- Amazon.co.jp ・電子書籍 (194ページ)
感想・レビュー・書評
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タイトルに惹かれて電子書籍で読んだ。
値段の割に得るものが少なかった。
日本の学生は勉強量が少ない。
例えば、1週間に10時間以上の自宅学習をする学生は、日本は15%、アメリカは60パーセントである。日本の学生の85%は1週間の自宅学習時間が10時間未満である。
19〜22歳という、緻密な思考力を養う大事な時間を、日本の学生はアルバイトという時間の切り売りと、サークルという遊びに費やす。
海外の学生に勝てるわけがない。
だから、パナソニックの海外採用は国内採用の3倍、ユニクロも海外採用が国内採用の2倍となる。
では、なぜ日本の学生は勉強しないのか。それは構造的であると著者は言う。
①学生が勉強しない
↓
②教授のやる気が低下
↓
③大学の成績が信用できない
↓
④企業は成績を問わない
↓
①学生が勉強しない
つまり、学生、教授、企業の三者が絡み合おり、この三者の構造の中に原因がある。
しかし、これは半分説明になっていないのではないか。
「学生が勉強しない」ところからスタートしているが、その原因を突き詰める必要があるのではないか。
学生が勉強しない理由は、おそらく「意志の欠如」であろう。教育の三極は「知・情・意」だが、最重要でありながら一番難しいのが「意」の教育だ。志を持たせるのは容易ではないからだ。
著者は、上記の負のスパイラルを、正のスパイラルに転換することは可能であると言う。そして、転換のカギは「考える力」だと言う。正のスパイラルに転換するプロセスはこうだ。
①教授が「考えさせる」講義を行う
↓
②教授が学生の「考える力」をきちんと評価
↓
③企業は成績をもとに採用活動を行う
↓
④学生は真剣に学ぶようになる
↓
⑤教授のやる気も上がる
↓
①教授が「考えさせる」講義を行う
しかし、おそらく上手くいかないだろうと思う。理由は、学生の意欲を引き出すことにダイレクトにアプローチしていないからだ。
学生が意欲を持てないのはなぜか。社会全体が価値観を失っているからだ。
明治の若者が志を持っていたのはなぜか。「富国強兵」という価値観を共有していたからだ。
海外の若者の方が意欲があるのはなせか。個人の価値観がしっかりしているからだ。
日本は衰退の時代に入っている。成長の時代から衰退の時代への転換には、「移行期的混乱」が起きる。その混乱を突き抜けて、新たな価値観が打ち立てる必要がある。
幕末という混乱の中で、明治の価値観を生み出したように。