- Amazon.co.jp ・電子書籍 (315ページ)
感想・レビュー・書評
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なんのために健康的な生活を送るのか。
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入社式に行く電車の中で読み始めた
本文をChatGPTにインプットして、(ほかの著書も全部インストールして)、伊藤計劃として生成AIに小説を書いて欲しいとかくだらないことを考えていました -
(おそらく『虐殺器官』により)大災禍を経て、人類のほとんどが体内のナノマシンによって社会から管理された世界が舞台のSF。
人間は社会にとって最も重要なリソースであり、発達した医療分子によって『生府』から徹底的に健康管理される。また重要なリソースであるが故にお互いを大切にしよう、優しくしようという同調圧力のような倫理観が蔓延している。
そんな社会を疎ましく感じて『私は私だけのもの』を社会にぶつけるために自殺を試みた3人の少女。
それから13年後、世界中で同時に6千人が自殺を試みるという事件が起こる。
かつての3人の少女の一人、生き残った霧慧トァンはWHOの螺旋監察官として事件を調査するが、そこに死んだはずの少女、ミァハの影を見る…
最初気になったのは文中に挟まれるプログラム言語のような英文。違和感を感じつつ、読んでいるうちに感情が動いた時や回想、物事をクローズアップしたい時に出てくることに気付く。
最後まで読んで、このプログラム言語の意味が明かされるときに感じる物悲しさ。
トァンとミァハのラストシーンが美しくて切ない。 -
身体を精神の器としてではなく、精神を身体存続のためのシステムとして考えるという逆転の発想には、今をもってなお驚かされる。しかし、限りなく利己的な存在は、超俯瞰的視野を持ちかつリソースさえ十分にあるのであれば、限りなく利他的になりうるだろうか? そのあたりは若干疑問だ。 『ハーモニー』が描く「思いやり」に満ちたディストピア社会は震災直後のあの頃読んだ時は非常にリアルに感じられたが、自己責任社会という真逆の世界へと突き進もうとしている今読むと、遠い世界のようにも思われた。
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この作家の作品は初めてだったが、ひとつ前の作品である虐殺器官も読んでみたい
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これ元々、あとがきに解説とか入ってないんですかねぇーーーー。
アニメ化については、色彩を重視した表現がどうなるか期待。
ほろ苦い感触は「幼年期の終わり」を思い出す。完全な社会型脊椎動物。個が消えるのではなく、個が種の器官として生きるイメージはクトゥルー神話における「奉仕種族」のあり方にとても近く感じた。
トァンが死ななかったのはヌァザの娘だったからだけど、キアンを死なせた「自己正当化」とはどういう意味なんだろ。 -
最初に見える管理社会の設定の面白さはまあまあ,という印象だったが,後半ミアハが動き出してからの展開,そして意識の概念と”ハーモニー”の意味は作者の才能を感じた.
進化を求めるほど死に近づくなかで,それでも進化を目指すのか,意識的に止めるのか,は現代の重要なテーマだと思う.