月刊「ドラマ」別冊 エンタテイメントの書き方 1

  • 映人社
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  • Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
  • / ISBN・EAN: 1103548091208

感想・レビュー・書評

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  • 柏田先生の本です。コンクール講座会場で、月刊ドラマ編集部が在庫セール販売していたのを購入。

    ○人物の紹介
    そのままの登場は、誰でも思いつく。
    人物の仕事ぶりを描きつつ、観客の興味を持続させつつ登場させる。

    ○ハコ書き
    テーマを伝えるためにハコを書く。
    転は作品の一番の盛り上がり、結でテーマを定着させる。
    初心者はほとんど最初からハコを作っていく。転と結から逆算してハコを作るのもいい。

    ○テーマ、題材、モチーフ
    テーマ:作者が視聴者に伝えたいこと。メッセージ。セリフで明示的に表現しなくてもよい。映像で伝えれば、観客はテーマがわかる。
    題材:素材、ネタ。職業、事件、特殊設定など。
    モチーフ:主人公の行動の動機、動因。ドラマを動かしていくもの。テーマとモチーフが同一の場合も多いので、初心者はモチーフを忘れがち。モチーフをしっかり作ると、「どこかであった話」でなくなり、コンクール最終選考に残る作品になる。

    「福祉の仕事を知り、主人公が成長していく」はテーマ。ヘルパーの仕事は題材。ここに、主人公は「落語家を目指していたが、挫折した女の子」という題材を追加してみる。

    老人ホームの老人の中にかつての名浪曲家がいるとわかり、名浪曲家の周囲にはかつての芸人が集まっていることもわかり、彼らの芸を活かせないかと主人公のヘルパーが考えることで、物語が動いていく。このように、福祉という題材に「芸事」というモチーフが追加されると、「どこかであった話」ではなくなる。

    ○リアリティー
    ・題材にリアリティーがあるとは、説得力があるということ。実際にあった話をそのまま描いても、何の説得力もない。
    ・題材となるような実話は、信じられないような事件が起きてしまったからこそ、みんなの注目を集める。ドラマの中で突発的に信じられないようなことが起きても、観客は納得しない。そこに至るプロセス、心理を丁寧に描く。
    ・SF、ファンタジーほどリアルを持たせる。
    ・初心者が思いつくようなSF、ファンタジーは定番。やり尽くされている。よっぽど斬新にするか、ファンタジー以外の描写にリアリティーを持たせるか、ファンタジーものに別のモチーフをつけるなどしないと、独自性のある作品にならない。
    ・売れたドラマのマネもNG。真似した売れたドラマより面白くならなければ、審査で残らないし、そうすることはとても難しいこと。
    ・地道に取材を重ねる。取材内容を全部使う必要はない。10取材してようやく1使える。

    ○エンタテイメントとは何か
    ・語源は、フランス語。間を保つという意味。
    ・ヤマ場は誰でも描ける。ヤマ場以外の場面をどう保つか。物語の構造上、どうしてもつまらなくなる部分を面白くする技術こそエンタテイメント。
    ・つまらない場面には、ミステリー、サスペンス、スリルの要素を入れる。
    ・安易に台詞で説明せず、人物の行動で描け。言葉で説明しないだけで、何のために行動しているのだろうと、ミステリーが生まれる。
    ・小津安二郎監督「一番見たいと客が思うものは隠せ。客に説明しようと思うな。どう解釈しようと客の勝手だ」
    ・テーマと関係ないエピソード、要素は思い切って省略すると面白くなる。

    ○ジェームス三木「ドラマは掛け算にする」
    ・2人の会話セリフだけでシーンをつなぐと、つまらないドラマになる。
    ・1つのシーンに2つ以上の要素を入れる。2人の会話に第3の人物を入れて次のシーンの布石にしたり。

    ○セリフの技法
    ・人物の感情がにじみ出ている感情セリフ、人間性を伝えたり、雰囲気を盛り上げる情緒セリフ。

  • 名作のパクリ方
    ストーリーの型 新井一のストーリーの23の基本形式
    シンデレラ型 マイフェアレディ→プリティウーマン、ニキータ

    設定に枷を与える
    グランドホテル形式

    ロードムービー形式 貴種流離譚
    主人公が旅をする動機をはっきり位置づけること
    旅を始める時と、終わった時とで主人公が変化、成長していること

    人物の描き方
    人物にふさわしいシーンを作り、人物を動かして、その人物がどういう人間で、どういう状況に置かれているのか描きながら、ストーリーはどんどん展開していかなくてはいけない
    セリフで説明せず、人物の「行動」で描く
    リトマス法

    人物を生かすシーン作りを考える ex.ファビュラスベーカーボーイズ

    小道具
    セリフやナレーションで「こういう人なんだ」と語るより、その人が大事にしている物や生活用品を見せるほうが効果的

    テーマとモチーフ
    テーマは普遍でもモチーフを面白くすればいくらでも創作できる

    ファンタジー映画
    どんなに科学的に不可能な技術でも、こうした前提を用意しておくことでリアリティが与えられる ex. 浦島太郎のカメ
    ファンタジーを成立させる重要なことはリアリティとテーマ

    実話の作品化で必要なことは、取材した事実、細部といった情報を取捨選択し、いかにエンターテインメント性を加えることができるか

    観客の感情移入 ex. ともだちのうちはどこ? ノートを2冊持って帰ってきちゃった

    ミステリーのコツ
    謎に新たな謎を掛ける、ただし、核となるテーマは一つに固めること
    謎や秘密性のある作品がミステリー

    俳優の仕事で大事なのは二重を演じるということ
    いい俳優はサブテクストを演じる俳優
    ex. 癌と知りながらそうでないように振舞う
    二重だからこそ、一重になるクライマックスが生きる

    人間というものはそう簡単に、自身が抱えている秘密を他人には明かさない。それが明らかになる時がつまり二重が一重になるドラマチックな場面になる

    謎や秘密を与え、視聴者の興味を引っ張る

    観客に対しての秘密
    登場人物に対しての秘密

    人物が抱える秘密や嘘を上手に絡ませることで、善人しか出てこない話でもドラマチックにすることができる

    分かりやすくて、かつ考えさせるがエンタテインメントの極意

    客が一番見たいと思うものを隠す手法 ex. 小津映画

    省略も観客の想像を生み、テンポ感を増す

    バックストーリー

    伏線

    脚本は足し算ではなく、掛け算
    シーンとシーンを重ねる

    セリフのテクニック
    ①削る
    ②ひっくり返す
    ③たとえる
    ④嘘をつかせる

    ドラマ創りのヒント
    ①おもしろくない(ドラマがない)
    ②何を言いたいかが分からない(テーマがない)
    ③新しくない(アイデアがない)

    テーマは必要だが隠れているべき

    素材の調理のための3つの方法
    ①新鮮さを見る バイアグラ
    ②疑問を抱く(ひっくり返す) バイアグラを疑う
    ③組み合わせてみる 反対側にあるものと組み合わせる 尼さん..

    モチーフ

    主人公の動機と貫通行動←カセ、トラブル(障害)、事件

    基本形1
    主人公が旅をするロードムービー型
    バリエーション バディ(相棒)もの
    バリエーション 逃亡者もの

    基本形2
    主人公がある空間に来る グランドホテル型
    来訪→混乱、対立・葛藤、和解→出立
    バリエーション フランチャイズタイプ 迎える視点で描く
    パッケージツアータイプ ローマの休日

    基本形3
    主人公の上昇志向もの シンデレラストーリー型
    マイ・フェア・レディ型 バディ版

    基本形4
    巻き込まれ型 激突! 着信アリ

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