壁を超えた友情の実話を初映画化。


    内容解説]
    あなたに逢って、知った。世界は間違いだらけだと-

    1968年アパルトヘイト政策下の南アフリカ共和国。
    刑務所の下士官ジェームズ・グレゴリーは、最悪のテロリストとされるマンデラの担当に抜擢される
    。マンデラの生まれ故郷の近くで育ったために彼らの言葉が分かるグレゴリーに、秘密の文書や会話
    を監視し報告しろと言うのだ。任務に忠実なグレゴリーだったが、マンデラという人物に触れ、彼が
    自由のために払っている犠牲を知るにつれ、次第にマンデラに魅了され、彼が目指す平等な社会に憧
    れていく。
    しかし、そんな想いが周囲に知られれば、自分の立場も妻子の安全さえも脅かされる。
    家族、国、仕事、理想、良心・・・葛藤の中、それでも正しい歴史の一部でありたいと願ったある看守
    とマンデラの数十年間にも渡る魂の交流を描く、感動の実話を映画化した話題作。監督は、カンヌ国際映画祭パルムドールに2度輝いた名匠、ビレ・アウグスト。



    27年間もの投獄生活を強いられていたネルソン・マンデラを担当していた白人看守の目線から見た2007年の映画。
    久しぶりに海外ドラマ『24』のパーマー大統領役のデニス・ヘイスバートが出ていてテンション上がった。
    先入観で物事を見るのは本当に駄目ですね。
    自分の感覚というか、感想で行動しないと本当のことはわからないですよね。
    人種を超えてわかり合える人もいるはず...

  • ジョセフ・ファインズの演技は前々から好きだったが、本作での看守役はピタリとはまったような気がする。本作の原作を発表後に金儲けだなんだと中傷されたが、アパルトヘイト政策に疑問を抱き、マンデラ大統領と理解し合った南アフリカの素晴らしき白人として褒め称えてもいいのではないだろうか?

    マンデラ大統領役は大統領役のよく似合うデニス・ヘイスバート。名前も言われてもわからない方も多いのですが、映画好きなら誰もが目にしている「24」のパーマー大統領です。

    「マンデラの名もなき看守」
    http://www.youtube.com/watch?v=NalpHp0IleY

    いい作品だと思います。それにしてもお隣の中韓を見ていると思いますが、洗脳とは恐ろしいものです。南アフリカでもアパルトヘイトの洗脳が国を蝕んでいった。グレゴリーの子供たちが「なんでおまわりさんは…」と涙するシーンを見ながらその恐ろしさを気づく、年を重ねるごとに当たり前という言葉が頭を支配していく…

    奥さん役のダイアン・クルーガー。好きなんですかねというよりもいい作品に出ているんでしょうね。代表作とも言える「ナショナル・トレジャー」を始め26作品中で12作品も所持していた。「トロイ」で魅せたヘレン役の美しさは本物ですね~ちょっとミーハー入ってしまいました!

  • 嫁さんがレンタルしていた『マンデラの名もなき看守(原題:GOODBYE BAFANA)/2007』を観ました。

    先日観た『インビクタス/負けざる者たち』と同じく「マンデラ」大統領に関する作品だし、『ペレ』の「ビレ・アウグスト」監督作品なので期待していた作品です。

    -----story-------------
    1968年、アパルトヘイト政策下の南アフリカ共和国。
    黒人差別を当然のように受け入れていた白人男性の「ジェームズ・グレゴリー」は、反政府運動の首謀者「ネルソン・マンデラ」の看守に抜擢される。
    「マンデラ」と故郷が近く彼らの言葉であるコーサ語がわかる「グレゴリー」には、秘密の会話や手紙の内容をチェックすることが求められた。
    しかし、「マンデラ」に長く接していく中で「グレゴリー」の「マンデラ」に対する見方は変わり始め、次第に彼の気高い思想に傾倒していくが…。
    -----------------------

    「マンデラ」大統領が獄中生活で出会った白人看守「グレゴリー」との感動の実話を描いた作品で、時間軸としては本作のエンディングが『インビクタス/負けざる者たち』のオープニングに繋がる感じなので、本作を先に観ておいた方が、『インビクタス/負けざる者たち』の背景をより理解できたのではないかと思いました。

    白人の感情が、徐々に変って行くことが「グレゴリー」の妻「グロリア」の行動や気持ちの変化を通じて、巧く表現してあると感じましたね。

    『自由憲章』を、一度、キチンと読んでみたくなりました。

    それにしても、、、

    『インビクタス/負けざる者たち』での「モーガン・フリーマン」演じる「マンデラ」大統領のイメージが強烈な印象として残っていて、本作で「デニス・ヘイスバート」演じる「マンデラ」大統領は違和感を感じてしまいました。

    「デニス・ヘイスバート」も好演しているんですけど、それだけ「モーガン・フリーマン」演じる「マンデラ」大統領の印象が強かったんですよね。


    -------------------------------------------
    監督: ビレ・アウグスト
    製作: ダヴィド・ヴィヒト
        ジャン=リュック・ヴァン・ダム
        イラン・ジラール
        アンドロ・スタインボーン
    製作総指揮: カミ・ナグディ
           マイケル・ドゥナエフ
           ジミー・ドゥ・ブラバン
           スティーヴン・マーゴリス
    原作: ジェームズ・グレゴリー
        ボブ・グレアム
    脚本: グレッグ・ラター
    撮影: ロベール・フレース
    プロダクションデザイン: トム・ハナム
    編集: エルヴェ・シュネイ
    音楽: ダリオ・マリアネッリ
    出演:
     ジョセフ・ファインズ ジェームズ・グレゴリー
     デニス・ヘイスバート ネルソン・マンデラ
     ダイアン・クルーガー グロリア・グレゴリー
     パトリック・リスター ジョルダン少佐
     テリー・フェト
     シャイロ・ヘンダーソン

     

     

  • マンデラを白人側の視点から間近で見た物語。
    その高い理想や、それに対する白人たちの無理解、政府の小狡いやり口。主人公の看守の気持ちの変化は当然のように思えるが、それを口にするのは憚られる時代。
    国を変える、変わるまでの長い時間は、差別の根深さと、それでも戦い続けたマンデラの強さの象徴だろう。

  • どうしたら、人を許せるだろう。

    どうしたら、悲しみや苦しみを静かに受け入れることができるだろう。

    自分自身にとって、自分を心から愛することができるようになるためには、きちんと乗り越えなきゃいけない二大課題です。

    マンデラ元大統領に対して、こんな言い方をしては不遜ととられかねませんが、苦しみや悲しみに苛まれても淡々と日々を生き、理不尽な迫害を受けてさえ人を許す…なんてかっこよく尊い生き方かと思いました。

    もっとマンデラさんのことを知りたいと思いました。

  • ちいちゃい娘さんがショックを受ける場面が印象的。
    変だと感じることは重要なのであるなあ。
    感じなくなるのは怖い。

  • めっちゃいい話だった。
    人にはそれぞれの仕事がある。後悔で未来に影を落としてはならない。って言葉がしみた。
    自分の信念を貫いて最後まで仕事を全うするグレゴリー中尉の姿も、どんな状況にあろうとも信条をまもり信念を貫いたマンデラもかっこいい。

  • 普通。可もなく不可もなし。予想外の展開もないし、憤る事もない。普通の出来ばえ。
    また見たくなることはないだろうと思う。

  • 自由を奪う武力には、武力で立ち向かうしかない

    見えない傷ほど痛むものはない

    グレゴリー君 人にはそれぞれ仕事がある
    罪悪感や苦痛で将来に影を投げかけてはならん

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