なぜ日本の大学生は、世界でいちばん勉強しないのか? [Kindle]

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  • 東洋経済新報社
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感想・レビュー・書評

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  • タイトルに惹かれて電子書籍で読んだ。
    値段の割に得るものが少なかった。

    日本の学生は勉強量が少ない。
    例えば、1週間に10時間以上の自宅学習をする学生は、日本は15%、アメリカは60パーセントである。日本の学生の85%は1週間の自宅学習時間が10時間未満である。
    19〜22歳という、緻密な思考力を養う大事な時間を、日本の学生はアルバイトという時間の切り売りと、サークルという遊びに費やす。
    海外の学生に勝てるわけがない。
    だから、パナソニックの海外採用は国内採用の3倍、ユニクロも海外採用が国内採用の2倍となる。
    では、なぜ日本の学生は勉強しないのか。それは構造的であると著者は言う。
    ①学生が勉強しない

    ②教授のやる気が低下

    ③大学の成績が信用できない

    ④企業は成績を問わない

    ①学生が勉強しない
    つまり、学生、教授、企業の三者が絡み合おり、この三者の構造の中に原因がある。
    しかし、これは半分説明になっていないのではないか。
    「学生が勉強しない」ところからスタートしているが、その原因を突き詰める必要があるのではないか。
    学生が勉強しない理由は、おそらく「意志の欠如」であろう。教育の三極は「知・情・意」だが、最重要でありながら一番難しいのが「意」の教育だ。志を持たせるのは容易ではないからだ。
    著者は、上記の負のスパイラルを、正のスパイラルに転換することは可能であると言う。そして、転換のカギは「考える力」だと言う。正のスパイラルに転換するプロセスはこうだ。
    ①教授が「考えさせる」講義を行う

    ②教授が学生の「考える力」をきちんと評価

    ③企業は成績をもとに採用活動を行う

    ④学生は真剣に学ぶようになる

    ⑤教授のやる気も上がる

    ①教授が「考えさせる」講義を行う

    しかし、おそらく上手くいかないだろうと思う。理由は、学生の意欲を引き出すことにダイレクトにアプローチしていないからだ。
    学生が意欲を持てないのはなぜか。社会全体が価値観を失っているからだ。
    明治の若者が志を持っていたのはなぜか。「富国強兵」という価値観を共有していたからだ。
    海外の若者の方が意欲があるのはなせか。個人の価値観がしっかりしているからだ。
    日本は衰退の時代に入っている。成長の時代から衰退の時代への転換には、「移行期的混乱」が起きる。その混乱を突き抜けて、新たな価値観が打ち立てる必要がある。
    幕末という混乱の中で、明治の価値観を生み出したように。

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著者プロフィール

履修データセンター代表取締役社長。1959年生まれ。京都大学工学部卒業。リクルートで全国採用責任者として活躍後、アイジャスト創業。リンクアンドモチベーションと資本統合、同社取締役に就任。2011年、NPO法人DSS設立。大学成績センター(現・履修データセンター)設立。著書に『なぜ日本の大学生は、世界でいちばん勉強しないのか?』(東洋経済新報社)などがある。

「2021年 『日本のGPAトップ大学生たちはなぜ就活で楽勝できるのか?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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