太平洋西部のブレフスキュ島のホテル・ヴォイニッチ。実は伝説が眠るホテル。
物語は1日ずつ進んでいき,第1話=1日目でホテルを訪れるクズキがたぶん主人公で804号室に宿泊する。弱々しそうだがクズキはヤクザ。メイドのエレナとベルナ,コックのエミリア,支配人のカンドレイ=ウメダがホテルのメンバー。
島は内戦と麻薬「メルチェロ」の横行で荒れ果てており,ホテルの宿泊客もわけありばかり。1日ずつ進んでいく物語は,最初のうちはバラバラに見えるが,だんだんつながっていく。子供達が結成する探偵団に殺し屋,麻薬取引に魔女に幽霊,流血に嘔吐にセックス。人間が持つありとあらゆる汚い部分がグロテスクさを伴わずに淡々と流れてゆく不思議さ。物語が進むにつれ加速度的に引き込まれ,最後は何だか急いで読んでしまった。
何となく,コミックというより漫画と呼んだ方がしっくりする作品。そして作者の才能をひしひしと感じた。