日活100周年邦画クラシックス GREATシリーズ 東京流れ者 HDリマスター版 [DVD]

監督 : 鈴木清順 
出演 : 渡哲也  松原智恵子  二谷英明  ||川地民夫 
  • Happinet(SB)(D)
3.40
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感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4907953048751

感想・レビュー・書評

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  • 1966年、日活。監督は鈴木清順。
    主演は「不死鳥の哲」こと渡哲也です。哲の恋人?役には松原智恵子。哲のライバル役には川地民夫。そして、哲の兄貴分「流れ星の健」役には二谷英明。
    その他の共演としては、哲の親分倉田役に北竜二、倉田と抗争するヤクザの親分・大塚役に江角英明、倉田に融資している金融業者の吉井役に日野道夫、その秘書役に浜川智子、倉田の弟分・梅谷役に玉川伊佐男らがいます。

    ヤクザ稼業から足を洗ったはずの倉田だったが、彼の保有する倉田ビルを手に入れたい大塚は倉田ビルを担保にしている吉井に目をつけ、権利書を獲得せんと蠢く。
    一方、倉田の片腕だった哲(渡哲也)はかつて拳銃の名手だったが、倉田のヤクザ廃業とともに彼も足を洗っていた。
    倉田の本気度を確かめるべく、哲をいたぶる大塚の子分たち。
    大塚の策略にまんまと嵌められて、吉井は倉田ビルの権利書を大塚に渡してしまうことに・・・。

    挿入歌である渡哲也の『東京流れ者』をこれでもかと使いながら暴力団抗争をメインに据えた、義理人情のド演歌+ヤクザ抗争+一匹狼ヒーロー物のある意味不思議な映画です。(笑)
    映像は鈴木清順監督が趣向を凝らし最初はスタイリッシュに見せてはいるものの、徐々に義理人情にどっぷり浸かっていく感じですかね。
    何か一人で「流れる」ことに酔っている感じもありましたが(笑)、全体的にみてテンポも良くまあ面白かったです。
    ところどころ話の切れ目や映像のつなぎが変なのは尺の関係なのかな?

    主演の渡哲也は後年の『大都会』や『西部警察』の時に比べ、少しアンコ型の体型に見えてちょっと意外でしたね。(笑)
    銃撃戦では相手の弾はいっこうに当たらないは、こちらは三方に囲まれながらも順次撃ち倒していくはでリアリティは微塵も感じられないのに加え、殴りこみの最中や撃ち合いのさなかに歌って登場するのは明らかに違和感がありますが、渡哲也だから許す!(笑)
    もう渡哲也ファン必見といった感じの作品でした。
    実直で銃や殴り合いに強いキャラは後年の「団長」に通じるものがあります。

    今回のヒロイン役の松原智恵子はわたし、ファンなんですよね~。
    しかし、若すぎる松原智恵子の今回はちょっとピンとこなかったかな。(笑)
    大人の女性としての彼女のファンなのだと今回認識しました。女性は年齢とともに変わるからなあ。
    歌は明らかに別の方の吹き替えのように思います・・・。

    それからDVDのジャケットとか、オープニングのクレジットを見ていると、本作は渡哲也に加えてサブ・スターの二枚看板として二谷英明がいるものだと思っていたらなかなか登場しなくて、もう忘れた頃合い、出てくるのは50分を過ぎた辺りからです。全82分の映画なんですけどね・・・。
    例によって殴り合い、撃ち合いのさなかに歌って?登場します。(笑)
    キャラとしては信義に厚く頼れる兄貴といった感じで、これまた『特捜最前線』の神代課長を彷彿とさせるようでした。
    神代警視正と大門部長刑事がユニットを組んでもこんな感じになるんでないかな。(笑)

    渡哲也なので、ラストは当然ながら正義は勝つ!です。
    再び颯爽と「流れて」いきますが、「流れ者」に女は要らねえと言うセリフがこれまたド演歌なんですよね。うわっ!?もったいない!(笑)
    いろいろとあり得ない要素がミックスされた当時の日活路線を堪能できる作品なので(笑)、興味のある方はぜひ鑑賞してみてください。

