FC2小説をホームグラウンドに活躍する晴海まどかの長編。
このへんのバイオグラフィーも後から知った。そもそも、長編とも
思わなかった(^^;)。
新宿歌舞伎町あたりを中心に、ひっそりと繰り広げられるある闘争。
新宿を守るシェパードとなった少年が、日夜「あれ」を囲う。
これだけ書くともう全く意味が解らないと思う。
しかし、この意味不明の設定がしっかりした物語になっているところ
が凄い。
インディーズ系の作家にありがちな適当な展開も無いとは言えない。
重要に見えて、結果そうでもなかった登場人物も居るし、事件の処理
の仕方に謎もある。だいたい、物語の中核を成すアイテム、「あれ」が、
結局最後までアレのままだし、正直いい加減な部分も多々ある。
ただ、ゆったりしていながら独特のリズムを刻む文章は読み手を飽き
させないし、オカルティックな要素をジワジワ感じさせるテクニック
はハイアマのレベルを超えている。Kindleストアで廉価販売されている
自主制作系(?)の作品はいくつか読んでみたのだが、この作品は
その中でもかなり読み応えが深い。
次回作が気になるインディーズ作家であることは事実。
120円支払ってお釣りを貰った気分。オススメです、わりと。