「ミヒャエル・ハネケ作品に携わっていた」という触れ込みだけでとても気になっていた。淡々と皮肉めいた描写のしかた?は、笑わせにきているコメディーなんかよりも笑える。クリスマスにならんで歌を歌うシーンや葬式シーンは茶番すぎる。「ぼくのムスコとナイフどちらで突かれたい?」のシーンや牧師がエレミヤ書を朗読するシーンは本当に傑作だった。R-18になるようなシーンもないのにとても全体が卑猥な雰囲気だったのは、最初にあらすじを読んでしまっていたからかもしれない、なにも予備知識なく社会生活を送る彼だけをみていたら真面目で地味なサラリーマン?とその息子の地味なストーリーかなとか途中まで勘違いしてみてしまっていそうだ。そういう過剰に語られていないところがよかった。レンタルで借りたらミステリーに分類されていたことになんだか違和感、かといってふさわしいジャンルがあるかといえば謎。ミヒャエルという名前がたまたまなのかミヒャエル・ハネケとかぶっていた点もおかしかった。そして少年が可愛らしかった。可愛らしいだけに表情や感情がなく(最後のほうはでてきた)痛々しい。最近ニュースで数件のストーカー事件をみたり、護身について考えを巡らせたときにも思ったのだけれど、犯罪予備軍の人たちが世の中に野放しにされていて取り締まれない世の中こわい。罪の意識のない人たちがこわい。運が悪ければいくらでも悪いほうへ転がって、誰にも救えないしいくら努力してももとに戻らないような問題だらけ、今は自分のことだけでいっぱいいっぱいでも、将来もしも自分に子どもができたらその子を守ってあげられるのか、まともな未来を与えられるのか不安になる。他人に迷惑をかける変態や頭のおかしい人は社会にでてこれない世の中になればいいけど絶対むりですね、警察も信用できない。そんなことを観終わったあと、くどくど考えてしまいました。関係のない話でした。