突然の事故で漂着した少年少女たちが様々な危機や人間の悪意に触れながら逞しく成長する基本路線は『EX 少年漂流』と一緒ですね。あちらは船による海難事故でしたが。
『少年漂流』は赤い太陽を見ると大人が狂暴化してしまう(理論的な説明はなし)現象が発生し、何やかやあって生き残った子供たちが船造って島を脱出すると世界中で同じ事が起きていて大人は存在せず、助け合って長い冬を越えた主人公たちは石器時代から人類の歴史をやり直す。やがて彼らが洞穴に刻んだ未来の子供たちへのメッセージが現代の水準まで文明を発展させた数千年後の人間に「過去に存在した人類が未知の言語で残した言葉」として発見されるENDでした。
一息に説明すると分かったような分からないような感じなので気になる人はブックオフで探してください。
『エデンの檻』は平凡な日常の変化を望むアキラの心に呼応するような形でディアトリマ(過去に絶滅した動物)の幻影が現れ、直後に飛行機が墜落しアキラはジャングルで一人目を覚ますところから始まります。そこはかとなく『龍浪伝』の第1話を思い出しますが『エデンの檻』を最終話まで読んでも、なぜディアトリマの幻影が現れたかの説明は一切ありません。何やかやあって島でのサバイバル生活を生き抜いたアキラたちは船を造り日本へ向け脱出します。素人集団が造った船にしては立派すぎるだろ、島の位置がグアム付近のアメリカ領(ほぼ真理谷が最初に推察したとおり)だとしたら、墓碑に刻まれていた緯度経度は何だったんだ?
本作は多くの謎や伏線を投げっぱなしジャーマンしてるのでツッコミどころが多く、連載直後は「アキラ母の夢オチ」説まで流れましたが、自分が読んだ限り妄想夢オチではないですね。というか、普通に読んだらそんな結論にならないような……。
この終わり方だと主人公たちは元の世界へ戻れなかったことになる(既に存在してない)ことになるが、島で過ごした(母の愛に見守られた)3年余りで得た強さや仲間との絆を武器に未知の世界へ漕ぎ出し、歩を進めたその先が楽園になるのだと。
そんな投げっぱなしジャーマン。