ハーモニー (ハヤカワ文庫JA) [Kindle]

著者 :
  • 早川書房
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感想・レビュー・書評

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  • なんのために健康的な生活を送るのか。

  • 久しぶりにものすごく重い内容の本だった。
    病気にならない体を制御する機能がインストールされていたり、個人情報が開示されている社会(犯罪が起こらないようもちろん制御されている)は、とても魅力的。
    けれど、意識や意思まで消失させるとは!そんな発想なかった。もちろんデメリットもあるけれど、それで犯罪がなくなるのなら、自殺がなくなるのなら、苦しむことがなくなるのなら、悪いことではないのでは?

  • 入社式に行く電車の中で読み始めた

    本文をChatGPTにインプットして、(ほかの著書も全部インストールして)、伊藤計劃として生成AIに小説を書いて欲しいとかくだらないことを考えていました

  • (おそらく『虐殺器官』により)大災禍を経て、人類のほとんどが体内のナノマシンによって社会から管理された世界が舞台のSF。
    人間は社会にとって最も重要なリソースであり、発達した医療分子によって『生府』から徹底的に健康管理される。また重要なリソースであるが故にお互いを大切にしよう、優しくしようという同調圧力のような倫理観が蔓延している。

    そんな社会を疎ましく感じて『私は私だけのもの』を社会にぶつけるために自殺を試みた3人の少女。
    それから13年後、世界中で同時に6千人が自殺を試みるという事件が起こる。
    かつての3人の少女の一人、生き残った霧慧トァンはWHOの螺旋監察官として事件を調査するが、そこに死んだはずの少女、ミァハの影を見る…


    最初気になったのは文中に挟まれるプログラム言語のような英文。違和感を感じつつ、読んでいるうちに感情が動いた時や回想、物事をクローズアップしたい時に出てくることに気付く。
    最後まで読んで、このプログラム言語の意味が明かされるときに感じる物悲しさ。

    トァンとミァハのラストシーンが美しくて切ない。

  • 身体を精神の器としてではなく、精神を身体存続のためのシステムとして考えるという逆転の発想には、今をもってなお驚かされる。しかし、限りなく利己的な存在は、超俯瞰的視野を持ちかつリソースさえ十分にあるのであれば、限りなく利他的になりうるだろうか? そのあたりは若干疑問だ。 『ハーモニー』が描く「思いやり」に満ちたディストピア社会は震災直後のあの頃読んだ時は非常にリアルに感じられたが、自己責任社会という真逆の世界へと突き進もうとしている今読むと、遠い世界のようにも思われた。

  • この作家の作品は初めてだったが、ひとつ前の作品である虐殺器官も読んでみたい

  • (ネタバレあり)前半は濃厚な百合、後半はハードなSF、という玉手箱みたいな小説です。

    ところどころ小説ならでは(htmlかな?)な表現がされていて、「こういう方法もあるのか」と感心しました。表現は奥が深いですね。

    百合のセカイ系、と言えるので、そういうのが好きな方にはよいと思いますし、私にはとても合いました。ただ今読むと、少し古さを感じるかもしれません。セカイ系自体が埃をかぶっている、ともいえるので。

  • これ元々、あとがきに解説とか入ってないんですかねぇーーーー。

    アニメ化については、色彩を重視した表現がどうなるか期待。
    ほろ苦い感触は「幼年期の終わり」を思い出す。完全な社会型脊椎動物。個が消えるのではなく、個が種の器官として生きるイメージはクトゥルー神話における「奉仕種族」のあり方にとても近く感じた。
    トァンが死ななかったのはヌァザの娘だったからだけど、キアンを死なせた「自己正当化」とはどういう意味なんだろ。

  • バッドエンドでもハッピーエンドでもない、ハーモニーの世界ではその概念すらない。だから私たちが正も悪もない世界をどっちとも言えるはずない。
    この作品に出会えて良かったという表現は少し違うけど、この本が爪楊枝のように脳にツンツンしてきたところが多々あり、メモする手が止まらなかった。
    最強に壮大な話だけど私怨が主軸となる話だった
    私が想像する天国も平和もミャハが目指す世界と似ていた。自由とは、感情とは、個人とはと考えてしまう。
    この結末は、この結末でしか表現されない感情というものがあるのではないかとも思った。

  • 最初に見える管理社会の設定の面白さはまあまあ,という印象だったが,後半ミアハが動き出してからの展開,そして意識の概念と”ハーモニー”の意味は作者の才能を感じた.

    進化を求めるほど死に近づくなかで,それでも進化を目指すのか,意識的に止めるのか,は現代の重要なテーマだと思う.

著者プロフィール

1974年東京都生れ。武蔵野美術大学卒。2007年、『虐殺器官』でデビュー。『ハーモニー』発表直後の09年、34歳の若さで死去。没後、同作で日本SF大賞、フィリップ・K・ディック記念賞特別賞を受賞。

「2014年 『屍者の帝国』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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