モロー博士の島 [Kindle]

  • グーテンベルク21
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  • プレンディックは、ちょっとした興味で航海の旅に出るも船が難破して漂流する。たった一人生き残り、拾われた船には、一風不思議な船員と、ピューマやウサギなどの様々な動物が乗っていた。そして、ある日、船はとある島にたどり着く。そこではモロー博士が世にも恐ろしい生体実験を繰り広げていた…。

    青空文庫なんだろな(電子で忘れた)。ということで、出版されている版とは訳が多少異なる可能性がある。

    この夏は古めのSFを読むことにしており、一つ前がアシモフ。そしてウェルズである。タイムマシンの次に書かれたという作品で、SFというよりは冒険小説や、探検をする子供向けアニメのような雰囲気がある。

    プレンディックの一人称視点から、不気味な船、そしてモロー博士の島へとたどり着いていくわけだが、正体が現されるまでのモロー博士のキャラクターを掴むまでが、ジリジリしつつスリルが有って良い。

    後半ではプレンディックの一人サバイバルが始まるとともに、モロー博士の作った恐るべき獣人たちの社会の崩壊など、なかなかにして斬新な展開である。

    動物を組み合わせ、何らかの方法(血を入れる?)で、ヒト化するという部分については、今では染色体の数の違い、血液、臓器、免疫その他で一笑に付されるタイプのアイデアではあるが、日本でも1970年代までは普通にSFで使われてきたものでもある。

    30年ほどで科学の進歩と、その進歩の知識としての普及が有ったため、単純にもう書いても誰も読んでくれないようなストーリーになってはしまったが、1890年代に書かれたと思うと感慨深い。

    『十五少年漂流記』『宝島』などの冒険小説などの傾向は強いが、やはりモロー博士のアイデアの前ではシンプルに冒険小説とはいい難いのは事実である。

    最後に「汽車やバスの生きているのか死んでいるのかわからないようなボーッとした人びと」なんていうのは1890年代から有ったのだなあ、というところは笑えた。

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著者プロフィール

イギリスの小説家、SF作家。1866年イングランド、ケント州ブロムリーの商人の家に生まれる。フランスのジュール・ヴェルヌとともに「SFの父」と呼ばれる。歴史家としても、多くの業績を遺し1946年没。

「2005年 『宇宙戦争』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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