- Amazon.co.jp ・電子書籍 (248ページ)
感想・レビュー・書評
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失敗の本質の解説本。日本軍の敗戦から米軍と比較した失敗の根底にある考え方について述べられている。現代の話題にも照らし合わせており読みやすい。
・戦術を洗練しても戦略がなければ最終的に勝利できない。
・体験的学習で勝利しても成功要因を把握できなければ長期的には必ず敗北する。
・成功の本質ではなく型と外見だけを伝承したのが日本。
・現場の体験や情報を確実にフィードバックする仕組みが重要。
・優れたアンテナを持つトップは激戦地を常に自らの目と耳で確認するべき。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
▼本書の特徴
本書は、第2次大戦における日本軍とアメリカ軍の戦い方を比較し、敗北の原因を経営学的見地から分析した1冊です。大戦に至る経緯や敗因の分析その後の日本経済の復興について書かれた書籍はたくさんあります。対して本書では、敗戦を招いた日本軍の組織体質に着目し、21世紀になって活力を失いつつある日本の日本企業組織と驚くほど共通しているという問題提起、および日本の企業組織が今後イノベーションを起こすためのヒントを提示している点が特徴となっています。
▼この本をお勧めしたい人
事業でイノベーションを渇望する中小企業の経営者。また私自身は、いち会社員ですが、今後会社で成果を上げたいビジネスパーソンにとってもためになる内容です。
▼本書の中で印象に残ったところ
既にいろんなところで言われている「なぜ日本的思考は変化に対応できないのか?」について。本書は、「日本企業は既にある物を高い水準で真似する」「真面目に努力して取り組む」といったことは得意であると。しかし「自分の頭で考る」とか「言われたことを、ただ言われたとおりにやる」といった点を挙げ、このことが日本に画期的なイノベーションが誕生したり、次世代を担うリーダーがなかなか出てこない背景にあるのだと言っています。そして本書では、日本の産業から今後イノベーションを誕生させるためのヒントとして、企業組織で働く人一人一人に向けた処方箋を提示しています。例えば「言われた事に何の疑問も持たずにただこなす」姿勢を戒めるとか、自分なりに「こうやればいいんじゃないか?」など自ら考えて工夫をする大切さについて挙げています。要するに「受け身の姿勢で仕事をしない」「当事者意識を持って取り組む」という事を言っているのだと思います。私の会社は企業研修や社員教育事業をしているのですが、研修で教えていることと本書で示唆している内容が共通していてとても驚いています。
▼イノベーションのためには何が必要か?
以前、司馬遼太郎さんの「坂の上の雲」を思い出しました。司馬遼太郎さんは「自らが国家を担う気概を持ち、その意識を疑うこともなく政治・軍事・学問など各々の専門分野において邁進した」と述べていて、日露戦争で活躍した秋山兄弟と第2次大戦時の日本軍がとても対照的だと感じました。この「自らが国家を担う気概を持ち」こそ、「当事者意識を持つ」という事だと思います。
今後自分の行動をどう変えるか?
