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感想・レビュー・書評
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あまりに人が死にすぎて容疑者が2.3人になってしまいます。もう少し被害者を減らしてもいいのではないかと思いました。
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小学生だった頃、子ども向けに翻案された形で読んでいる。それほど強い印象を持っていたわけではないが、本格推理小説の定型のようなものを感じ取ったような気がする。今改めて読んでみると、やっぱりその印象はある。この小説で書かれている姿がいわば古典的な基本形で、そこから幾多の連続殺人ものが生まれてきているような感じがする。
だから、当然のように今読めばわりあいあっさりと犯人はわかってしまう。元々この作者のトリックはそれほど独創的なものでもないし、逆にここがスタートになって真似たり否定したりしながら数多のミステリが書かれているわけで、そういったものを読んできた現代の人間からみれば、「これは、そういうことね」と逆にほほえましく思えたりもする。
そんなことを思いながら、なかなか気持ちよく鑑賞しつつ読んだんだけど、どうも馴染めなかったところが2点ある。
ひとつは、人が次々殺されるわりに、捜査する側がなんとものんびりしていること。後期のクイーンほどではないにしろ、少しは悩んだり後悔したり責任を感じたりしたらどう?って言いたくなる。まあ、一応悩んでいるような描写はあるんだけど。それもまあ、こういう作品があったからこそ「後期エラリー・クイーン問題」のようなものが出てくるのが歴史なわけだけど。
もうひとつは、登場人物の言葉遣い。翻訳で読んでいる自分にはよくわからないことなんだけど、思いの外「下品で乱暴な」スラングが飛び交っている感じがして、かなり違和感があった。このあたりは、もしかすると元々の作品がそうであって、今まで読んできた「ファイロ・ヴァンス」シリーズが、そういう階級的な言葉の差を、翻訳の過程ですっ飛ばしてしまったのかもしれないが。
というわけで、ミステリ史の記念碑をきちんと読んだ、という実感はあるが、それほど面白いとは感じられなかったのが正直なところである。 -
人気投票上位の古典の名にふさわしい名作。途中退屈な部分も多いが、クライマックスにかけては手に汗を握りながら一気に読ませる。同じシリーズの別の訳者のものは、すんなり入っていったが、本訳者のものは最初、とっつきにくかった。その点で減点。特にヒースの江戸時代の岡っ引きかとも思えるべらんめー口調には驚かされた。解説で触れられているように、それが訳者が苦労した部分であるようだが。ともかく、これでようやく浜尾四郎を読み始めることができる。