ラビット・ホール [DVD]

監督 : ジョン・キャメロン・ミッチェル 
出演 : ニコール・キッドマン  アーロン・エッカート  ダイアン・ウィースト  タミー・ブランチャード  マイルズ・テラー 
  • 角川書店 (2012年4月5日発売)
3.57
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感想 : 50
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4988111241627

感想・レビュー・書評

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  • 悲しみが完全に消えなくてもいい。自分のペースで前へ動いていく。

  • 悲しみは消えない。

  • 大好きなHedwigの監督の作品。
    前回のショートバスとは全く違う、でも同じ愛を描いた作品。
    お母さんの台詞がずっしりきた。
    ちょっと違うかもしれないけど…
    「悲しみは無くならない。ただ、重みが変わっていく。
    そのうち小石になって、時々忘れるけど、ずっとポケットには入ってる。
    でもそれが、息子が残した証なんだから」

    心が震えた。

  •  子どもを事故で失った夫婦のすれ違いと再生の物語。

     同じ経験をしても悲しみ方やその乗り越え方は人によって全然違い、夫婦はすれ違っていく。
     ラビット・ホールのようなパラレルワールドがあればいいが実際はそんなものはなく、死別の悲しみは永遠に消化できないものなのだと思う。最後の夫婦の「それから?」「分からない。何かあるさ」という会話が印象的。ずっと消化できず、残された人々で向き合い続けていくしかない。やっぱりそれは一人より誰かとの方がいいのだと感じた。

  • 公式サイト http://www.rabbit-hole.jp/

     愛するものを亡くした深い喪失感と重たい悲しみは、時にはどう歩めばよいのか方向を見失わせ、周囲の人間関係をもぎくしゃくさせる。そのようなやり場のない怒り、人を赦すこと、心の癒しを求めざるを得ない人生のテーマを、ニコール・キッドマンが心酔し制作と主演に取り組んだ秀作。

     郊外の閑静な住宅地に暮らすハウィー(アーロン・エッカート)とベッカ(ニコール・キッドマン)のコーベット夫妻は、8か月前に幼いひとり息子ダニーを交通事故で亡くした。飼い犬を追って庭から道路に飛び出て車にはねれたダニー。
     二人は、深い悲しみと自責の思いから立ち直れず、夫婦の関係もぎこちなくなっていく。家族を亡くした遺族たちの自助グル―プの分かち合いに二人で参加しても、ベッカは馴染めずにイラついた感情を発言者にぶつけてその場の雰囲気を壊してしまう。「パパ、心配しないで。神さまと一緒だから大丈夫よ」と亡くなった子どもの声を夢で聞いて目が覚めた。子どもが慰めてくれている。そのような発言には「神さまなら何でもできるでしょ。なぜ、子どもが必要なの!」と。

     夫のハウィーは、スマートフォンに撮り置きしてあるダニーとベッカの楽しそうに遊ぶ動画を見ては、悲しい思いを慰めている。ダニーが生きていた思い出を大事にしながら、少しずつでも前に進もうとするハウィー。ベッカも前に進みたい気持ちはあるのだが、夫と同じ気持ちにはなれない。むしろ反対に、ダニーの思い出の物はできるだけ捨てようとし、家も売って引っ越したいという。
     飼っている犬は、ベッカの母ナット(ダイアン・ウィースト)の家に預けている。ナットは長兄のアーサーを薬物の過剰摂取のため11年前に亡くしている。ベッカの悲しみを理解し、慰めようとするのだが、ベッカにはアーサーとの思い出に生きているようなナットの言葉は心に届かない。妹イジー(タミー・ブランチャード)の誕生パーティでも、ナットに毒づいてしまう。

     その帰り道に、偶然バスから降りてきた高校生のジェイソン(マイルズ・テーラー)の姿を見かけた。ジェイソンは、ダニーをはねた車を運転していた少年。ベッカは、思わずジェソンの後をつけていく。数日間、ジェソンの後を追い様子を伺うベッカだが、家の前でジェイソンに見つかり声を掛けられた。対面しても、不思議と怒りや責める感情は起きてこないベッカ。「事故のことはずっと気にかかっていた」と、自責の念を語り謝罪するジェイソンの気持ちを受け止めながら、ぎこちないが互いの思いを語り合うことができた。

     ジェイソンは、父親を亡くしている。だが、もしかしたら父親が生きている別次元の世界(パラレル・ワールド)があって、ラビット・ホールを通ってその世界を見に行くコミックスを創作しているという。その話に興味を示すベッカ。
     夫ハウィーは、ベッカの希望を受け入れて家を売却するためのオープンハウスに応じる。家の整理を手伝いに来た母のナットに「悲しみは消えるの?」と尋ねるベッカ。ナットは「いいえ」と答える。「でも、悲しみは変化するの。岩のようにのしかかっていた大きな悲しみは、いつしかポッケトに入る小石に変わるの」と、言葉を添えていくナット。ベッカの心の中で、何かが変わっていく。

