レジスタンス [DVD]

監督 : レグ・トラヴィス 
出演 : エド・ストッパード  バーナード・ヒル  トム・シリング  リッチ・ハーネット  レア・モルナル  ミッシェル・ゲイル 
  • アメイジングD.C. (2010年4月22日発売)
3.20
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4580189026023

感想・レビュー・書評

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  • 2012年11月19日

    <JOY DIVISION>

  • 『レジスタンス』[JOY DIVISION] (2005) イギリス・ドイツ・ハンガリー合作

     “自分の意思・自由を満喫しているという実感、普通の人は当然のように自由を享受しているだろう。
     僕は常に不安な気持ちがある。どこに行っても誰かに見付かる可能性がある。最初から自由になることだけを求めていた。そう望むのは、罪じゃないはずだ。
     僕達は戦場に狩り出され、戦火の犠牲になったマックス。生きていくために、新たなる指導者に忠実であらねばならなかった。
     強いイデオロギーを持って献身する人が必要とされた。決して誘惑に屈しない人達。僕も仲間になった。市民ではなく、兵士として犠牲になるかもしれなかった。昔の仲間達のように。
     僕は、故郷を捨てた…”

     1944~45年の第二次世界大戦末期のシュレージエン地方のドイツ人や、混沌としたナチス・ドイツ軍の様子が上手く描かれている。が、一転して戦後主人公トーマス・ワグナーが、ソ連の戦争孤児のための軍事組織に入り、後にKGBの一員となりイギリスに潜入するあたりのくだりが、脚本が悪いのか編集の仕方に問題雅あるのかわからないが、かなりわかりづらい。その部分を無視すれば、大戦末期のドイツ軍物としては上位にランクできる作品なだけに惜しまれる。

     製作にドイツも一枚噛んでいることもあって、軍装・装備関係は申し分ない。例えばトーマスが13歳で受け取る、召集令状。これは、1944年9月25日の総統命令により本土防衛に備え設けられた16歳から60歳のドイツ国民から成る民間軍事組織“国民突撃隊”に召集されるときの召集令状。徴兵され支給された軍装やモーゼル・ミリタリー、腕に巻かれた赤と黒の国民突撃隊のカフタイトル(腕章)もちゃんと考証されていて、召集令状や腕章が映画にちゃんと出たのは今回が始めたじゃないのかな。ちなみに腕章には、“DETSCHER VOLKSSTURM WEHRMACHT”と描かれ ています。

     目を引いたのが、イギリス自由軍のトーマス・ストーン軍曹。イギリス自由軍というのは、イギリス人捕虜の中から“ヨーロッパを共産主義者から護ろう”のスローガンの元集められ武装親衛隊に組み込まれていたもので、今回のストーン軍曹の襟章・腕章もバッチリで、装備がStG 44というのもマニア心をくすぐります。

     車輌では、かなり痛んだ感じのT-34も老骨に鞭打って数輌登場し、目を引いたのは戦後イギリスで、KGBの女スパイが乗っていたメッサーシュミットKR201。これは、豆狸が好きなバブルカーの一つ。

     ナチス・ドイツとソビエト赤軍が占領すると必ずついてまわるのが、ドイツでは、“コンツェントラツィオンス・ラーガー”[ Konzentrationslager]、ソ連では“ラーゲリ[Лагерь]” と呼ばれる強制収用所。これにソビエト赤軍にはもう一つ、レイプがプラスされる。

     映画にも描かれているように、レイプはソ連赤軍が1944年にオストプロイセンとシレジアに入った時にいっきにその件数が上昇する。

     “ドイツ人の女性は老女から四歳の女児に至まで、エルベ川の東方(ソ連占領地区)で暴行されずに残ったものはあまりいなかった。あるロシア人将校は、一週間のうち少なくとも250人に暴行された少女に出会った”

     “ベルリンの二つの主要病院によるレイプ犠牲者の推定数は9万5千ないし13万人。ある医師の推定では、ベルリンでレイプされた10万の女性のうち、その結果死亡した人が1万前後、その多くは自殺だった。東プロイセン、ポンメルン、シュレージェンでの被害者140万人の死亡率は、ずっと高かったと考えられる。全体ではすくなくとも200万のドイツ女性がレイプされたと推定され、繰り返し被害を受けた人も、過半数とまでいかなくても、かなりの数にのぼるようだ”

     “ソ連軍は1945年に200万人のドイツ女性を強姦。ベルリンだけでも被害者は13万人に及び、そのうち1万人が自殺している。ソ連軍の強姦率は80%とのこと”

    と、挙げていくと枚挙に暇がない。

     …、気分の悪くなる話はこの辺でおいといて、今回のこのタイトルの『レジスタンス』。レジスタンスといえば、ナチス・ドイツ占領下のフランスでの抵抗運動のこととすると、主人公のトーマス・ワグナーはドイツ人だし、場所もフランスは一切出てこないし、いったいどういうことなんでしょう? 抵抗運動という部分を捉えても、彼はドイツ軍人としてソビエト赤軍と闘ったわけだし、抵抗運動なんてしていない。唯一抵抗といえば、彼女を護るためにイワンと闘ったことと、KGBから逃走をはかったことぐらい。

     ホンと、何でこのタイトルなんだろう??

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