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- / ISBN・EAN: 0673855038520
感想・レビュー・書評
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残業続きの自分へのご褒美としてディスクユニオンで買いました。最初から最後までノスタルジーの中にそれだけではすまない不穏な空気を感じたり。表面的にはすごくポップな世界観なんだけど、重厚な感じがして、通して聴くと聴きごたえがあって少し疲れる。映画を観たような感じ。素晴らしい。
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【2010年を代表する、Arcade Fireの傑作】
今回は、カナダの大人数バンド、Arcade Fireの傑作、"Suburbs"をレビューしたい。
この一枚でグラミー賞を受賞した(取るべくして受賞した)のだが、このArcade Fireというバンド、残念ながら欧米の人気・評価と、日本との落差が激しいバンドで、あまりの日本での評価の低さに、日本の音楽産業は見る目がないとまで思っていた。やっとグラミー賞特集コーナーで、ツタヤでも見ることができるようになり、一押し作品の中に本作があるのを見て、ほっとしたところだった。今でも○星堂さんにはないのだが(笑)。もともと期待はしてない。
今作でも全体をとしてのテーマがある。キーワードは「郊外」。
郊外というキーワードで、若者の閉塞感を表現している。
今作は、1曲目の"Surburbs"から懐古的で抒情的なサウンドになっているが、相変わらず実験的な部分も多くみられる。このバンドの魅力の一つでもある弦楽器のサウンドも存在感がある。キャッチーな音ではないけれど、聴きこむと引き込まれる感じである。
個人的には"The Suburbs","Ready To Start","Modern Man"が好きだが、全曲通しで聴いてもらいたい。それだけの傑作。
歌詞は相変わらず、このバンドの魅力。残念ながら和訳盤はない。
個人的には"Funeral"の方が好きだが、名盤には間違いない。
来年のフジロックに期待。 -
75点。カナダはケベック州を拠点とするインディー・ロックバンドの3rd。グラミー賞最優秀アルバム賞獲得。
郊外をテーマに作られた今作は過去のと比べるとかなりポップになったなぁ。素朴な哀愁旋律がイイ。 -
一曲目の牧歌的なイントロを聴いた時の違和感はある意味衝撃的だった。
それほどまで過去2作の傑作とは毛色が違いすぎた。
全体を通して聴いても土着的で骨太なロック寄りの曲が多くなり、このバンドの持ち味である繊細な緊張感が失われているように感じる。
しかしこのバンドの世界観やコンセプトの豊かさを考えた時に、このアルバムは何とも微妙なバランスを保っている。
タイトルでありアルバムコンセプトでもある「郊外」。
解説では「キッズがうんたらかんたら」とあるが、これはいい大人になってしまった元キッズ(笑)が抱えている問題をえぐり出しているように思う。
もちろん都市文化の違いから、北米と日本の地方を単純に比べるわけにはいかないだろうが、それでもシンパシーを感じずにはいられない。
自分を含め、とにかく地元を出たくて、でも根が田舎者だから地元以上東京未満の分相応な大学・専門学校へ適当に進学するも、結局は所在がなくて田舎に戻ってきた人間の多いこと。
そんな冴えない生活の中で、若い頃には見向きもしなかった郊外にどんどん大型店舗ができていく過程を目の当たりにして、一応車で行ったりするわけだ(つまりイ○ンなんだけど)。
他に行くところも大してないし、独り身だし。
その中にはヴィ○バンがテナントにあるんだけど、何となく入店を躊躇ってしまう現状があるのだ。
精神的にオシャレじゃないから。
アーケイド・ファイアのような洋楽インディー聴いて、さらに80年代のポストパンクまで聴いて、すっかり疲弊した大人になったが故の拒否反応とでも言おうか。
ヴィ○バンに置いてある素敵な雑誌のCDレビュー欄にはこのアルバムの情報もきっとそれなりに掲載されていたことだろう。
でもその記事は地元のタウン誌と大して変わらない、中身のないもので誰も手を伸ばすことはなかったに違いない。
そもそも上下ジャージのヤンキーカップルから家族連れ、更には中学生が群がっている、郊外きってのカオススポット。
内田裕也はかつて東京都知事選の政見放送で「俺の周りはピエロばかり♪俺にはコミック雑誌なんかいらない♪」 と歌い叫んだが、こっちはこっちで「俺の地元はイ○ンばかり♪俺にはヴィ○バン推薦図書なんかいらない♪」と絶唱したくなるのだ。
それだけ地方都市郊外の大型店舗に行くのにも体力・気力がいる。
そんな独特のマッチョイズムが、このアルバムのマッチョになった音楽性に反映されているとさえ本気で思う。
実際、自分自身マッチョになった。
地方都市で文化的な話なんかしても無意味だから、酒と女の話題くらいちゃんと出来るように成長したつもりなのだ。
だけど精神性はまだまだ繊細で、だからこそ音楽性にもそういう要素を含んだ本来の魅力が個人的には欲しかった。
いや、多面的で複雑になったということなのだろうか。
この辺のバランス感覚が評価を難しくしている。
The Smithsの名曲「There Is A Light That Never Goes Out」への遅すぎた返答のような世界観は本当に共感できるので、主観的な評価で星4つとしたい。 -
07年に続く約3年半ぶりとなる最新作は、前作『Neon Bible』でもタッグを組んだMarkus Dravsがプロデュースを担当。
Markus DravsはBrian Enoの作品やColdplayの最新ヒット作『Viva La Vida Or Death And All His Friends』を手掛けた敏腕プロデューサーとして知られています。
そして、アルバムはフロントマンのWin Butlerが幼少時代を過ごした米テキサス州郊外(The Suburbs = 郊外)での生活にインスパイアされた作品となっており、モントリオールとニューヨークのスタジオで作曲とレコーディングが行われたそうです。
アルバムについて、メンバーは、
「ボブ・ディランやジョー・ストラマーなど僕らのヒーローの多くが郊外の町の出身で、そこから旅をして素敵な作品を作り続けた。僕らがこの新作でやりたいこと」
とコメントし、そのサウンドも
「ロックとエレクトリックの2つの柱があって、その間にアルバムのサウンドがある」
と語っているそうです。
常に作品毎に革新を遂げる彼らですが、果たして今回はどのようなアルバムになっているのでしょうか? -
「ポップ」と言うほど広くなく、「アート」と言うほど狭くもない。オルタナの有効性を再確認出来る一枚。