アナロジー思考 [Kindle]

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  • 東洋経済新報社
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感想・レビュー・書評

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  • 「analogy」
    類推という訳語が当てられ、本書では「比例関係」として定義されている。
    (そもそも語源が「比例」を意味するanalogiaから来ている)

    未知の領域に関する知見を得るために、見知っている領域の中から構造的に類似しているものを引っ張り出し、比例関係を用いて仮説を立てる、というのがアナロジー思考の全貌。あくまでも推論であるため、論理的に100%正しい帰結を導くとは限らないが、だからこそビジネスの領域で仮説を立てる際に重宝するというのが筆者の主張である。

    実際にアナロジー思考を用いて課題が解決されたビジネスケースやアカデミアでの事例も紹介されており、その有用性には納得できたが、あまりにも高度な頭の使い方で今の自分には到底真似できないと感じた。とはいえこのような視点があることを知れただけでも学びにはなった。構造的な類似をいかに見つけ出すかがこの思考法の本質だと思うが、正直まだ理解できていないので、日常で試行錯誤しつつまた読み返したい。

    取り扱っているテーマが難しいことも多少影響してそうだが、分脈との対応が明確に見えない、という意味で具体例が所々分かりにくい点だけ残念だった。

    アナロジー思考の土台となる抽象化能力について、同じ作者が「具体と抽象」というかなり優しめの本で解説をしているので、合わせて読むと理解が深まるかも?ちなみに「地頭力を鍛える」もこの人が書いてる。

  • こんなに抽象というものを考えさせられたのは初めて。
    私は具体例がないと中々理解できない人間なので、抽象⇔具体のトレーニングが根本的に足りないのだなと気づいた。
    そしてアナロジー思考の面白さ。
    今まで、AとBって、ジャンルが違うけどなんか似てるな〜っていう体験は何度かしてきているけど、アナロジーという名前があるなんて知らなかった。
    たしかに、ひらめきが起こる瞬間とか、ある分野を深く理解する時って自分の思考の中にアナロジーが潜んでる気がする。
    これを無意識的にではなく、意識的にやるのかと衝撃を受けた。
    デジャブなんて起きないはずなのにデジャブを感じる時って、過去の記憶の中で構造的に似てる何かを頭が勝手に感じ取ってるのかも、と思った。

    本書ではアナロジー思考をビジネスに応用させるという前提があるけど、アナロジー思考ができた時ってそれだけで楽しいというかアハ体験みたいな感覚に浸れるし、人生が楽しくなると思う。
    なので私は人生を濃いものにするために、とにかく抽象化、構造として捉える能力を身につけたい。

  • アナロジー思考が使えれば神羅万象が学びになり、さいつよになれる。

  • 新しい経験や活動を行うとき、似たような経験からアナロジー(類推)して「あれと同じ感じかな?」と考えたりすることがありますが、それこそが「アナロジー思考」です。
    アイデアは「これまでどこかにあったものの組合せ」でしかないため、何か新しいことを考えるには「どう組み合わせるか」という思考が必要になってきます。

    アイデアが出ない人は、
    ・経験不足
    ・元のアイデアを対象領域の外側から持ってくることを知らない
    ・上手くいったこと、失敗したことを抽象化・具体化できていない
    のどれか。

    アナロジーとは借りる力とも言える。
    アナロジー思考という言葉と意味を伝えることで、部下の仕事の段取りが格段に早くなるかも...しれない。

  • 応用する事が苦手な私にぴったりの本。
    元のアイデアを対象領域の外側から持ってくることで、アイデアの「質」も「量」も飛躍的に広がる。
    「アナロジーとは借りる力」
    「かばん」のたとえ話がとてもわかりやすい。
    「表面的類似」ではなく「構造的類似」をどこまで見抜けるかがポイント。
    著者が本書でも他の著作でも一貫して言ってるのが「抽象化」。身につくまで、著作を何度も読み返したい。

  • > 一般的に「アート」の要素が大きいと思われる発想も「サイエンス」にできる部分も相当あるのではないかというのが本書の基本的な考え方である。(「新しい発想」のためのアナロジー)

    本書ではアナロジーについて分析的な説明を試み、アナロジー的な考え方がビジネスやアイデアを生み出すためにどのような役割を果たすのかを解説している。

    全体を通じて、アナロジーの理解を促す説明に例え話や関連する学術的な話題を持ち出していて、アナロジーを用いてアナロジーの説明をしているように見える箇所が多く感じた。そのような点で、分かりやすさや応用のしやすさに対してはあと一歩だと感じた。

