ロシア 語られない戦争 チェチェンゲリラ従軍記 (アスキー新書) [Kindle]
- 角川アスキー総合研究所 (2011年8月10日発売)
- Amazon.co.jp ・電子書籍 (192ページ)
感想・レビュー・書評
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ウクライナ戦争の理解が深まるということで読んだ本。チェチェンとFSBについて。
特にブチャ虐殺の文脈で紹介あれていたので、そうした手法が書かれているかと思ったが、どちらかというと偽旗作戦の話だった。
プーチンが首相となった1999年9月の段階ですでに大規模な偽旗作戦が実行され(第二次チェチェン戦争のきっかけとなったアパート連続爆破事件)、以降も立て続けに権力集中やジャーナリストの弾圧、FSBによる偽旗作戦が内外で実施され続けていた、というのは断片だけで体系的には知らなかったので、理解が深まった。おそロシア…。
チェチェン戦争の様子についてもおもしろかった。戦争というと正規戦や、あるいはテロによる抵抗ゲリラなどは想像しやすいが、こうした小規模グループながら越境攻撃したり、利害関係のある複雑な小国関係の中でふるまう様子、イスラムに基づく部隊生活の在り方など、知らなかったことが多かった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
その様子を取材するためにチェチェンのゲリラ軍に所属していた著者の体験記。実際にロシア政府からも名指しで批判されているように、ここまでの内容を書いてしまっていいのかと思うほどに、自分の想像できない世界があることに驚かされました。情報戦では優れていると言われているロシアのやり方も、この本を見れば納得できてしまうほどに、プロパガンダの利用が巧妙だなと思わされます。日本でいると日本のメディアを通じた情報が世論となりますが、その世論をいかに振るかによってチェチェン=悪、イスラム=悪という固定観念を植え付けられていることを認識し、今一度歴史や事実を学ぶことで考えを改めないといけないと思いました。
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ロシアの負の側面について、また名前だけしか知らなかったチェチェンの人たちについて知る貴重な契機となった。書かれた時期が10年は前なので、今どうなっているのか機会を見つけて調べてみたいと思う。