心を豊かにする言葉術(小学館101新書) [Kindle]

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  • 心を豊かにする言葉術

    著者 松平定知
    小学館新書
    2011年8月6日発行

    第5章で、NHKの連想ゲームに関する秘話が明かされている。著者・松平氏は3年間、番組司会者を務め、その章の対談相手、壇ふみ氏は15年間、レギュラー解答者として出演している。
    番組では、キャプテンが出すヒントの一部を、スタッフと出演者が考えていた。キャプテンがヒント出しに窮するなど、いざというときために、1問につき10のヒントを考え、両キャプテンに渡しておいたのである。そのヒントについては、ひねりのきいたものというこだわりを持って考えていたそう。例えば、「思いやり」という問題については、「軽い刀」というヒントを用意。軽い刀→重い槍、というわけ。ユーモア溢れる加藤芳郎キャプテンの違反ヒントも、それで生まれていったのだそうである。

    でも、こうしたヒントを用意していることを、壇ふみ氏は知らなかった模様。もちろん、ヒントづくりにも関わっておらず、松平氏にこの対談の中で質問していたほどだ。松平氏よりずっと長く出演していた人が知らなかったとは、NHKの当時の番組づくりはさすが。

    笑えるものとして、こんな話も。
    あるゲスト解答者。チンパンジーという問題に対し、加藤キャプテンが「猿」というヒントを出した。その解答者は「ルビー」と答えた。連想ゲームはヒントからどんな言葉が連想されるかというゲームなので、正解など存在しない、何を連想するかは個人によって違う。猿からルビーを連想する体験をお持ちだったんだろうと想像して、進めていく。次の加藤キャプテンのヒントは「ゴリラ」、すると「ラムネ」と答えた。うーん、これまたユニークな連想。さらに、「モノマネ」と出したところ、「猫」との答。
    結局、この人はこの日、1問も当たらなかった。でも、とても楽しんだ様子。そして帰り際、「いやあ、今日のしりとりゲーム、面白かったぁ」と言いのこして帰ったそうである。

    この本は、言葉に関連する、松平氏が気になる人10人と対談をした様子を綴っている。作家や学者、プロのしゃべり手などを招き、言葉に関するこだわりを語り合っている。前半は日本語そのものについて勉強になるし、後半は話し方や心について参考になる。

    山根基世、鴨下信一、ジョン・カビラ、姜尚中、佐高信、落合惠子、田辺聖子ほか・・

    いろいろ気になるところがあったが、例えば、「その時歴史は動いた」で共演した作家で歴史家の半藤一利氏は、1945年8月15日の昭和天皇による「終戦の詔勅」に日本語の間違いを指摘している。
    「堪えがたきを堪え、忍びがたきを忍ぶ」という部分。堪えるは自動詞なので、「堪えがたきに堪える」としなければいけない。忍ぶは他動詞だからいい。「堪えがたきに堪え、忍びがたきを忍ぶ」が正解のはずだと。
    古賀政男の「影を慕いて」の「雨に日に月にやるせぬ我が想い」や、「お座敷小唄」の「雪に変わりはないじゃなし」の間違いも。

    図書館で他の本を借りたついでに借りた本。
    そういう本が当たりということ、実に多い。

    (疑問)
    この本の中で・・・・

    元NHKアナの松平定知さんが、元文藝春秋編集長で作家の半藤一利さんと日本語について対談している本を読みました。
    「心を豊かにする言葉術」(小学館新書)

    その中で、半藤さんが昭和天皇の終戦の詔勅、「堪えがたきを堪え、忍びがたきを忍ぶ」は、堪えるが自動詞だから、「堪えがたきに堪え、忍びがたきを忍ぶ」でないとおかしい、と指摘していた。勉強になった。
    で、話変わって、奥さん(夏目漱石の孫)との出会いのこと。新潟の疎開先で汽車待ち時間に「同級生の家を片っ端から遊びに行っていたんです」と語っている。

    「同級生の家を遊びに行く」??
    これも、「に」では?
    でも、半藤さんの言葉だから、間違いだと断ずる自信がない。
    いくら対談でも、自身でチェックしているだろうし・・・
    私の日本語知識が不足しているのろうか。

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著者プロフィール

1944年東京生まれ。元NHKアナウンサー。「連想ゲーム」や「その時歴史が動いた」「NHKスペシャル」などで活躍。近年は「下町ロケット」のナレーションも担当。徳川家康の異父弟・松平定勝を祖とする伊予松山藩久松松平家の分家の末裔。京都造形芸術大学教授、國學院大學客員教授を務める。歴史に関する著書多数。

「2020年 『一城一話55の物語 戦国の名将、敗将、女たちに学ぶ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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