アドレナリンジャンキー プロジェクトの現在と未来を映す86パターン [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • その本を選んだ理由
     プロジェクトマネージャーの仕事とはなんなのか?そんなシンプルな問いが読み始めたきっかけでした。部下の面倒を見ることなのか、そのプロジェクトの技術選定をすることなのか、リリースまで面倒見ることなのか、どこまで求められて、どこまでやるべきなのか、こと日本のIT業界においては非常に曖昧であると思う。開発経験のないディレクターがプロジェクトマネージャーをやっているプロジェクトすらある。その場合は、基本的にブラック企業のような環境になる。怒鳴りつけてやらせること以外、方法を知らない人がプロジェクトマネージャーなのだから、とうぜんそうなる。日本のIT業界が世界から底辺と言われる理由が、プロジェクトマネージャーの仕事にあると思う。
    筆者の紹介
     トム・デマルコはプロジェクトマネージャーの神と言われ、IT黎明期において多くのプロジェクトをマネージメントしてきた。そんな彼が経てきた経験をユーモラスに分かりやすく書いたのがこの本である。アドレナリンジャンキーとは、ただ本能の赴くままに、自分が気持ち良いと思う、正しいと思う方向に計画もなしに突き進む人たちである。日本のIT業界の90%以上のプロジェクトマネージャーと経営者がアドレナリンジャンキーである。断言していい。
    最も印象に残ったシーン・一押しポイント
     失敗するチーム、プロジェクトの紹介が多くされている。人を増やせば、単純に工数が減ると考えているPMとCEO。プロジェクト終盤の人員増員はさらにプロジェクトの完了を遅くさせるという、例が紹介されている。
     あとは開発者が意見を言いにくい職場。何が起こったのか、なぜ遅れたのかを伝えにくい職場においてソフトウェア開発は進まなくなる。罰則のない環境にしないとソフトウェアは開発が進まない。だが、開発者が神となるプロジェクトだと、他のチームの都合を見なくなり、開発じゃない人間にも開発側のリテラシーを求めるようになる。これも破綻する。
     結局は「コミュニケーション力」なんだよ。これが日本人が陥る罠なんだが、「コミュニケーション力」で開発はできない。人間力は万能の力ではなく「思考停止」でしかない。「コミュニケーション力」は大事なのだが、結論ではない。「コミュニケーション力」を最も評価すると、すべて止まる。
    今後の自分の行動や考え方の変化
     日本人の国民性はソフトウェア開発において、もっとも向いていない民族の一つだと思う。建築現場や農業のように弱い立場の人間をこき使う技術は鍛えられている、忌憚なくいうと日本人は差別大好き民族なのでこき使うのは大好きなのだが、自分が理解できていない分野でそれをやっても破綻する。
     日本の大企業においてIT開発はできない状況だった。その状況を変わるには、やはりITに関わる全員がプロジェクトマネージャーの仕事を正確に把握するしかない。デマルコ本はITに関わる人全員に読んでほしい。

  • 冒頭に著者が書いてあるとおり、プロジェクトに関わる人たちが「パターンとして認識」しているが、「抽象化して言語で表現することができない」という状況を踏まえて、書かれた物。

    多くの読者が「あるある」という感想を持つであろう。

    熟練の著者たちの抽象化スキルに脱帽。

  • いつか見た風景と頷かされるものが多い。
    乳母が一番印象に残った。

  • かなり経験したことに近いあるあるネタでニヤニヤしながら読んでしまった。
    ソフトウェア開発に携わるすべての人に読ませたい。
    特に管理職。

    頭の中にある問題は大抵なんとなくで言葉にできないのだけれど、本書で言葉にしてくれて助かります。

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