敗戦の要因として、本書は他に「戦略」の不在を挙げています。本書によると、戦略とは勝つための指標、自ら道筋を立てながら行動するという、指針や考え方を言うそうです。あらためて今後は、行動を起こす際も今まで以上に戦略を意識して取り組んでいきます。 -
日本ディスり過ぎ感もある。
日本史好きにはおもしろい -
自分の知らないことを下げて考えるなどビジネスマンとしてあってはないことが書かれている。本当の意味での本質を考えさせられた。
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「失敗の本質」の本をわかりやすく翻訳したような本です。
そして現代の日本も、第二次世界戦の軍部とまだ変わっていないような失敗をしているのではないかと思われてしまいます。
戦略の失敗は戦術で補えない
日本軍の努力の70%は無意味だった
戦略とは「目標達成につながる勝利」を選ぶこと
「指標」こそが勝敗を決める
「体験的学習」では勝った理由はわからない
ゲームのルールを変えた者だけが勝つ
プロセス改善だけでは、問題を解決できなくなる
「ダブル・ループ学習」で問題解決にあたる
新しい戦略の前で古い指標は引っくり返る
イノベーションを創造する3ステップ
①戦場の勝敗を支配している「既存の指標」を発見する
➁敵が使いこなしている指標を「無効化」する
③支配的だった指標を凌駕する「新たな指標」で戦う
成功の法則を「虎の巻」にしてしまう
体験の伝承ではなく「勝利の本質」を伝えていく
イノベーションの芽は「組織」が奪う
司令部が「現場の能力」を活かせない
現場を活性化する仕組みがない
不適切な人事は組織の敗北につながる
自分の目と耳で確認しないと脚色された情報しか入らない
リーダーこそが組織の限界をつくる
場の「空気」が白を黒に変える
都合の悪い情報を無視しても問題自体は消えない
リスクを隠すと悲劇は増大する
耳に痛い情報を持ってくる人物を絶対に遠ざけない -
基本的には失敗の本質を解説して誘導するような内容
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わかりやすい本と思うが、考察がちょっと本を読んだだけの情報を根拠としているのが残念。
「あくまで想像」って。 -
メモ
・勝利につながるKPIを見極める
・議論の「影響比率」を締め出さない
・リスクは周知して管理する -
日本軍の敗戦を分析した、本家「失敗の本質」は難しすぎる!ので、超入門で体験した。
日本は技術、技能の向上に努め、徹底的に技を磨く。
しかしそれが勝利につながるとは限らず、
アメリカは、技能の向上ができなくても勝てる兵器、戦略、戦術というシステム構築よりで勝った。
例えば、業界の王様はどのような指標でその地位を築いているのか?をまずは分析し、その指標を無効化するような、別の指標で勝負する、ということだ。
その指標は王道の指標から離れていればいるほど、イノベーションを起こしやすい、と感じた。
↓メモ
戦略とは、いかに「目標達成につながる勝利」を選ぶかを考えること。
日本人は戦略と戦術を混同しやすいが、戦術で勝利しても、最終的な勝利には結び付かない
「ネットワーク効果」とは、そのネットワークに接続している人の数が多ければ多いほど、そのネットワーク自体の価値が増すという原理です。同じソフトを使用しているパソコン端末が増えるほど、そのソフトの価値が増していくことになる
人が話す言語などをイメージするとわかりやすいでしょう。英語が学習対象として人気があるのは、それを学ぶことで非常に多くの人とコミュニケーションができるからですが、ソフトの世界でも、より多くの人とやり取りできるものを人は買うようになります
驚異的な技能を持つ達人の養成に、日本軍はかなりの力を注ぎ、実際に戦果も挙げました。しかし、兵員練度の極限までの追求は、精神主義と混在することで、のちに日本軍の軍事技術・戦略の軽視にもつながったと『失敗の本質』で指摘されている
(技能がなく)当たらなくても撃墜できる兵器をつくったアメリカ
「一つのアイデアを洗練させていく」ことが得意な日本人は、小さな改善、改良を連続的に行うことで既存の延長線上にある成果を挙げることに成功しやすいのかもしれない
日本は一つのアイデアを洗練させていく練磨の文化。しかし、閉塞感を打破するためには、ゲームのルールを変えるような、劇的な変化を起こす必要がある
「シングル・ループ学習」は、目標や問題の基本構造が、自らの想定とは違っている、という疑問を持たない学習スタイルです。
