2021年4月24日記述
新ブラックジャックによろしく第1巻。
佐藤秀峰氏による著作。
ビックコミックスピリッツ2007年8号 - 2010年33号の間、連載された。
物語で使われる携帯電話がガラケーである事にだけ時代を感じる。
臓器移植というある種、普遍的なテーマが作品の中心になるのでそのガラケーの点以外は全て今に通じるものだ。
ブラックジャックによろしくは佐藤秀峰氏によって
無料開放されており、何度も読んでいた。
しかしこの続編はなんやかんや読んでいなかった。
今回Kindleにてこの移植編を読む。
内容としてはブラックジャックによろしくらしく
徹底的に命に向き合う、哲学的な問題に向き合う。
この哲学的な、正解の無い問題に考え続け言葉を紡ぎ出していく過程がこの作品の魅力なのだと今回気がついた。
また今の医療の矛盾、人間のエゴといったものも見えてくる。
上に書いたようにガラケー以外は全て今に通じているというのはそういう事なんだろう。
この第1巻では精神科での研修が終わった主人公斉藤英二郎が現在泌尿器科にいる所から話はスタートする。
指導医である近藤ムツミ、患者にペニスは何万本も見ていますからどうぞご安心下さいという台詞を言う場面はちょっと戦慄する。
仕事終わりの斎藤は同僚の赤城が透析クリニックから出ていくのを見ることで物語は動き始める・・・・
近藤ムツミの夫(移植医)を紹介される斉藤英二郎・・
印象に残った言葉(近藤ムツミ)
自分の腎臓を差し出すつもりが無いのなら、移植なんてすすめるべきじゃないわ。
本書後ろにスタンド・バイ・ミー描くえもんが掲載されている。
未来から来たおっさん(自分)が漫画家になることの大変さを説教する話だ。
佐藤秀峰氏の経験を元にした漫画家業をテーマにした作品。
バクマンという作品もかつてあったし、漫画家という職業そのものを描くというのはそれなりに需要があるのだろう。
それにしても佐藤秀峰氏は題名をつけるのがうまい。
一番良いのはオリジナリティもある海猿だ。
ブラックジャックによろしくも手塚治虫の作品とは直接関係は無いけれども世間にこういう作品があるという認知をさせる意味で良い。
今、世の中は情報、作品で溢れている。
いかに印象の残る、人々の心に刺さる題名をつけることが出来るかどうかは非常に重要な事なのである。