タッチ コミック 完全版 全12巻 完結セット(少年サンデーコミックススペシャル)

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  • 小学館
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  • タッチの一番の見所は、アイデンティティにおいて和也に大きく依存していた達也が、和也を失い、どうやって自分自身を打ち立て直してゆくか、というところだと思う。

    物語序盤の達也は、ぐうたらで、何をやっても弟に劣る、駄目な兄として世間で通っている。野球部のエースである和也と比較され、ブーたれる場面もある。しかしその実、達也が和也に対して本気で劣等感を抱いているかというと、そうではない。何故なら"長所をみんな弟に取られた
    出がらし”というのは、達也自身が望んで演じている役回りだからだ。

    達也は怠け者かもしれない。だが彼が勉強やスポーツにやる気を見せないのには、優しさが大いに関係している。弟への優しさである。双子であり、ましてや南を取り合う仲である和也とは、何をするにも勝負になってしまう。勝負に出ればどちらか一方が負けることになる。どちらが負けるにせよ、達也は胸が痛むのだ。

    だからあえて無能のポーズをとり、和也と同じ舞台に上がることを避け続けてきた達也は、和也が居なくなって初めて、本気を出さざるをえない状況に置かれる。タッチの有名なセリフといえば、南の「わたしを甲子園に連れてって」であるが、よくよく観察するとむしろ、達也が南に導かれているようである。中盤の達也は、あまりに長かった封印期間を引きずりながらも、少しずつ、本当の自分…と言うと不適切かもしれないが…和也の居ない世界での自分の在り方を掴んでいく。

    順調に和也の呪縛から解放されていくかのように見えた達也。ところが、和也の存在は終盤から、新たな形で浮き彫りになる。志半ばだった弟への罪悪感。そして、今や決着することなき彼との勝負の行方…。
     南が達也を野球の道に引き入れたのは、和也の代わりをさせたかったからではない。達也の本気が見たかったからである。だから”甲子園に連れて行く”という和也との約束は、別に果たされなくても良かったのかもしれない。しかし達也としてはそうはいかない。和也とは双子の兄弟であるだけに、「もし生き残っているのが弟のほうだったら、親やチームメイト、そして南は、もっと幸せだっただろうか」と思わずにはいられない。

    ”南を甲子園に連れて行く”という念願を果たすことは、達也をようやくゼロ地点に立たせたような気がする。ラスト、地区大会を勝ち抜き、和也の夢を達也が果たした時、ついに達也は”和也の代わり”という借り着さえ失う。あとはもう、身1つの自分がどうしたいかという問題だけだ。甲子園での最初の試合前日、達也は自分自身の気持ちに答えを出したのだろう。南との幸せが欲しい、たとえそのために他の誰かを犠牲にすることがあっても…と。

    複雑なドラマを、繊細なフラグの立ち方&回収の仕方で描いた名作。

  • 永遠の名作。かっちゃんが生きていたら、3人の関係はどうなっていたんだろうとどうしても思ってしまう。

    野球・友情・恋愛といった少年漫画にありがちなテーマだけじゃなく、亡くなった人とどう向き合うかや、監督のように周囲の理不尽な扱いによって歪んでしまった人間を描いていて、とても広がりのある作品。

    たっちゃんの優しくて控えめなところが大好き。

    ■全巻読了
    ■好きなキャラ
    たっちゃん、ゆか

  • いわずとしれた最高傑作ですね。

    「みゆき」同様、書き始めにラストまで考えつくされているあだち充らしい漫画。
    以下ネタバレあり。












    「あれから二年」で打つ達也。「南、ごめんな」で二人羽折投げ。この辺は胸に迫るものを感じました。兄弟っていいなぁ。いや、この兄弟がいいのか。

  • 幼い頃に読んで、改めて再読。初めて触れたあだち充の作品。他の作品も色々読んだけど、やっぱり一番好きだなぁ。好きな男性のタイプ聞かれたら上杉達也って答えたいくらい好き。

  • 楽器の稽古に行くと何故かコレが全巻おいてあって若先生とお稽古は大嫌いだったけどこれと愛のアランフェス読破する為に月謝払って貰ってた感じ。楽器は今やたんすの肥やし。きらきら星かアマリリスくらいならなんとか…。
    …おかん、ごめんやで。

  • 友達に貸してもらって、ひさびさに読みました!

    南ちゃんはやっぱり可愛いですね(*^_^*)
    永遠の憧れです!!
    そしてタっちゃんはかっこいい・・・
    こんな天才投手に会ってみたいです。

  • お友達から借りて読みました。
    ちゃんと全話を読んだのは、実は初めてかも~?

  • 何度でも読みたい

  • 言わずもがな名作

  • 『巨人の星』以降の梶原一騎的スポ根熱血路線の野球漫画の世界を終焉させた歴史的作品として語られることの多いこの『タッチ』。高校野球と恋愛の2本を軸にしたストーリー展開が秀逸すぎます。30年近く前の作品だけれどもまったく色褪せていません。

    それにしても新田明男のキザっぷりは尋常じゃない(でもすごくいい人)。あだち先生の女性の下着の描写の緻密さも尋常じゃない(力入れすぎ)。明青学園後頭部と『ドカベン』明訓高校の野球部のユニフォームってちょい似です。

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