    アナロジーは関係/構造レベルの類似を前提とするとして、表面的な類似(おやじギャグ)と構造的な類似(宝の山)を区別して、ビジネスにおいて注目すべき類似性は構造的な類似性であるとする。

    > つまり、表面的に売っている商品が似ていても、その背景にあるビジネスの構造、すなわちビジネスモデルや社会構造が実はその模倣の対象とは大きく異なっている可能性があるからである(「同じ」と「違う」のレベルを考察する)

    経営についての言及も、抽象的ではあるがおもしろい。

    > 「経営者は構造レベルに目を向けている」と前述したが、正確にいえば、具体的かつ詳細なディテールに目を配りながら、常にその事象を構造的な文脈でとらえることが経営には求められるといえるだろう。(具象は問題を創造し、抽象は問題を解決する)

    上記に関して、雑誌『現代思想』に掲載された数学者の文章を引用していて、学術的な表現である一方、ユニークな問題解決のためには必要な要素だと共感できる。

    > 「抽象には問題を解決する力はあるが、問題を生む力はない。これに対し具象には数字そのものを生み出す力がある。具象は難問を創造し、しばしば自分で作り出した困難にぶつかって立ち往生することがあるが、それ自体がまた新たな創造の契機である。」(具象は問題を創造し、抽象は問題を解決する)

    本書の後半、第5章「科学やビジネスに応用されるアナロジー」では物理学の微分方程式など専門的な領域に触れられるが、この辺りはむしろ他のより専門的な情報を参照して生んだ方がいいように思われる。

    最後の第6章「アナロジー思考力を鍛えるために」では感覚的だったり日頃の態度に関する記述が多いものの、分野を限定せずに以下のような姿勢を持つことは大事かもしれないと感じた。

    > とかく人は自分を特別視しがちであるが、第三者から客観的に見れば「他のケースと同じだ」と思えてしまうことの方が多い。アナロジー思考の基本は「共通点を探すこと」であるというのはこれまで繰り返し述べてきた通りであるから、まずは共通点の方に目を向けることが重要なのである。(「違う」と思ったら思考は停止する)

  • ■評価
    ★★★★☆

    ■感想
    ◯穴埋め問題が大好きな自分としては、アナロジー思考は穴埋め問題ということがとても響いた。
    ◯特性上、アナロジー思考を活かしていけば、発想力が得意ということになりそう。自分の強みとして持っていきたい。
    ◯ビジネスを始め様々な分野において、アナロジーを活用するには、遠いところの考え方を持つほうが良さそう。リベラルアーツとして多様で自分の理解が及んでいない分野の概念や思考手順を知ることで、借りてくることができるようになるか土台ができると思った。

  • 抽象化思考と具体的事象から、何を学ぶべきか。
    それこそがアナロジー思考。
    つなげる力。借りてくる発想。

    数学や物理学、メタファーという形で日常にも根付いている思考であるが故に、あえて鍛えようという意識がない。

    まずは第0ステップの、抽象化レベルで共通点を見つけるということを心がけたい。
    抽象化レベルというのは、表面的類似ではなく、構造的類似のこと。

  • かなり名著であった。
    アナロジーは抽象化し、様々な世界を行き来すること。

    自分は論理思考あはあるがアブダクションが弱いのでは?
    -科学的仮説や理論から推論する

    コインロッカー、ワークフローが変化するイノベーション

  • 物事を抽象化し本質を捉える事が苦手なので、何か参考になる事があればと思い読みました。

    アナロジーとは類推のことで、1番身近なものでは例え話がある。
    表面的ではなく、もっと上位の構造的に類似している事柄のうち、知っている構造から知らない構造を類推することが、アナロジー思考である。

    このアナロジー思考は、穴埋め問題やパズル問題などで訓練する事ができる。

    アナロジーとして、構造がより抽象度の高いところで類似している縁遠いところから類推することが良い(似ている近いところから借りてくると、誰もが思いつくので新規性が乏しい)。
    ただし、あまりにも飛躍した類推をしてしまわないように注意した方がいい。

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著者プロフィール

細谷功(ほそや・いさお):1964年生まれ。ビジネスコンサルタント、著述家。問題発見・解決や思考力に関する講演や研修を国内外で実施。『仕事に生かす地頭力』(ちくま文庫)、『地頭力を鍛える』『アナロジー思考』(共に東洋経済新報社)、『具体と抽象』(dZERO)、『思考力の地図』(KADOKAWA)等著書多数。

「2023年 『やわらかい頭の作り方』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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