     同名の戯曲の原作者デヴィット・リンゼイ=アベアーが映画のための脚本を担当し、ニコール・キッドマンは、2011年度のアカデミー賞とゴールデン・グローブ賞の主演女優賞にもノミネートされた。人生の悲嘆や悲憤は、人それぞれに赦し赦され、癒されていく道を必要としている。日々の営みをとおして探り求め、ぶつかり合う様々なあり方を豊かに語り合える作品だ。 

  • 「大きな岩のような悲しみは、やがてポケットの中の小石に変わる」


    郊外の閑静な住宅街に暮らすベッカ(ニコール・キッドマン)とハウイー(アーロン・エッカート)のコーベット夫妻。
    彼らの幸せな生活が一変したのは8か月前。一人息子ダニーが道路に飛び出して交通事故に遭い、わずか4歳でこの世を去ってしまったのだ。
    それ以来、2人の心には埋めようのない欠落感が生まれていた。
    ダニーとの思い出を大切にして前に進もうとするハウイーとは対照的に、亡き息子の面影に心掻き乱されるベッカ。同じ痛みを共有しながらも、夫婦の関係は少しずつ綻び始める。
    ハウイーの提案で、身近な者に先立たれた人々のグループセラピーに参加するベッカ。だが、やり場のない苛立ちから、他のメンバーに辛辣な言葉を浴びせ、退席することになってしまう。
    立ち寄った実家でも、母親ナット(ダイアン・ウィースト)との間に漂う気まずい空気。
    その帰り道、ベッカはある少年(マイルズ・テラー)を目撃する。翌日、尾行して図書館に入ると、彼が返却した『並行宇宙(パラレル・ワールド)』という科学の本を借りる。
    次の日、ベッカはその少年から声を掛けられる。彼の名前はジェイソン。8か月前、ダニーを車で轢いた高校生だった。
    しかし、ベッカには彼を責めるつもりはなかった。ぎこちない対面を果たした2人は奇妙な安らぎを覚え、やがて公園のベンチで会話するのが日課となってゆく。『並行宇宙』を読んでいることを打ち明けたベッカに、ジェイソンはそれを参考に描いた漫画を差し出す。タイトルは『ラビット・ホール』。科学者の父親を亡くした少年が、パラレル・ワールドに存在する別の父親を探すため、“ウサギの穴”を通り抜けるという不思議な物語だった。
    一方その頃、ハウイーは心の癒しを求めるかのように、セラピーで出会った気さくな女性ギャビー(サンドラ・オー)と急接近してゆく。
    幾度となくほつれかける夫婦の絆。
    ベッカとハウイーは、再び共に歩み出すことができるのだろうか……。

  • ニコールキッドマン、綺麗で好き。「大切な人を失った」主人公が少し、変化する話。泣くシーンもないし、ドラマティックではないけれど、でもそれが真実な気がした。
    悲しい人に寄り添いたい、寄り添える気分の時、特に笑ったり泣いたりしたくないけれど、前向きになりたい時など観るといいかも。
    いろいろとヒントが。反面教師的なのも含めて。

  • 交通事故で4歳の息子を亡くした両親、彼らを取り巻く人々。

    淡々と受け止めているように見えても、毎日の生活のどこかに拭いきれない喪失感があって、ときに感情が爆発してしまう。俳優さんたちの演技にぐっと引き込まれた。

    子どもを亡くした母親が主人公の『水曜日のエミリア』をちょっと思い出した。話は全然違うけれど。

    事故を起こした張本人の学生と話すことで何が変わるのかな、と思いつつ、結局は全部、自分次第ってこと。
    タイトルにもなっている「ラビットホール」が彼女の気持ちを少しでも軽くしたんだろうなとも感じた。
    ラストにかけての夫婦の行動には、確かに希望があったと思えた。

  • 交通事故で息子を亡くした夫婦の、喪失からの再生を描く物語。

    ニコール・キッドマン演じる母親の視点で描かれており、映画で描かれるのは主婦の静かな日常。ただ、その生活の隅々に、息子を失った喪失感が滲んでいます。

    街で加害者側の青年を見かけて、こっそりと様子を見ているシーンでは、抑えきれない悲しみがあふれ出て、強い印象を与えます。また、息子の身の回りの品をどんどんと処分して、悲しみから逃れようとする様子など、ニコール・キッドマンが悲しみを内に抱えた母親を、上手く演じています。

    加害者の青年と自分から交流を持ち、悲しみを乗り越えようとする姿にも共感ができ、息子の死からなんとかして立ち直ろうとする過程が、とても丁寧に描かれています。

    作品のテーマ上、大きく盛り上がる場面がある訳ではありませんが、大切な人を失った悲しみを知っている人は、感情移入できる場面が多くあり、それだけに、ラストシーンで爽やかに希望を見せてくれる素晴らしい作品だと思います。

  • 自分には重すぎる。

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