    • mkt99さん
      漢の中の漢もとうとう逝ってしまった…。
      もう一度、角刈りサングラスに高級スーツを着て、レミントンのショットガンをぶっぱなして欲しかった!
      ...
      漢の中の漢もとうとう逝ってしまった…。
      もう一度、角刈りサングラスに高級スーツを着て、レミントンのショットガンをぶっぱなして欲しかった!
      どうぞ安らかに。合掌。
      2020/08/15
    • darkavengersさん
      mkt99さん。

      自分も渡哲也が亡くなってショックです。
      西部警察の大門団長、大都会の黒岩デカ長、ゴキブリ刑事の鳴神、浮浪雲の...
      mkt99さん。

      自分も渡哲也が亡くなってショックです。
      西部警察の大門団長、大都会の黒岩デカ長、ゴキブリ刑事の鳴神、浮浪雲の雲のキャラクターは憧れのヒーローでした。

      合掌。
      2020/08/16
  • 『東京流れ者』、鈴木清順監督。デイミアンチャゼル監督が影響を受けて『ララランド』に引用してたとされる映画(たぶんラストシーンのセットの部分?)。

    以前BS放映にて観たものの、ちょうど半分ぐらいでウトウトしてしまって、後半は渡哲也さんが山形の庄内へ行って、次に長崎の佐世保へ行くのだけど、その部分の記憶がまったくない。気がついたらラストの東京のシーンになっていた。『流れ者』になってないっちゅうの笑。今回ちゃんと見返しました。

    ストーリーは大したことないし、意味不明なツッコミどころも多い。この映画は、ベタなヤクザ映画のパターンを借りながら、清順監督が清順タッチ、清順美学で、ただやりたい放題やるところが面白い。映画は演出が面白ければストーリーなんてどうでも良かったりするわけで、そういう映画も観てみると良いと思う。(私は、映画の感想でストーリー偏重主義な人が最近あまりにも多いのがちょっと嫌)

    以前も書いたけど、清順監督は60年代の干される前の作品が難解ではなくちゃんと面白いので好きです。『探偵事務所23 くたばれ悪党ども』『野獣の青春』『刺青一代』『東京流れ者』……。昔、干された原因の『殺しの烙印』と、『ツィゴイネルワイゼン』から観たらワケワカランかったです。ワケワカルものから観た方が良い。

    ヒロインは、見たら目が潰れるほどかわいい松原智恵子さん。しかし、この後のニューアクション『無頼より 大幹部』の時の方がかわいかったなあ。松原智恵子さんの歌声が思ったよりも低いのにびっくりしました。声が違うなあと思ったら吹替で鹿乃侑子さんという方の歌唱。悪役は川地民夫と郷鍈治らでだいたいいつもどおり。

    原作・脚本・作詞は川内康範先生。小林旭の渡り鳥シリーズの元となった『南國土佐を後にして』も川内康範先生だったし、のちの『大江戸捜査網』にも監修として関わっている。日活のアクション、ニューアクションから『大江戸捜査網』、そしてロマンポルノへと続くこの時期は面白いです。

    清順美学の影響力は大きい。『大江戸捜査網』にもあるし、東映の女囚さそりシリーズ、必殺の高坂監督回など。さらにのちの押井守、タランティーノ、デイミアンチャゼル……etc.

  • 鈴木清順作品3作目。カポネ大いに泣く、夢二に比べるとだいぶ分かりやすい映画でしたが、この人はストーリー性にあまり意味を持たせていないというか、背景とかカメラワークが独特なのでそちらに意識を持っていかれます。

    今回は松原智恵子の歌声がすごかった。東京流れ者、いい曲ですね。
    英語版だとタイトルがTokyo Drifterなのですが、Driftersって流れ者たちなのか〜と思うと、ちょっと切なくなりますね。

    日本のノワールフィルム、もう少し見てみようと思います。

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