Humble Inquiry: The Gentle Art of Asking Instead of Telling (English Edition) [Kindle]
- Berrett-Koehler Publishers (2013年9月2日発売)
- Amazon.co.jp ・電子書籍 (138ページ)
感想・レビュー・書評
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「謙虚な問いかけ」というタイトル。Telling (言いたいことを言う) の文化を止め、Asking (問いかける) の文化を実践することで個人・組織におけるパフォーマンスを上げていきましょう、という話。
すべてを伝えることが誠実だと思っている人は、話すことに夢中になってしまい、聞き手が既に知っていることでもお構いなしになってしまう。
実はその行為は、聞き手のプライドに関わる行為で、「『まだ知らないでしょ?』という態度が透けて見えるようで腹が立つ」なんて感情につながりかねない。話し手は別に相手をバカにするつもりは無く、単に「伝えるという誠実さ」を実践しているつもりかもしれないが、Tellingの文化はそのような危険性と常に隣り合わせにいる。
Humble Inquiryにおいては、以下の3つの基本を学ばねまならない。
①自分から一方的に話すのを控える
②「謙虚に問いかける」という姿勢を学び、相手にもっと質問するように心がける
③傾聴し、相手を認める努力をする
一方的に話すのではなく、質問するという行為を通じて、相手に会話の主導権を渡してしまった方が、より良いコミュニケーションと良好な関係を築けると、本書は説得する。
TellingとAskingは、はっきりと力関係が逆転している。Tellingは「上から相手にものを言う」行為に対して、Askingはいわば「へりくだる」態度であることから、「下から相手に伺う」行為となる。
ここで間違えてはならないのは、質問という皮を被った、誘導・錯乱・追及といった攻撃的な意図を含んだ剣呑な問いかけをしてはならない。ジャーナリストがするような嫌味な質問では、謙虚さは欠片もない。
少なくとも、「議論をふっかける」と「謙虚に問いかける」は別次元である。
結論として、「謙虚な問いかけ」とは、相手に対して興味や好奇心を抱くという態度から導かれるものである。
つまり、「謙虚な問いかけ」という"手法"を実践しようとすることは本末転倒で、実際には、相手に対する興味関心から、自然と湧き出る「問いかけ」こそが本当の謙虚さであるということだろう。
個人的な付き合いや、チーム、あるいは組織において、Tellingの文化に悩まされているのなら、ぜひとも読んで欲しい一冊である。詳細をみるコメント0件をすべて表示