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感想・レビュー・書評
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また素晴らしい本に出会えた。最初のところから感動して、ウルウルしながら読んだ。
トップMBAを取得後しマイクロソフト社でエリート街道を突っ走っていたアメリカ人の著者は、休暇を取ってネパールでトレッキングをした。そこで現地の貧困を目の当たりにする。子どもたちが学校に行かれず、学校に行っても読む本もない。教育を受けていない親から生まれた子も教育を受けられないケースが多く、識字率は3割程度という事実に著者は衝撃を受けた。悩んだ挙句、黄金のキャリアを手放してネパールの学校に本を送るチャリティを立ち上げる。SNSもない2000年のことである。
この創設者であるWood氏は、アメリカ人らしい自信と、若さからのフットワークの軽さ、明るい人柄で友人ネットワークも豊富で、そして何よりも情熱が素晴らしい。トップのビジネスマンだっただけあって、組織の運営方法が良く分かっている。チャリティにとって資金調達は最も大事であり、それは人脈がものをいう世界だ。お金の使い道に困っている金持ちはたくさんいるが、彼らは同時にお金の使われ方にシビアでもある。お涙頂戴だけでなく、出資者がいかに実際に世の中を変えたかをきちんと伝えていく。大きなチャリティほど運営コストがかさみ、集めたお金のほんの一部しか実際にチャリティ活動に行かないこともある。透明性が大事だ。
私も裕福とは言えない家庭で育ったが、親は教育にだけは惜しまずにお金をかけてくれて、そのありがたみが身に染みている。創始者のウッド氏は出資者に「これは施しではなく、子どもたちの未来への投資だ」と言っていたが、これは私のような個人投資家には非常に効く言葉である。
ウェブサイトを見ると、このチャリティRoom To Readは、現在も年々規模を拡大しているようだ。何らかの形で貢献したい。詳細をみるコメント0件をすべて表示