先の接客販売では「どのように接客をさらに充実させるか」が売上を向上させる唯一の対策と考えて、改善手法を検討する形式がシングル・ループ学習。
★「ダブル・ループ学習」とは、「想定した目標と問題自体が違っている」のではないか、という疑問・検討を含めた学習スタイルを指す。
→そもそもを疑う
★一連のイノベーションの実現は、優位である敵が持っている指標をまず見抜くことが必要であり、その指標を無効化する方法を探し、支配的だった指標を凌駕する新たな指標で戦うことで成し遂げられている
すでに何度も出てきていることですが、イノベーションは既存の指標(戦略)を差し替える形で新指標を打ち出します。この点を考えると、単純に高い性能を追いかけるのか、イノベーションを追いかけるのかは違う行動だとわかります。
画像が美しくなること、スピードがより速くなることで、消費者側の購入指標が変化するのであれば、技術的な改善がイノベーションに直結していることになりますが、処理速度が速くなっても、消費者が「これを購入したい!」と思わない変化であれば、それはイノベーションではない -
【目的】
日本の組織がやりがちな失敗の傾向を学ぶ
【まとめ(1P)】
「大局で見れない」「錬磨が得意」「上下の壁」「空気の存在」という点により、変化に対応できず失敗する
【ポイント(What)】
・戦略=最終的な勝利につながる「指標」を選べるかが重要
・一分野の錬磨が得意だが、イノベーションにより無効化される
・「場の空気」によりリスクを軽視することで、最終目標にたどり着けない
【アウトプット(How)】
・状況を分析し、最終的な勝利につながる「指標」を選ぶ
・「人」「技術」「技術の運用」からイノベーションを考える
・フィルタリングされた情報ではなく、現場を見る
【その他】
・ルールの変更により「達人の努力を無効化する」⇒指標を変える
・「知らない」という理由だけで、現場の能力を軽視してはならない⇒自主性・独自性を発揮させる -
「失敗の本質」のおさらい本だが、本書の方が本質的のよう
ただ繰り返し読み返すと、要約本は浅い気もする
特に野中郁次郎先生の新著は、思考の足跡を辿っていて、奥深さに感銘・驚愕する -
失敗の本質を簡単に解説したというより、失敗の本質から失敗の本質を抽出し説明した本。よって実際の戦闘の経緯はポイントしか触れられていない。読みやすく勉強になるが、失敗の本質の本質とはまたちょっと違うイメージ。
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名著『失敗の本質』の分かりやすい入門書。
敗戦の原因を徹底究明した『失敗の本質』はまさに日本人論であり、それを戦後のビジネスマンに向けて書き換えられた本書。とても分かりやすくて、読むごとに胸の痛くなる内容でした。
開戦当初の快進撃と後半の苦戦、迷走。そして壊滅的な敗北。
戦後復興からバブル景気と、その後の低迷。
太平洋戦争の戦局と、戦後の日本経済のたどる道は驚くほど重なる、その原因も。要は70年前となんにも変わっていないということ。
日本人がアメリカ人ほど合理的思考になれるかは分からない。非合理的なところこそ日本的美徳だったりするもので。でも、僕たちは大事な人たちを守るために失敗することも、敗北することも許されない局面というのがた、たしかにある。
自らの仕事や職場を振り返るためにも、ビジネスマン必読の書だと思います。とにかく随所で胸が痛みます。とても他人ごととは思えない。
組織論なので一会社員の私がいますぐすべての事柄を実践することはできないけれど、
●指標を見抜く
●リスクをきちんと言葉にする
この二つは、今日から実践しようと思います。 -
名著「失敗の本質」ありきで、そこから現実を抜き出して考察した一冊です。
きっと、コロナが終息(なのかなんなのかはわかりません)したあと、今日まで行われたいろいろなことが、この手の失敗として後付けで語られることでしょう。
いつの時代も失敗には理由があり、成功の理由ほど表には出てきませんし、探してもなかなか見つかりません。
知らぬ間に成功している場合、それが成功だと外から指摘してくれる人はおそらくいないと思います。初期のyoutuberが「成功者」と認知され始めたころ、もうその成功の方程式はマネをしても遅かったはずです。
成功の反対をやって、失敗だったと後付けで騒ぐより、「こうやったらダメなんだな」、ということを、貴重な情報として知識にしないといけないのだと思います。