正夢 [Kindle]

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  • 2012年9月27日発売
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感想・レビュー・書評

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  • 今回紹介するのは夢野久作著である「正夢」である。1919年4月に「九州日報」という福岡県を中心に九州では1円で販売されていた日刊新聞により発行されたものである。これは夢野久作の父が九州日報の社主を務めていたこと、また夢野久作自身が九州日報で新聞記者を務めていたことから九州日報で発行されたと思われる。
     正夢は短編小説であり1927字という約4ページほどの小説である。実際読んだ自分も、ものの5分ほどで読み切れてしまった。主な登場人物は乞食達と禿げ紳士である。あらすじとしてはある街の外れで大勢の乞食達が話していると一人の若い乞食が大声で話し始めます。話によると男がよその家の軒下で寝ていると白い着物を着た女がついてこいと言ったそう。男はこれは福の神様だと思いついていくと女の指した地面にはダイヤモンドをはめた金の指輪があった…と話さないうちに横にいた跛の乞食が男を杖でつつき殺してしまう。その男が言うにはその指輪は自分のものであり取り返したいということ。死んでしまった男を丸裸にして調べるが指輪はでてこない。その様子を見ていた禿紳士が男の死骸を買い取りたいと申し出る。この禿紳士はどうしようというつもりなのか。という話の大まかな内容である。
     自分はこの「正夢」を読みこの1927字という短い中でここまでの教訓を学べることに感動した。その学んだ内容を言ってしまうと小説の核心に触れてしまうので気になった人はぜひ読んで欲しいと思う。

  • 夢野久作にしては全く面白くない
    こじきが夢でダイヤの指輪を拾い……
    どんな展開を見せてくれるかと思ったら
    えっ?これ?と拍子抜け

  • ダイヤモンドの指輪の話を聞いて自分の欲のままに動こうとする跛や禿紳士たちと、自分の欲を犠牲にしてまでも人の命を助けよう、望みを叶えようとすることができる子供たちとが対比され、大人の汚さを皮肉っている話。
    大人になって世の中の難しい色々なことがわかるようになるにつれて、道徳的にとても基本的な「やさしさ」を忘れてしまう、「やさしさ」とは簡単なことではないということを忘れてはいけない、というメッセージが込められているのではないかと感じた。
    とても短い文章ではあるが私たちにとって大事なこととは何かを思い出させてくれるような作品である。

  • この本は1927字と短い小説ではあるが、短いからこそこの小説で学ぶべきことがよく分かる。
    「その指輪は自分のものだ」と杖で若い乞食を殺してしまう男。
    しかし男が死んでしまった若い乞食の身体をいくら調べても指輪は出てこなかった。
    今度はそれを見ていた禿紳士がその乞食の死体を買い取りたいと申し出てくる。
    そして次に禿紳士は、医者に死体を解剖させ「指輪を見つけ出せ」と言うのだが、まったくもって全員自分勝手である。
    その後禿紳士の子どもたちが怯えて別の指輪を渡して乞食を助けるよう願うのだが、ここで初めてこの作品で初めての<優しさ>が出てくる。
    そして最後にこの小説で学ぶべきことがやっと分かるのだが、これが分かった瞬間、読んでいた私まで恥ずかしくなった。
    自分に得などないのに他人のために行動する子どもと比べて、人の話を最後まで聞かず勝手に勘違いして自分に得になる行動ばかりをして他者を犠牲にする大人。
    短い時間に起きた勘違いの連続の中、どちらを手本にして生きていくのかは一目瞭然である。

  • 夢のとおりにしたらダイヤモンドの指輪を見つけたという乞食。それは俺のものだからコイツは泥棒だという別の乞食。さらに最初の乞食をさらってきて医者に解体させ、ダイヤモンドの指輪を見つけだせという紳士。

    さらには、父の言動に怯えた子供達が別のダイヤモンドの指輪を父に渡し、乞食を助けてくれと願う。


    最終的には最初の乞食が見つけたダイヤモンドの指輪は夢の中の話だとわかり、皆で宴会して騒ぎましたとさ。

    人の話は最後まで聞くもんだ。

  • ■書名

    書名:正夢
    著者:夢野 久作

    ■概要

    幻想性の色濃い作風で知られる昭和初期の作家、夢野久作の短編小説。
    初出は「九州日報」[1919(大正8)年]。「九州日報」に発表され
    た作者第一作目の童話であり、知られる限り作者の手がけた一番最
    初の童話作品でもある。ある乞食がとある晩にダイアモンドの指輪
    を拾ったと語るが、別の乞食がその指輪は自分のものだと主張する。
    (From amazon)

    ■感想

    なんでしょう?喜劇ですかね?
    短い落語みたいな感じかな?

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著者プロフィール

1889年福岡県に生まれ。1926年、雑誌『新青年』の懸賞小説に入選。九州を根拠に作品を発表する。「押絵の奇跡」が江戸川乱歩に激賞される。代表作「ドグラ・マグラ」「溢死体」「少女地獄」

「2018年 『あの極限の文学作品を美麗漫画で読む。―谷崎潤一郎『刺青』、夢野久作『溢死体』、太宰治『人間失格』』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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