- Amazon.co.jp ・電子書籍 (139ページ)
感想・レビュー・書評
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東大出の美人弁護士にして、国際人権団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」の日本代表である著者の自伝的エッセイ。といっても、本人の談話をライターがまとめたものであり、そのことは本にも明記されている。
全4章のうち、少女時代のことが語られる第1章は退屈。いまなお絶縁状態だという母親との確執など、ドラマティックな要素も少しはあるものの、基本的には普通の子ども時代だし。
が、第2章で司法ボランティアとしてアフリカ・エリトリアに渡るあたりから、俄然面白くなる。
とくに、「9・11」テロ後に東京で起きたアフガニスタン難民一斉収容事件で、難民たちを守るための弁護団に加わって当局と闘う経緯の描写は、広げれば優に一冊の本になり得るほど感動的だ。
最後の第4章では、「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」日本代表になるまでのいきさつと、その後の活動が綴られる。
「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」が、ボランティアに近い一般のNGOとは違うスケールの大きな団体であることを初めて知った。寄付などで集めた巨額の予算を動かし、世界各国の人権問題を解決しようとするプロ集団なのだ。
著者もいうとおり、日本における「人権活動家」のイメージはけっしてよくない。「目が据わった偏狭な左翼」とか、「犯罪加害者の人権ばかりを過度に守ろうとする困った人たち」といった印象があるせいだろう。
本書は本物の人権活動家たちの奮闘を伝えることで、そうしたマイナスイメージを覆す好著だ。
ただ、タイトルはよくない。内容に合っていないし、本書と著者の魅力がまるで伝わらないと思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示