二つの「競争」―競争観をめぐる現代経済思想 (講談社現代新書) [Kindle]

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  •  コンペティションは、負けないようにする競争観であるのに対し、エミュレーションは、勝とうとする競争観である。

     負けないようにする競争観には、敗北によって自分自身を見詰め直し、競争の過程で見失っていたかもしれない自分自身、自己への関心を取り戻させる機能が含まれている。

     この競争観は、自分自身を見つめ直す契機として競争を捉えている。勝とうとする競争観は、勝利を得るための工夫・技術の思考を導くので、ひとつ誤れば、勝利を渇望するあまり、自分本来の領分を見失い、自己への配慮と関心を置き去りにしてしまうかもしれない。

     モノを造って販売していれば、競合他社が商品が気になります。サービスを提供していても同じです。競合他社が造って販売しているモノに、負けないスペックにするために、努力しているはずです。しかし、あなたが、あなたが造って販売しているモノ、提供しているサービスの競合は、他社が造って販売するモノや他社が提供するサービスだけでしょうか?

     ビジネスは、スポーツではありませんので、あらかじめルールが決まっているわけではありません。もし、新しいアイディアや技術を使ってもかまいません。市場もそれを望んでいるのです。

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著者プロフィール

1962年、千葉県生まれ。経済学者。中央大学商学部教授。千葉大学人文学部卒業。京都大学大学院経済学研究科博士課程修了。著書に『二つの「戦争」ー競争観をめぐる現代経済思想』(講談社現代新書)、『市場経済学の源流ーマーシャル、ケインズ、ヒックス』(中公新書)、『コア・テキスト経済学史』(新世社)等多数。

「2017年 『「新しい働き方」の経済学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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